<内容>
1人で見るのがもったいない風景、どこを切り取っても絵になる街。
建築家が案内する静岡発 世界35都市
私の旅は、かつては"鼻先に吊したニンジン"だった。
本業の他に大学の非常勤の先生をしていたり、毎週日曜の朝には地元のコミュニティFM、FM-Hiの「Sunday Morning Flight 765」で、"リチャード機長"役をしていたり…文字通りの"貧乏暇なし"。
いつも何かの締め切りに追いかけられ、ばたばたと気持ちに余裕がなく、慢性的に睡眠不足。こんな生活をしていると、この現実から逃げ出したくなるときがある。
旅に出ていわゆる"命の洗濯"ができたり、新たな人やもの、説明のしようがないほどに美しい景色や芸術作品と出会う、想像もつかなかった考え方に触れる…こんなことがつづくと、旅の占める位置が変わって自己目的化する。
忙しかった日常は、その中に旅が入ることでさらに忙しくなる。凄いスピードで泳ぎ回らないと呼吸ができない「高速回遊魚(たとえばマグロ)」みたいな生活になる。限界まで疲れ切って空港にたどりついて、シートベルトを締めてそのまま眠りこんで、目が覚めたら1回目の食事がもう済んで…そんなことも。
旅先の時間は密度が高い。ひとつひとつの旅に、珠玉のような思い出の圧縮パック。1人で見るのがもったいない風景、どちらを向いて切り取っても絵になる街。
世界の各地、それぞれの持ち味で輝き息づく街角、ご案内しましょう。