お客様インタビュー
紙でも、サイトでもない。映像だから伝えられる「距離感」
焼津ICから車で1分。静岡県焼津市で、焼津港や小川港、大井川港などで水揚げされた海の幸が集まる産地総合卸売市場・焼津さかなセンター様。
はじまりは戦後、リヤカーや自転車の荷台を店代わりにして開いた駅前朝市でした。いまでは、年間約170万人もの観光客が訪れる人気スポットとなっています。
しかし、半世紀以上にわたる歴史や高い認知度を誇る一方で、「ファンの高齢化」が徐々に顕在化。若者や子育て世代に広めていくための施策として行き着いたのが、「映像」でした。
映像に込めたストーリーや魅せ方について、広報を担当する企画経営部管理課の石川様とディレクターの大石、営業担当の中村が振り返りました。
写真左から:焼津さかなセンターの根本さんと石川さん、弊社ディレクターの大石、営業担当の中村
1.高いPV数を活かした戦略。「受け身広報」からの脱却
今回、プロモーション映像をつくろうと思ったきっかけを聞かせてください
(さかなセンター石川さん)さかなセンターのお客さんは、「さかなセンターと一緒に歳をとっていく」というような感じがあって、年齢層が徐々に高くなっている傾向がありました。それを、若者や子育て世代に広げていくことを考えたときに、「映像」に行き着いたんですよね。
というのも、さかなセンターのストロングポイントは、「対面販売」「人情味」だと思っていて。ただ、それをWebや紙面で伝えるのはすごく難しい。伝え方を検討していくなかで、人の動きや表情、声を伝えられる「映像」がいいんじゃないかと思いました。
(ディレクター大石)映像だからこそ伝えられるものですね。
(さかなセンター石川さん)そう。それに、サンロフトさんと話をさせてもらったときは、ちょうど僕自身も自ら発信しなきゃと思っていた時期でもあるんです。それまでのさかなセンターは、テレビ取材が1週間に2~3本入るということもざらにあって、基本は受け身のスタイルだった。でも、さきほどの年齢層もそうですが、「自分たちから発信していかないと」と思うような問題が徐々に顕在化してきたわけです。ただ、いろいろな広告代理店さんと話をしていたんですが、実現には結びつかずにいたんです。
転換期の新たな挑戦だったんですね。実現の難しさはどのようなところに感じていましたか?
(さかなセンター石川さん)たとえばサイトをつくって、いざプロモーションをしようというときは、データをもとに効果計測をして、改善していきたい。でも、広告代理店の多くは、「プロモーション期間が終了したら終わり」というような部分がどうしてもあったんですよね。
(ウェブ解析士:中村)石川さん、「データを集めたい」と日頃からおっしゃっていますもんね。
(さかなセンター石川さん)そう。なので、サンロフトさんに話をさせていただくなかで、映像制作もできると聞いたときは驚きました。それまでサンロフトさんのイメージは、「Webサイトを制作する会社」だったので。実現したかったことのイメージやできる幅がぐっと広がっていくような感覚でしたね。
ありがとうございます。サンロフトに依頼しよう!と決め手になったものはありますか?
(さかなセンター石川さん)そうですね。やっぱりさかなセンターは、WebサイトのPV数がとても高いんですよ。なので、サイトをうまく活用して、そこからファンを取り込みたいと考えたときに、サイト制作やアクセス解析も含めてお願いしてるサンロフトさんにお願いした方が、相談もしやすいですし、より効果が高まるのではないかと思いました。
2.目標は、Web上で対面販売!映像を通じた疑似体験でファンづくり
映像が公開されたのは、2021年12月。
最初に提案した5月から約半年で公開までこぎ着けたと思うと、かなりスピード感がありましたね
(さかなセンター石川さん)そうですね。7月くらいに絵コンテが出来上がって、11月に撮影して。急ピッチで編集して、確認して…というすごいサイクルでした(笑)。
(ディレクター大石)ギリギリでしたよね。なんとか年末までに公開しようって。
(さかなセンター石川さん)そう。やっぱり年末は来場も多いですし、サイトのアクセス数を見ても圧倒的に年末が多いので。お客さんに見てもらえるタイミングで新しいことをはじめた方がさらに効果的かなという思いもありましたね。
映像のストーリーでは、どのような点を意識されていますか?
