本記事では
「Webマーケティングを始めたいが何から始めたらいいのか?」
「Webマーケティングの戦略とは?」
「Webマーケティングに必要なフレームワークとは?」
といった疑問をお持ちの方に向けて、Webマーケティング戦略や戦略立案について解説していきます。
実は、企業がWebマーケティングを成功させるためには、フレームワークによるWebマーケティング戦略立案が欠かせません。読み終えていただければ、Webマーケティングに使える具体的なフレームワークがわかり、すぐに着手することができます。
では、さっそく説明していきます!
1. Webマーケティング戦略とは?
マーケティング戦略とは、自社の商品やサービスの市場を把握・分析し、自社の商品やサービスをどのように差別化して顧客に購入してもらうのか(提供していくか)を考え、実行していくことをさします。
このマーケティング戦略を、「Web(インターネット)」というくくりの中に限定したものが、Webマーケティング戦略です。
Webマーケティング戦略を行う上で基盤となるのは、「マーケティング」についての基礎知識です。ここでは、「マーケティング」の基礎知識について簡単に解説します。
◎ マーケティングとは?
Wikipediaでは、「企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにするための概念」と解説しています。
出典:Wikipedia
◎ Webマーケティングとは?
Webマーケティングとは、Web(インターネット)を用いて行うマーケティング活動全般のことです。Webサイト運用、SNSによる集客、Web広告の出稿、企業ブログの運用など、多岐にわたります。
従来型のマーケティング活動と比較した時の、Webマーケティングの最大の特長は、「Web上での顧客の行動を数値化し把握できる」点です。
Webマーケティング戦略を行う上では「マーケティング」や「Webマーケティング」の基礎知識が必須であり、基盤となってきます。
くわしくは、下記の記事で解説しています。
2. Webマーケティング戦略立案のためのフレームワーク①【現状分析】
本章では、企業の現状を把握・分析するためのフレームワークを紹介します。Webマーケティング戦略に着手する際には、ここで紹介するフレームワークを、1つだけではなく必ず複数使用し、自社の現状分析を行いましょう。
3C分析
3C(スリーシー、サンシー)とは
自社(Company)・競合他社(Competitor)・顧客(Customer)
の略で、3C分析は下記のようなことを行えるフレームワークです。
【3C分析でできること】 ◎ 自社と競合他社それぞれの特性を把握できる ◎ 市場・顧客の趣味・志向を分析し把握できる ◎ これらを照合し、自社の強みを活かして成功の条件を割り出す |
つまり、3者(自社・競合他社・顧客)の関係を明確にし、自社をとりまく環境を把握する、そして、顧客のニーズと自社の強みを的確に把握するプロセスが3C分析です。
また、3C分析で最も重要なのは、「KSF(Key Success Factor)を見つけること」です。KSFとは、簡単にいうと「成功するための要因」のことです。
KSFを見つけるには、まず、外部環境(競合他社・市場の志向)と内部環境(自社)を照合します。その上で、自社の強みを活かすことで達成できる成功の条件(成功要因)を見つけましょう。
3C分析には、下記の表をご活用ください。
【自社】Company □ 理念・ビジョンは? □ 事業の現状は? □ 商品・サービスの現状は? □ 資本力や投資能力の現状は? □ 強み・弱みは? □ ブランドイメージは? □ 事業の特徴 □ 商品・サービスの特徴 |
【競合他社】Competitor □ 競合他社の動向は? □ 競合他社の戦略・戦術は? □ 競合他社の強み・弱みは? □ 今後想定される動きは? |
【顧客・市場】Customer □ 市場規模は? □ 市場の成長性は? □ 市場の動向は? □ 今後想定される市場動向は? □ 顧客の消費行動は? □ 顧客のニーズは? □ 今後想定される顧客ニーズは? |
PEST分析
PEST(ペスト)分析とは、自社を取り巻く環境にフォーカスし、マクロ環境要因※を分析するフレームワークです。
※マクロ環境要因とは、社会全体の変化や影響といった自社を取り巻く外部環境要因のことです。
