中小企業の新任マーケティング担当者がメルマガを続けた1年間を語る

メールという手段は昔から存在しているものであり、企業に勤めている方であればなおさら、日常的に使用している方も多いでしょう。社員同士、顧客への連絡時に使用するのはもちろんのこと、さまざまなコンテンツを届ける(デリバリーする)手段としても使用されることが増えました。

そのなかでも、代表的なものとして「メルマガ(メールマガジン)」があります。企業におけるメルマガは、端的にいうと、企業から複数の顧客に対して同じ内容を一斉に配信するメールのことです。

メールには、まるで手紙を送るような側面もあり、企業と顧客の接点をつくるものでもあります。しかし、一斉配信という側面を考えると、ひとりひとりに興味のある内容は届けることがむずかしいため、活用の仕方は考える必要があります。

そこで今回は、地方の中小企業にいるマーケティング担当者が、実際にメルマガを続けてきた1年間の記録をリアルにお伝えします。

では、さっそく始めていきます!

目次

1. メルマガを始めたきっかけとは

なぜ、メルマガを始めることにしたのか。

ひとことで言えば、1社でも多くの顧客と接点を設けるためです。

大抵の企業には顧客リストが存在しており、その情報がひとつにまとまっていることもあれば、各部署で所有したままになっていることもあります。また、自部署の顧客であっても、すべての顧客に対して接点を設けることができているか?と考えてみるとどうでしょう。

日々、目先にある業務で手一杯になることも多く、しばらく訪問ができていなかったり連絡ができていなかったりすることもあります。

そこで、「メルマガ」という接点をつくることに決めました。メルマガという手段であれば、一度に多くの顧客と接点をつくることができ、なかなか会えない距離にいる人とも繋がることができます。

なにより、自分たちの存在を意識してもらいたい。
何か困ったとき、専門家の手が必要になったとき、そんなときに自分たちの存在を想起してもらいたい。

そのような想いから、メルマガを始めることにしました。

2. 実際にメルマガを始めるまでに決めたこと

メルマガのコンセプト

まず、なんといってもコンセプトです。

コンセプトとは、概念や観念のことで、全体を通して一貫した構想といった意味で使われることが多いです。つまり、これから続けていくなかで、ブレることない方向性とも考えられます。

参考:コンセプトとは何? 辞典・百科事典の検索サービス – Weblio辞書
https://www.weblio.jp/content/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%97%E3%83%88

配信の目的は前述したとおり、大きく分けて以下の2点です。

 ・1社でも多くの顧客と接点をもつこと
 ・第一想起をとれる存在になること

そのためにどうするのか考えた結果、できる限り営業要素は排除することにしました。自分たちのやりたいことは、自社製品やサービスを売り込みたいわけではないからです。

また、配信は週に1回、木曜日にすることを決めて【今日は木曜日】と題しました。件名は、短い文字数で開封してもらうための工夫をする必要があり、正直なところメルマガのタイトルなんてものは無いほうがいいです。でもあえて、タイトルを付けることにしました。

このメールを届けたい人たちの多くは、月・火・水と週末に向けて乗り越えてきたうえで迎える木曜日。あともうひとがんばりしたい、日なのです。これは、自分自身に置き換えてみても言えることでした。

そんな日に、みなさんの背中を押せるような、ちょっとだけ日常にプラスを与えられるようなものにする構想を描きました。

メルマガで届ける配信内容

次に考えたのは、どのような配信内容にするかです。

前述したとおり、売り込みをするわけではなく、ひとりひとりに沿った内容を届けられるわけでもありません。そこで、あくまでも情報提供の位置づけで考えることにしました。

マーケティング担当になって間もないこともあり、日頃から自身が行っている情報収集を活かし、みなさんにぜひ知ってほしい【気になる3つの話題】を届けることに決めます。旬な話題、学んでほしい話題、知っておくべき話題、あくまでも顧客に届けたい内容です。

多くの場合において言えることですが、メルマガを担当するといっても他の業務と兼任して行います。ひとつひとつを、0からつくり出すのは現実的ではありません。顧客のためになるだけでなく自分自身のためにもなる、欲張りかもしれませんが理想的な形を選びました。

このような配信方法とは異なり、顧客それぞれのニーズに合わせた内容を届けるメールマーケティングについては以下でくわしく解説しています。メルマガ=メールマーケティングではなく、メルマガはあくまでもメールマーケティングにおける手法です。

3. 1年間、週1のメルマガを続けて感じた7つのこと

1週間という時間の短さに気づく

ものすごくあたりまえのことを言いますが、1週間はあっという間です。

今週のメルマガを配信し終えた矢先には、またすぐ次週の準備が始まります。時間の流れは同じであっても、まったく同じ日を過ごしていることはありません。しかし、さまざまな状況に置かれていても、木曜日は変わらずやってきます。

