企業採用の集客やエントリー数の増加などの課題を「動画で解決」しようとしている企業が増えてきています。大きな要因は、コロナ禍で対面で学生との接触機会が減り、オンラインでの会社説明会や合同企業ガイダンスが増えてきたことです。それにより、学生に向けて動画で情報発信することが定着してきました。
一方で、学生である10~20代は、ネオ・デジタルネイティブ世代と言われ、幼少期から動画を見ることが当たり前になっています。採用動画を見ることにも抵抗がなく、動画が企業選定において重要と示しているアンケート回答があります。
だからといって、やみくもに採用関連動画をただ作れば良いという問題ではありません。しっかりと戦略を練ることで、その効果を最大限引き出すことができます。
本記事では、採用動画の種類や採用マーケティングにおける動画の成功事例、そのポイントついて解説していきます。
読み終えていただければ、採用マーケティングの考え方が分かると同時に、学生との接点を増加させることができて優秀な学生の確保の一歩になるはずです。
それでは、さっそく解説していきます!
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採用動画マーケティングとは?採用動画の種類は7つ
採用動画とは、企業が学生に向けて企業の魅力を動画化したコンテンツです。
採用動画は7つに分類されています。
採用動画マーケティングとは、動画を中心とした採用マーケティングを指します。学生が情報収集からエントリーまでの各段階での「行動」や「感情」にあわせ、動画による発信を適切に行い、採用活動を最適化することです。
企業の採用活動において、動画マーケティングを導入することは大きな武器となります。
学生に採用動画が刺さる理由
ネオ・デジタルネイティブ世代(10~20代)は動画を見ることが習慣化されている
ネオ・デジタルネイティブ世代とは、1996年以降に生まれた25歳までの世代を指します。主にスマホなどのモバイル端末でインターネットを駆使して、動画情報を自由に操る若者を指します。
小学生入学にあわせてiPhoneが発売され、その他ゲーム機などで動画を見ることが当たり前になっている世代です。
つまり、動画を見ることが習慣化されている世代が就職活動をするわけですから、動画を使わない手はないということです。

採用動画を見た学生は、志望度が上がる傾向にある
「採用動画を見て志望度はどう変化したか?」というアンケートデータでは、学生の7割以上が動画を見て志望度が上がったと回答をしています。動画は、多くの学生にとって志望度を上げる役割を果たしていることが分かります。

採用動画を見た学生は、動画が役に立っていると感じている
「採用動画はあったほうが良いと思うか?」というアンケートデータでは、およそ9割の学生が、就職活動において動画が役に立ったと回答をしました。動画は短時間で定性的な企業情報を知ることができるため、学生に必要とされているコンテンツと言えます。