PESTは
政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)
の略で、PEST分析は下記のようなことを行えるフレームワークです。
【PEST分析でできること】 ◎ 市場のニーズや変化の把握 ◎ それによる自社への影響の把握 |
PEST分析には、下記の4つの指標をご参考ください。
【政治的環境要因】Politics 行政面(政治・法律など)の変化から分析します。 □ 政治や政権体制などの動向 □ 法律 □ 法改正 □ 条約 □ 税制 □ 公的補助 □ 助成 など |
【経済的環境要因】Economy 経済面(景気・経済成長など)の変化から分析します。 □ 景気動向 □ 賃金動向 □ 消費動向 □ 経済成長率 □ 物価・原材料の価格変動 □ 株価・為替 □ 金利 など |
【社会的環境要因】Society 消費者の生活面(流行・人口構成など)の変化から分析します。 □ 人口と人口構成 □ 人口密度 □ 少子化や高齢化 □ 流行・事件 □ 世論 □ 言語・宗教 □ 教育 など |
【技術的環境要因】Technology 技術面の変化から分析します。 □ IT □ IoT技術 □ 新しい技術とその開発 □ イノベーション □ 特許 □ ビッグデータ など |
本章で紹介した、「3C分析」「PEST分析」よりもさらに基礎的なフレームワークに「SWOT(スウォット)分析」というものがあります。
SWOT分析は、もっとも基本となるフレームワークなので「Webマーケティングの基礎知識」の記事で事例とともにくわしく解説しています。
参考にしたい方は、下記記事の「3-1. マーケティング戦略を立てる」をご覧ください。
3. Webマーケティング戦略立案のためのフレームワーク②【企画・提案】
自社の現状分析ができたら、次に具体的な企画を考えていきます。本章では代表的な3つのフレームワークを紹介します。
4C分析
4C(フォーシー・ヨンシー)分析とは、顧客の視点から分析を行う手法です
4Cは
顧客価値(Customer Value)・顧客が費やす費用(Cost) ・顧客の利便性(Convenience) ・顧客とのコミュニケーション(Communication)
の略です。
4C分析は下記のようなことを行えるフレームワークです。
【4C分析でできること】 ◎ 顧客視点(買い手の視点)からのマーケティング分析 |
4C分析には、下記の指標をご参考ください。
【顧客価値】Customer Value 商品やサービス自体の価値を顧客視点で分析します。 □ 顧客が受ける価値は? □ 顧客が受ける恩恵は? □ 商品やサービスによるベネフィットは? □ 機能性の価値は? □ 利便性の価値は? □ 商品を手に取ったときの顧客の感情は? □ サービスを使ったときの顧客の感情は? など |
【顧客が費やす費用】Cost 商品やサービスの価格や所用時間などを顧客視点で分析します。 □ 顧客が費やすお金は? □ 顧客が費やす時間は? □ 顧客が価格を知った時の感情は? □ 顧客が価格を知った時の反応・行動は? □ 顧客は価格を知った後に利用するか? など |
【顧客の利便性】Convenience 入手のしやすさといった利便性を顧客視点で分析します。 □ 顧客にとって入手しやすいか? □ 顧客にとってどんな場所で販売すると入手しやすいか? □ 顧客にとってどんな方法で販売すると入手しやすいか? □ 顧客にとって販売チャネルはどれくらいあると便利か? □ 営業担当者は必要か? □ どういったカスタマーサポートがあると便利か? など |
【顧客とのコミュニケーション】Communication 顧客とのコミュニケーションを顧客視点で分析します。 □ 顧客に信頼してもらえるコミュニケーションは? □ 顧客に安心してもらえるコミュニケーションは? □ 顧客が不快感を抱かないコミュニケーションは? □ SNSによるコミュニケーションは? □ メールマガジンによるコミュニケーションは? □ 顧客が必要とするコミュニケーションは? など |
4P分析
4P(フォーピー・ヨンピー)分析とは、企業側の視点(売り手の視点)から分析を行う手法です。
4Pは
製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販売促進(Promotion)