どんな状況下のなかでも、メルマガを届ける相手を想い、準備をするということを続けてきた1年でした。そしてこれからも。

とらわれるための数値ではない

メール配信をする際に、よく指標として挙がることといえば開封率や回帰率などがあります。

もちろん、施策として取り組んでいることではあるため、その数値を確認したうえで改善に向けて動くことは必要です。でも、とらわれるための数値ではないという気持ちでいました。

数値が良い悪いではなく、メルマガを届ける相手は「どのような内容を求めているのか」「どのような言葉が興味を惹くのか」といったような、あくまでも相手の気持ちを確かめるようなもの。ひとつひとつの数値が高いから良い、低いから悪い、っという考えは持ちませんでした。

ちょっとずつ距離を縮められるように、お近づきになれるように、そのあたりはリアルな人間関係と同じように向き合っている気がします。

常に試行錯誤の気持ちでやればいい

数値にとらわれないとはいっても、もちろん読んでもらうための工夫や努力は必要です。

コンセプトのようにブレずに持ち続ける部分と、仮説検証を繰り返して柔軟に変化していくことの両方が存在します。たとえばそれは、配信内容の工夫や表現の仕方。最初はこれがいい!と思って始めてみた形であっても、ずっと同じである必要はなく、いくらでも変えていいのです。

実は、そのなかで生まれたものが【もし時間があったら読んでほしい、1つの話題】でした。気になる3つの話題とは少し性質を変えて、教育コンテンツのような要素を加えています。

読んでくれる人がいなかったらやめようという気持ちで挑みましたが、実際に読んでくださる方がいるので続けることにしました。

ブレない方向性は持っておくべき

柔軟に変化していくことを述べましたが、その変化というものは「変わらないもの」があって初めてできることなのでは?と感じています。

今回のケースでいえば、始める前に決めたコンセプトは変わらないものという側面と、いつでも立ち戻れる原点のような側面があります。

当然ながら、届ける話題を選ぶときに悩むことがありました。そのときに、このメールを届ける相手はどのような人たち?このメールは、どういう方向性でやっている?と、ひと呼吸おいて考えることで、スッと前に進めるようになります。

それは、進むべき方向性が変わらずにあるからです。

近しい人に届ける気持ちで書く

メールだけに限ってのことではなく、ブログ記事など読みものとなるコンテンツにおいても言えると思いますが、近しい人に届くように書こうと意識しています。

近しい人というのは、物理的な距離というより自分との距離感とイメージしてみてください。たとえば友人や家族、同僚など、自分にとって身近な人の存在を指しています。

そもそも近しい人に伝わらない、伝えられないものを、遠くにいる人に届けることはできないよね。といった考え方です。これは自分自身が得た学ぶ機会をきっかけに、それ以来ずっと意識してきました。

特にメルマガは、自分が実際に会ったことのないお客さんが大半です。いきなり、その人たちの心に届けようだなんて、まるで明日エベレストの頂上を目指すかのような勢いですよね。

まずは、自分にとって近しい人。具体的に“人”をイメージしながら書いています。

読んでくれる人は必ずいる

メルマガを配信する側になる前は、配信されてくる側しか体験したことがなかったので、読んでくれる人なんているの?と思っていました。

それどころか、不快感を与えるのではないかといった気持ちも強く、だからこそできるだけ売り込むような内容にしたくないと感じていたのかもしれません。でもそれは、いま思えば取り越し苦労でした。

そもそもメールが届いた時点で興味がなかったら、開封しなくて当然ですよね。もしくは、そのまま迷惑メールフォルダに入っているなんてこともあるでしょう。そう考えると楽になり、ひとりでもいいから読んでくれるといいなという気持ちになりました。

そんなこんなで、とても緊張していた初回の配信ですが、想像以上に多くの方が読んでくれたのです。続けていくうちに感想まで届くようになり、ウソみたいな本当のできごとです。

そう。読んでくれる人は、必ずいるのです。

たったひとりでも理解者の存在は大きい

自分たちが決めた目的やコンセプトは、すぐにそこから多くの利益を生み出すといったようなものではありませんでした。

会社側からすれば、メルマガという施策は本当に意味があるのか、何のためにやっているのか、そんな風に思うことだってあるでしょう。言葉だけでは、うまく伝わらないこともあるため、実際に取り組んでいく姿勢で示していくしかありません。

これはさまざまな業務においても通じる話ですが、企業のいち社員として働いているとそのような経験をすることはあります。それでも、たったひとりでいいから理解してくれる味方のような存在がいてくれるだけで、前に進めるものです。

そうしてコツコツと積み重ねていくと、不思議なことに気づいたときには味方が増えています。

何かの施策に取り組む際には、“誰かと一緒に”を強くおすすめしたいです。

4. 「メルマガ」が生み出した感激のエピソード

突然、メルマガに返信がきた!