(ディレクター大石)石川さんがおっしゃっていた「人情味」を映像で表現したいというのが第一にありました。お客さまのもとに商品が手渡されるシーンだったり、食べる手元だったり。被写体が接客を受けているのを第三者視点で見るのではなく、自分が体験しているかのように感じられる疑似体験要素をベースに構成しましたね。
(さかなセンター石川さん)絵コンテを作成する前から一緒に話を進めてきたので、あがってきた絵コンテはすでに僕のイメージを十分取り入れてくれていました。同業他社や他観光施設の事例も紹介してもらったので、イメージも鮮明になって。「本当に来たくなるような映像をつくれる!」と手ごたえも感じましたね。
(ディレクター大石)ありがとうございます!
(さかなセンター石川さん)映像もそうなんですけど、僕の最終的に行き着くところは「Web上での対面販売」。バーチャルやメタバースのような空間で、現地に来なくてもさかなセンターの活気あふれる雰囲気を体験できるようにすることが最終目標なんです。そのスタート地点がこの映像なのかなと思っています。
映像で疑似体験ができるというのも、まさにそういった狙いがありますね
(さかなセンター石川さん)そうそう。映像自体も、「距離の近い映像」をつくりたいと思っていて。観光施設のプロモーション映像というと、ザーッと全景を写しながら設備を紹介していくものが多いけど、それならパンフレットを見ればいい。紙面で伝えきれないところを「映像」という形で落としていくことを大事にしたかった。あと、「食を見せる」というのは、一貫して言っていましたね。
(ウェブ解析士:中村)そうですね。サイトのアナリティクスを見ても、トップページに入った方の多くが「お店を探す」というコンテンツを閲覧していたので。「食」に興味を持っていることがデータからもわかって、まずは食で引きつけようという話になりましたね。
3.距離の近さが、映像の質に。
出演者とクリエイターが「魅せる映像」を追求
今回は、60店舗あるうち6店舗に出演いただきました。撮影当日の様子について聞かせてください
(さかなセンター石川さん)今回は、動画の尺的にすべての店舗は紹介できなかったので、まぐろやなまり節といった、焼津らしさが出るような専門店にフォーカスを当てることにしました。撮影自体は、1日半くらいでしたね。
(ディレクター大石)はい。撮影当日もみなさん協力的で。まぐろをカットするシーンを撮影したときも、「映えるの撮ってよ!」ってわざわざ売り物から立派な赤身を出してくれて。それが、ファーストカットにもなりましたね。
撮影体制としては、ディレクター・クリエイター・営業担当の3名で伺いました。
印象に残っているシーンはありますか?
(さかなセンター石川さん)印象に残ったのは、クリエイターの高山さんの勢い(笑)。「いい映像を撮りたい」という思いが強いんでしょうね。「いま、何のシーンを撮っているのか」というのも伝わってくるので、撮影に関してはほぼおまかせしていました。
(ディレクター大石)撮影したものをモニターで確認できたので、できあがりもイメージしやすかったかもしれませんね。店舗の皆さんにもその場で映像を確認いただいて、「(商品を渡す)手はこっち側の方がいいね」と言いながら、撮り直したことも印象的でした。
(さかなセンター石川さん)しかもそれ、一発目だよね(笑)。高山さんも最終的にお店の中に入って(店員目線で)撮ってたよね。
(ディレクター大石)はい(笑)。クリエイターは画面に必死になって、どんどん前にも行くし、後ろにも下がる。撮影スケジュールを常に確認しながら、お店側やお客さまのご迷惑にならないように撮らせていただきましたね。
(さかなセンター石川さん)うん。撮影はおまかせしていたとは言え、やっぱり僕自身の考えもあるし、次のスケジュールもあるので、大石さんが僕とカメラマンの間に立って、うまく立ち回ってくれていたなと思います。
完成後、店舗のみなさんからの反響はいかがでしたか?