の略です。4P分析は「マーケティング・ミックス」とも呼ばれます。
4P分析は下記のようなことを行えるフレームワークです。
【4P分析でできること】 ◎ 企業側の視点(売り手の視点)からのマーケティング分析 ◎ 商品やサービスを売る側の視点から、顧客にどのように訴求するかを考える手法 |
4P分析には、下記の指標をご参考ください。
【製品・プロダクト】Product 商品やサービスについて企業側からの視点で分析します。 □ 品質は? □ デザインは? □ ブランド名は? □ パッケージは? □ 保証は? □ 商品やサービスを通して提供できるメリットは? など |
【価格】Price 価格について企業側からの視点で分析します。 □ いくらで提供するのか? □ 高価格帯で提供するのか?それとも低価格帯なのか? □ 価格はターゲット層にあっているか? □ 商品・サービスの価値と整合性はある価格か? □ 利益が適正に得られる価格か? など |
【流通】Place 流通・販売経路について企業側からの視点で分析します。 □ どのような販売経路で届けるか? □ 販売経路はいくつ設けるか? □ 実店舗・ネット通販・定期便ではどの手法が最適か? □ 実店舗の場合、店舗数は? □ 百貨店・大手販売店などに扱ってもらうか? など |
【販売促進】Promotion どのように認知してもらうかについて企業側からの視点で分析します。 □ 商品やサービスの情報をどのように届けるか? □ 商品やサービスにマッチした販売促進は? □ イベント実施によるプロモーションは? □ SNSによるプロモーションは? □ メールマガジンによるプロモーションは? □ CM・インターネット広告は? など |
STP分析
STP(エスティーピー)分析とは、効率良く売上をアップさせることを目的とした手法で、市場内での自社の有利な立ち位置の把握や明確化に使用します。
STPは
セグメンテーション(Segmentation)・ターゲティング(Targeting)・ポジショニング(Positioning)
の略です。
STP分析は下記のようなことを行えるフレームワークです。
【STP分析でできること】 ◎ セグメンテーション⇒市場の細分化と市場の全体像の把握ができる ◎ ターゲティング⇒市場全体の中で自社が狙うべき市場を絞り把握できる ◎ ポジショニング⇒競合他社と比較したときの自社の立ち位置を把握できる |
STP分析には、下記の指標をご参考ください。
【セグメンテーション】Segmentation 市場を細分化する工程です。次の4つの指標を使用します。 ◎ デモグラフィック(人口動態変数)人の基本情報の指標 □ 年齢 □ 性別 □ 家族構成 □ 学歴 □ 職歴 など ◎ ジオグラフィック(地理的変数)地理的要因による指標 □ 国 □ 市町村 □ 気候 □ 文化 □ 宗教 など ◎ サイコグラフィック(心理的変数)個人の心理による指標 □ 性格 □ ライフスタイル □ 価値観 □ 購入の動機 など ◎ ビヘイビアル(行動変数)個人の行動にフォーカスした指標 □ 買い物の頻度 □ 使用用途 □ 買い替えの時期・量 など |
【ターゲティング】Targeting ターゲットを絞る工程です。ここでは主要なターゲティングの手法を紹介します。 ◎ 無差別型マーケティングセグメンテーションを一切考慮しない方法で、すべての生活者をターゲットにしてアプローチする手法 他には、差別型マーケティングや集中型マーケティングといった手法があります。 |
【ポジショニング】Positioning 自社の優位な立ち位置を探る工程です。複数の項目を軸に競合他社との比較します。 □ 価格 □ 品質 □ 原材料 □ 店舗数 □ 販売方法 など |
4. Webマーケティングの実践で使えるフレームワーク
マーケティング戦略を立案し、実行に移した後は、定期的に戦略を見直して改善していくことが必須となります。
PDCAサイクルは、Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Act(改善)を繰り返す業務改善の定番の手法ですが、実は、このPDCAサイクルが提唱されたのは1940~1950年代の製造業の現場でのこと。第二次世界大戦後の手法なので、今の時代には合わなくなってきているとも言われています。