オンラインでの就職活動にメリットを感じている
22卒の学生へのアンケート結果として、92%がオンライン就活に「メリットを感じる」と回答がありました。オンラインでの採用活動とは、Webサイト閲覧やオンラインでの合同企業ガイダンス、会社説明会、面接などを指します。オンラインでは自宅ですべて済むことから、学生からすると交通費が浮いたりとメリットが多いです。一方で、実際に企業訪問の機会が少なくなっていることも事実です。不安を払拭するためにも「動画」で足りない情報を補足し、採用面での強化を図る必要があります。
22卒学生650名に聞く!「オンライン就活」意識調査2021 ―『iroots』ユーザーアンケート―
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2021/26140.html
5Gの普及が本格的に開始されることでの需要拡大
5Gの普及が本格的に開始され、大手通信キャリアによる通信料金の引き下げによりさらに動画が当たり前になっていきます。コストだけでなく、通信速度も大幅に改善されることでよりリッチな配信が可能になり、採用動画コンテンツの需要は今後も拡大していくことが予想されます。
採用担当者必見!採用動画マーケティングのメリット
採用活動における工数・コストが減らせる
採用動画は、採用サイトやパンフレット、YouTubeチャンネル、動画広告、SNSなどたくさんのメディアで利用可能です。そして、採用動画として一度制作してしまえば、さまざまな媒体で2次利用をして発信と拡散できることが大きなメリットです。
特に、多数の先輩社員から学生にメッセージを送る場合、先輩人数が多くなればなるほど、説明会回数を多くすればするほど、人件費がかさむため、動画にしておくことで大幅なコスト削減が見込めます。
「安定的」に、企業の魅力や事業紹介、職場の雰囲気、働く人の声などを伝えることができるため積極的に利用していくことをオススメします。
職場で働くイメージを伝えやすい
後術ででてきますが、学生は職場の雰囲気を一番気にしています。
リクナビやマイナビ、自社サイトで写真とテキストで職場の雰囲気を発信するよりも、動画で発信することで、「会社ならではの空気感」や「将来働く職場のイメージ」「先輩、後輩との距離感」など、これまでの発信方法では伝えにくい情報を盛り込むことができます。
社員が語る動画では、話し方や声のトーン、服装などを知ることができ、将来働く職場のイメージがより濃く印象に残るはずです。
記憶に残りやすい
採用動画だけでなく、動画そのものが「人の記憶に残りやすい」と言われています。
「3V」は、人間の記憶に影響をもたらします。3Vとは、Verbal(言語)、Vocal(聴覚)、Visual(視覚)を指し、言語7%、聴覚38%、視覚55%と記憶に残る割合が違います。動画には、「文字」「音」「映像」とこの3Vの要素がすべてが含まれているため、文章や写真とは比べ物にならないくらい記憶に残りやすく、印象づけることができます。
この印象が採用活動においては重要であり、志望度の変化だけでなく、内定後の辞退も減らすことが期待できます。
短時間で多くの情報を伝えられる
動画は、写真や文章よりも短時間で多くの情報を伝えることが可能です。
1分間の映像には180万語に相当する情報量があるとされており、Webページに換算すると3600ページにも相当するほどの情報量とアメリカの動画マーケティング会社から発表されています。
さらに、動画を見ているだけで「受動的」に情報をインプットすることができるため、わざわざ読むという行動をとらなくても自然に多数の情報を伝えることができます。学生にとっては、沢山の企業を見て比較検討をするため、短時間で多くの情報を伝えることは、大きなアドバンテージになります。
ライバル企業が採用動画活用をしていない場合、印象に残る
人手不足が拭えない昨今、ライバル企業に優秀な学生を取られることは今後の経営にも強く影響してきます。同業種で、採用活動における動画活用が自社だけであれば、他社よりも会社の魅力をより伝えられるため、記憶や印象にも残りやすいはずです。
ありのままを出すことでミスマッチの可能性を低くできる
その企業らしさを動画に収め、ありのままの姿を学生に見せることで、将来入社する企業の雰囲気を事前に把握することができるため、学生自身が自分に合うか判断することができ、ミスマッチを防ぐことにも期待できます。
採用動画のデメリット
スマートフォンの速度制限を気にして見ない場合もある
学生の経済状況や行動にもよりますが、通信速度制限がはいることを懸念して見ない可能性もあります。ただ、現在は自宅や外出先でのWi-Fiも完備されてきているため大きな心配はいらないでしょう。逆に、通信速度を気にして企業研究を怠る学生は、そもそも採用するに値する学生かは疑問です。
動画時間が長すぎると伝えきれない
自社の魅力や雰囲気を、余すことなく伝えたいと思って、長編動画をつくったとしても学生はすべて見てくれません。現にあなた自信もYoutubeを見ていて、興味がないサービスや動画はそもそも見ないでしょうし、興味がある動画でも最後まですべて見ることは中々ないでしょう。
採用動画の最適な時間は3~5分程度がひとつの目安です。動画内でも様々な演出を加えながら、飽きずに最後まで見ることができる工夫を行い、短時間で簡潔にまとめることが成功の秘訣です。
企業目線での動画は学生に受け入れられない場合がある
採用動画で何を伝えるかは企業毎に特色がでます。企業は想いを込めて発信した動画が、学生の受け取り方次第でマイナスイメージを持たせてしまうこともあります。
例えば、社内の雰囲気を伝えるために「楽しく・仲良く・親しみやすく」をコンセプトに発信しても、受け取り方は「ヘラヘラしてて真面目に仕事をしているか気になる」といった印象を持ってしまうこともあるかもしれません。
また、「元気な職場」というイメージを伝えようとしても、「体育会系で厳しそう」といった見方もあります。
このようなことを防ぐためには、複数本の採用動画を用意することで、色々な視点で企業研究ができるように見せてあげることが解決策となります。
見せ方次第でミスマッチが起きる可能性がある
メリットでお伝えした「ありのままの姿」を発信することで、ミスマッチを防ぐことはできますが、「ありのまま」を表現しすぎてしまう場合、悪い印象になりミスマッチがでてしまうこともあります。
また、悪い部分を隠しすぎて、良い部分を誇張して表現してしまうことで、入社前後のギャップを感じてしまう可能性もあります。
すべては企画とシナリオ次第であるため、採用マーケティングの全体像を描き、1本1本の動画を戦略的に考え制作することで防ぐことができます。
学生は内容を記録しにくい
学生にとってのデメリットはあまりありませんが、強いて言えば情報が流れていってしまうため、手元に残りにくいという点もあります。その場合、動画の後に見てほしいページやイベントなどを告知して、適切に案内することで解決できます。
採用動画を活用して成果を出すための採用マーケティングの基礎
学生が情報収集している経路を知る
企業ホームページで情報収集を行うことが主流になっています。
特に、企業に求人応募する前後と面接前に、重点的に求人情報以外の情報収集や企業研究を行っているようです。学生はSNSを見ている印象が強いですが、企業ホームページは採用情報の収集において最重要であり、採用動画を設置する場所も企業ホームページを中心に構成する必要があります。