(さかなセンター石川さん)口をそろえて言っていたのは、「綺麗な映像をつくったね!」「いいじゃん」ですね。あとは、「ちょっと恥ずかしいな」「おれの顔アップじゃねえか!」っていう人が数人(笑)。「こんなにいい映像なら、もうちょっとうちの店の時間を延ばしてくれればよかったのに」という声もありました。
(ディレクター大石)「映像が綺麗」というのは、RAW撮影(*)も理由のひとつかもしれませんね。ただ綺麗な映像というよりも、素材の質感が出ますから。
(さかなセンター石川さん)そう!最初、聞いたときは、「あとから色のせられるの?」って思っていたけど、できあがった映像を見て驚きました。ただ普通に撮っただけでは、あそこまでの奥行きは出ないと思います。
*RAW撮影
カメラのセンサーが被写体から受け取ったデータをそのまま記録すること。編集段階で明暗やホワイトバランスなどを自在に設定することができ、映画やドラマ、CMなどの撮影シーンで使われている。
4.データに基づいた施策で、データを超える。
広告会社・メディアから反響続々
公開後、効果計測レポートを作成させていただきました。
それを受けての手ごたえや今後、挑戦したいことについてお聞かせください
(さかなセンター石川さん)思ったよりも視聴されているな、という印象でしたね。その方向でやりはじめたことは間違いではなかったんだなと感じました。
(ディレクター大石)今回はYouTubeで映像を公開しましたが、SEO対策もこだわっていて。「静岡 観光」「焼津 観光」というキーワードで、いかにヒットさせるか。アナリティクスで流入経路を確認しながら、ハッシュタグや概要欄の書き方を試行錯誤しましたね。
(ウェブ解析士:中村)映像は効果がわかりにくいので、「店舗に来てくれた人が○人」とはなかなか言えない。少しでも効果を見える化して、他の施策と結び付けながら進めていけることがサンロフトの強みですから。
(さかなセンター石川さん)定性的な反響でいえば、僕がお付き合いをしている広告会社やテレビ局、行政からいただく声もあって。「いい映像じゃん」「番組やイベントで映像を使いたい」とか。さかなセンターらしい映像になっているということだと思います。
いろいろなシーンで活用いただけているようでうれしいです。
今後、サンロフトに期待することは?
(さかなセンター石川さん)いま、進めているサイトや映像、効果計測が大部分になってくるでしょうか。マーケティングや広報はデータがすべてだと思っているんですが、うちの会社は広報部分がまだ弱い。そこが今後、強くならないといけないんだけど、それには準備も、時間も必要で。そういうところをサンロフトさんにお願いしながら、一緒にさかなセンターのPRに取り組んでもらえたらなと思っています。
(ウェブ解析士:中村・ディレクター大石)ぜひ!
(ウェブ解析士:中村)石川さんは「これをやりたい」というアイデアがたくさんでてくる。インターネットの世界とオフラインの世界とを行き来できるような、そういう世界観をつくっていきたいですよね。
さきほどの「Web上で対面販売をしたい」「最終的にはメタバース」という夢にもつながるお話ですね
(さかなセンター石川さん)そう。要は、ECサイトをその形にしたい。Web上でお店に入って、AIの店員さんとやりとりをするなかで購入ができたら、すごくおもしろいんじゃないかと思っていて。
(ウェブ解析士:中村)「今日、ここに来たら何が買えるんだろう?」みたいなわくわく感がでてくるような。
(さかなセンター石川さん)そうそう。さかなセンターのストロングポイントは「対面販売」「店舗数が多い」というところ。もちろん、「幅広くお客さまを獲得していきたい」という想いもあるんですけど、それは僕のなかで2~3割。やっぱり、ファン、常連さんをつくっていきたいんですよね。
そのためにも、次はSNSでファンをつくっていきたいですね。
引き続きぜひ、ご一緒させてください。石川さん、本日はありがとうございました!
取材のご協力:さかなセンター石川様
お客さまの担当:ディレクター大石、映像クリエイター高山、ウェブ解析士 中村(サンロフト)
執筆:服部(サンロフト)