本章では、最近注目されている「PDRサイクル」を紹介します。
PDRサイクル
PDR(ピーディーアール)サイクルとは、ハーバードビジネススクールのリンダ・ヒル教授により2011年に発表されました。
PDRは、準備(Prep)⇒実行(Do)⇒評価(Review)の略です。
PDCAサイクルと比較すると、PDRサイクルは早いスパンで回すことができるため、変化や予期せぬトラブルが起きてもすぐに対応できるという利点があります。今の時代は変動や不確実なことが多く、複雑さも増しています。こういった変化の激しい時代にマッチしているのがPDRサイクルです。
また、PDRはサブスクリプション型サービスの改善にも非常にマッチしている手法です。
PDRサイクルの手順は下記の通りです。
① 準備する(Prep)何かを実行する前に、必ず準備をします。 具体的には、「これからしようとしていること」を明らかにしたり、「実行する理由」や「実行する目的」を考えて決定します。 ② 実行する(Do)準備したことを実行します。 ③ 評価・見直しをする(Review)実行後、必ず見直しをします。 具体的には、「準備したことは効果的だったか」「実行したことにより何が起こったのか」などを明らかにし、考察します。 |
この3つのサイクルを短く早く回していきます。
PDRサイクルのポイントは、「評価・見直し(Review)」の工程です。
評価・見直しの対象は、「実行(Do)」ではなく「準備(Prep)」である点に注意してください。
5. まとめ
最後に、本記事で解説してきた「Webマーケティング戦略立案のフレームワーク」についてまとめます。
Webマーケティング戦略の「現状分析」に使用できるフレームワークは下記の通りです。
現状分析【Webマーケティング戦略立案のためのフレームワーク】 ◎ 3C分析自社(Company)、競合他社(Competitor)、顧客(Customer) ・3者(自社・競合他社・顧客)の関係を明確にし、自社をとりまく環境を把握・顧客のニーズと自社の強みを的確に把握する ◎ PEST分析政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology) ・自社を取り巻く環境にフォーカスし、マクロ環境要因を分析する |
Webマーケティング戦略の「企画・提案」に使用できるフレームワークは下記の通りです。
企画・提案【Webマーケティング戦略立案のためのフレームワーク】 ◎ 4C分析顧客価値(Customer Value) 、顧客が費やす費用(Cost) 、顧客の利便性(Convenience) 、顧客とのコミュニケーション(Communication) ・顧客の視点(買い手の視点)から分析を行う手法 ◎ 4P分析製品(Product) 、価格(Price) 、流通(Place) 、販売促進(Promotion) ・企業側の視点(売り手の視点)から分析を行う手法・4P分析は「マーケティング・ミックス」とも呼ばれる ◎ STP分析セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning) ・効率良く売上をアップさせることを目的とした手法・市場内での自社の有利な立ち位置を把握し明確にする |
Webマーケティング戦略の「改善」に使用できるフレームワークは下記の通りです。
【Webマーケティング戦略の改善のためのフレームワーク】 ◎ PDRサイクル準備(Prep)⇒実行(Do)⇒評価・見直し(Review)を短く早く回す ・PDRサイクルは早いスパンで回すことができ変化や予期せぬトラブルが起きてもすぐに対応できる・変化の激しい時代にマッチしている ・サブスクリプション型サービスの改善にも最適な手法 |
PDRサイクルの注意点は、「評価・見直し(Review)」の工程では
「実行(Do)」ではなく「準備(Prep)」を対象にして見直しをすることです。
以上が本記事のまとめです。
「自社に合ったWebマーケティング戦略がわからない」「Webマーケティング戦略は上手くできているのか?」といったお悩みを抱えている方は、ぜひ1度弊社までご相談ください。
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