企業の「採用サイト」に関する意識調査を公開
https://one-group.jp/press/210719.html
学生が求めることを把握する
若年層の意識調査結果として発表されている「働きたい職場」「上司に期待すること」「仕事をする上で重要視したいこと」を把握すると学生が何を求めているのか、何を表現すべきかが見えてきます。
働きたい職場の特徴
働きたい職場は、「お互いに助け合える環境」「アットホーム」「個性を尊重できる職場」が上位を占めており、いわゆる「社風の良さ」を気にしていることが分かります。

【調査発表】2021年 新入社員意識調査
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000350/
上司に期待すること
上司に対しては、「自分が発する意見に耳を傾ける」「丁寧に指導すること」が求められており、「部下を大切に育てていく姿勢」や「研修制度」に期待しています。

【調査発表】2021年 新入社員意識調査
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000350/
仕事をする上で重視したいこと
毎年かわらず、「社会への貢献」や「自己成長」が大きな割合を締めており、「成長意欲を妨げないチャレンジできる環境」に興味をひかれるようです。企業が掲げるビジョンやミッションが重要視されそうです。

【調査発表】2021年 新入社員意識調査
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000350/
企業の採用サイトで知りたい情報
就職活動中の学生が最も知りたいことして「仕事内容」が最も多く、次に「福利厚生」「具体的な働き方」が挙げられています。

学生が求めていることのまとめ
- 「お互いに助け合える環境」「個性を尊重できる職場」=「社風の良さ」を伝える
- 「自分が発する意見に耳を傾ける」「丁寧に指導すること」=「部下を大切に育てていく姿勢」を伝える
- 「成長意欲を妨げないチャレンジできる環境」=「先輩の声」「トップのビジョン」を伝える
- 「具体的な仕事内容・働い方」「福利厚生」=「仕事内容・働き方」「福利厚生」を伝える
メインターゲットである学生の「想い」や「行動」を把握し、その行動心理に基づいた情報提供と集客施策が成功のカギとなります。
学生が求めるコンテンツを整理する
上記で学生が求めることを整理することで、求職者にマッチする採用ページとコンテンツが導き出せます。

