LRTは、Light Rail Transitの略で、新しい路面電車のこと。昔ながらの路面電車のイメージを一新した、新しい交通機関として注目されている。騒音が少なく、静かで速い、 低床式で乗り降りがしやすいといった特徴があり、環境問題や交通渋滞・駐車場不足に悩む都市の交通政策の新しい試みとして、ヨーロッパなどで積極的に導入されてきている。
 
  LRTを初めて見たときの印象は、意外とスリムだということ。乗ってみると、滑らかな走りで乗り心地がいい。訪れたまちの幾つかは、中心部への車の乗り入れを規制し、 道を行くのは歩行者と自転車とLRTのみというトランジットモールになっていた。軌道敷と歩道の間に段差や障害物は何もなく、人も自転車も自由に行き来している。 ここではLRTはスピードを落としゆっくりと走っているので、威圧感や危険は感じられない。また、音が静かなのと、排気ガスをまき散らさないので、 すぐ脇をLRTが走っていっても不快な思いをすることはなかった。
 
  LRTのウリの一つに「低床式」があげられる。一口に低床といっても、全車両の床がすべてフラットなもの、乗降口付近が低床で、 そこにベビーカーや車椅子優先の場所を設けてあるもの、3両編成のうち2両目の乗降口付近が低床になっているものなどまちによってバリエーションがあった。 いずれにせよ地面からの段差がわずかで車内にも段差がないので、ベビーカーもなんなく乗り降りができる。実際、車内でベビーカーをよく見かけた。
 
  まちなかではゆっくり走るLRTだが、郊外ではスピードをあげ、快調に走る。LRTの利用を促進するため大きな駐車場を設けている駅や、 バスターミナルと隣りあっている駅もあった。また原則的に道路では車の走る部分と路面電車の走る部分とは分離されており、車の渋滞に電車が巻き込まれることはなかった。
 
  LRTを利用する時は、各駅(駅というよりバス停のイメージ)にある自動券売機で切符を買う。距離に応じ数種類のゾーンごとに料金設定がされているが、 24時間乗り放題やグループ割引などのお得な料金設定もあった。ユニークなのは、犬とのセット。車内ではどの犬もご主人様の隣で行儀よくお座りをしていた。 また、自転車を持ち込める町もあった。文化の違いを一番に感じたのは、改札。基本的に鉄道に改札はなく、LRTも例外ではない。乗車口・降車口の区別もない。 乗客は駅または車内にある入鋏機に切符を差し込み自分で刻印を入れる。切符のチェックはゲリラ的に(?)乗り込んでくる検札員が行っていた。