これには、本当に衝撃を受けました。不快に思われるのではないかという気持ちでいたのが、ウソみたいです。

メルマガを始めて1ヶ月が経とうとするころ、1通の返信が届いたのです。最初は、何かの間違いか!?っと半信半疑でしたが、そこにはしっかりと自分宛てのメッセージが詰まっていました。

本当に、うれしかったです。

いつも手紙を書くようにひとつひとつの言葉を綴っているのですが、その気持ちが伝わっていたのかなと思えるできごとであり、ますます届ける相手のことを想うようになりました。

その後、さらに多くの人が返信を届けてくださるようになり、感激している日々です。読んでもらえるということだけで胸がいっぱいなのですが、しあわせ者だと感じずにはいられません。

本当にありがとうございます。いつでも、ご感想お待ちしています!

木曜日を待っていてくれる人たちが登場した

第一想起をとれる存在を目指してはいましたので、木曜日がくるたびに思い出してもらえたらいいなという願いはありました。

ある日、客先訪問の際に、担当の方が「もしかして、メルマガを送ってくれている人?」と真っ先に声をかけてくれました。

ひとりのお客さまの手もとへ届くメールに記載してある名前と、いま目の前にいる人物が一致した瞬間であり、感動ものでした。心のなかでは歓喜の舞です。そもそも、会話のなかに「メルマガ」が登場することだけで、奇跡のような気持ちでした。

それからは、自社の社員からも「この前、客先にいったとき話題になっていたよ~」なんて、声をかけてもらえることが増えてきました。

さらに、ちょうど木曜日に客先訪問した日には「あっ、今日は木曜日ですね!メール待ってます」なんて、最高にうれしいお言葉をいただけるようにもなりました。

本当にありがとうございます。これからも、待っていてもらえるように励み続けます。

特別編:人生で初めての取材を受けた

どこで、だれが見ているかわからないものですが、いろいろなご縁がつながって取材いただきました。

ちょっといまだに信じられないのですが、夢ではありません。こんな日がきたことに驚きですが、いつも味方でいてくれる上司と一緒に取材を受けることができて本当にうれしかったです。

これもすべて、いつも読んでくださるみなさんあってのことだなと、改めて感謝の気持ちを噛みしめる機会となりました。そして、取材をきっかけに出会えた人たちとのご縁も大切にしたいです。

担当者編と、見守る上司編がありますので、もし時間があったらぜひ読んでみてください!

5. これまで届けた149個のうち反響が大きかった3つの話題

1年間で149個の話題をお届けしたわけですが、果たして多くの反響を得た話題はどんなものでしょうか。3つ、ご紹介していきます!

まず、1つめの話題はこちらです。

137個のWindowsショートカットキー一覧表(PDF有)
https://office-hack.com/windows/windows-shortcutkey-list/

ザ・王道とも言えるでしょうか。パソコンを相棒にして、日々の業務に励んでいるみなさんにとっては、間違いなく味方ですよね。

続きまして、2つめの話題はこちらです。

大学の恩師に教わった、「なにがわからないか、わからない」ときの質問のしかた。
https://blog.tinect.jp/?p=68951

なるほどですね。「質問は、二台目の掃除機を買いにいくつもりでしろ」という名言が心に残り、選んだものでした。質問の仕方は、精進あるのみです。

最後になりますが、3つめの話題はこちらです。

虫を家に入れない 網戸や窓の閉め方
https://weathernews.jp/s/topics/202005/050175/

はい、最高ですね。これはいまでも、鮮明に覚えています(笑)自身が蚊に刺されやすいことから、ついついみなさんに伝えたくなってしまったものでした。

以上が、反響の大きかった3つの話題です。
このような感じで、ジャンルは多岐に渡ってお届けしています。

6. まとめ

今回は、地方の中小企業にいるマーケティング担当者が、実際にメルマガを続けてきた1年間をテーマにお送りしてきました。本当に、リアルな記録としてありのままをお伝えしています。

何かひとつでも、みなさんの心に届いたらうれしく思います。

メルマガというのは地味で地道な施策とも言えますが、1年間を通してさまざまな経験をしました。あくまでも間接的な接点でありながら、ひとりひとりのお客さまとの繋がりを感じられる場所だと実感することが多かったです。

それは何より、届ける先にいるみなさんのおかげだと本当に感じます。これからも感謝の気持ちを忘れず、励んでいきます。

多くの人にとって、今週も “あとひと息” と感じる木曜日。
そんな日にいつも届く、3つのこと。
ちょっとだけ、みなさんの日常に「プラス」となるような何かをお届けできたらうれしいです。

読者のみなさん、本当にいつもありがとうございます!

【今日は木曜日】に興味のある方、いつもよりちょっとだけ木曜日を豊かにしたい方は、ぜひメールアドレスの登録をして、木曜日をお楽しみに。配信の停止は、いつでも自由にできますのでお気軽に登録してみてくださいね。

木曜日のストーリーは、まだまだつづく・・・
2年目にまつわるお話は、以下でくわしくまとめています。

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