学生のカスタマージャーニーを描き、行動導線に種を蒔く
採用カスタマージャーニーマップをつくり、学生の行動導線を見える化します。フェーズ毎の行動・感情(課題)を洗い出すことで、どのような動画コンテンツや採用ページを用意すれば良いかが見えてきて、実行に移すことでエントリー率や面接率の向上が期待できます。

採用動画マーケティングにおける動画の種類と成功事例
ここからは、採用動画マーケティングに必要な動画コンテンツの種類と成功事例をお伝えします。
動画の種類として大きく分けて7つに分類できますが、いずれも適切なタイミングで動画見せてあげることが最大限の効果を発揮します。
上記カスタマージャーニーマップを軸に割り振ると、フェーズによって様々な動画があることが分かります。
【フェーズ:情報収集~Webで検索】
- 採用ブランディング動画
- 会社・部署紹介動画
- 採用サイトTOP – イメージ動画
【フェーズ:比較検討~エントリー】
- 社長メッセージ動画
- インタビュー動画
- 座談会動画
- 会社説明会動画
それでは、実例で見てみてください。
「情報収集~Web検索」フェーズの採用動画 ※参考事例あり!!
採用ブランディング動画
採用ブランディング動画とは、端的に言うと「企業価値を最大限に高めて求職者に伝える動画のこと」で、会社の価値やビジョンを伝えることに適しています。
「企業が発信するメッセージ」や「社長・社員が考える価値観」を惜しみなく表現することで学生が共感し、興味を持ち、記憶に留めることで、必要としたときに思い出してもらうことを狙いとする動画です。
<採用ブランディング動画の例>
「自動車カム試作メーカー」の採用ブランディング動画 @moe_lychee
純粋にかっこいいな~!語りがかっこいい!それを引き立てているのはイメージカット! @moe_lychee
気持ち長めの映像だけど、理念を起点に実現したい世界観を社内外に伝えることを果たしている! @moe_lychee
ブランディングムービーとはまた、 一味違う感じがする @moe_lychee
社員自らが作詞していて、不満や感謝など言いたいことをぶつけるという演出で「風通しの良さ」を伝えている動画。 @moe_lychee
会社・部署紹介動画
会社・部署紹介動画とは、会社や事業にフォーカスして説明し会社をより理解してもらうための動画で、会社が行っていることの全体像を端的に伝えたい場合に有効です。社長や社員、場合によってはナレーターが説明して、どんな会社か?どんなことをやっているのか?をイメージカットと組み合わせて案内します。
<会社・部署紹介動画の例>
実際の仕事内容をより伝えやすくしています
様々な立場・部署の社員が会社の風土を紹介しています。
採用サイトTOP – イメージ動画
今や採用サイトが欠かせない時代ですが、トップページで動画を使い表現力を高め情報を伝える手法もトレンドになっています。アクセスしたトップページが動き出すことでインパクトも与えることができ、印象に残ります。
<採用サイトTOP-イメージ動画の例>
※実サイトにてご確認ください




「比較検討~エントリー」フェーズの採用動画 ※参考事例あり!!
社長メッセージ動画
社長メッセージ動画は、社長自らが動画で語る動画で、社員がついていきたくなるような社長の場合、かなり有効な動画です。やりがいを持って働けて成長できる環境があることを伝えていくことが大きな成果につながります。学生が「仕事をする上で重視したいこと」のアンケート結果でもあるとおり、「社会への貢献」や「自己成長」が上位を占めています。その期待に応える動画が社長メッセージ動画となり、採用において大きなパワーを発揮することがあります。
<社長メッセージ動画の例>
インタビュー動画
インタビュー動画は、インタビュー形式で社員が語る動画で、社員の人柄や働く姿勢、仕事内容を伝えることができる動画です。よくあるパターンは、具体的な仕事内容を語り、関連するイメージカットを添えながら、やりがいを持って働けている様子を表現します。先輩社員の声であれば、部下への接し方や指導方法なども盛り込み、「部下を大切に育てていく姿勢」を見せて安心して働ける職場であることもPRします。
<インタビュー動画の例>