メールマーケティングとは、メールを活用し顧客とコミュニケーションをとるマーケティング施策です。
「え?いまさらEメール?」と意外に思われるかもしれませんが、実は、費用対効果が高く、多くのマーケターから再注目されている手法がメールマーケティングです。
今回は、メールマーケティングの基礎知識を幅広く解説し、事例や注意点にもふれていきます。
読み終えていただければ、メールマーケティングの準備をすぐに始められます。
では、さっそく解説していきます!
1. メールマーケティングとは?
「メールマーケティング」とは、Eメールを用いて行うマーケティング活動のことで、メールの配信を通じ、顧客とコミュニケーションを行う手法をさします。
会員登録や資料のダウンロードにより取得した顧客リストに対してメールを配信し、お問い合わせや購入といったコンバージョンや、顧客育成、エンゲージメント強化を目指す活動です。
SNSが広まったことにより、一時はメールをマーケティングに活用する企業が減少したようにも見えました。
しかし、効果測定が可能な高性能デジタルツール(MAツール)が登場したことで、効果検証と改善が適切にできるようになり、今ではデジタルマーケティングの主要な施策として、多くのマーケターに活用されています。
メルマガとメールマーケティングの違い
結論からいうと、「メルマガ」は「メールマーケティング」の一部です。
「メールマーケティング」には、いくつかのメールの手法(メールの種類)があり、その中のひとつが「メルマガ」にあたります。
つまり、メルマガとメールマーケティングは比較するものではなく、メルマガを含む6つのメール手法が、メールマーケティングというマーケティング施策に包抱されているんですね。
また、メルマガのことを「ニュースレター」と呼ぶ企業もあります。
メルマガの最大の特徴は、購読を希望した顧客全員に、同一のメール内容が「一斉送信」で送られることです。
メルマガは、主に「定期的に購読してもらうこと」や「顧客との関係構築」を目的として実施します。
メルマガ以外のメールマーケティング、たとえばステップメールやリターゲティングメールなどは、購入やお問い合わせといったような「顧客に行動を起こしてもらうこと」を目的とする手法です。
それぞれの特徴を知っておくと、自社に必要なメール手法を選択できますので、くわしくは後ほどの「7. メールマーケティングの種類【主な手法6つ】」をご参考ください。
メルマガの基礎知識については下記記事でわかりやすく解説しています。
2. メールマーケティングの目的
顧客との関係を継続させること
メールマーケティングの本質的な目的は、1度接点をもった顧客との関係性を保ち、良い状態で継続させることです。
一般的に、商品やサービスの購入を最終目的とする企業が多いのですが、メールマーケティングの目的を具体化していく過程でも、このメールマーケティングの本質である「顧客との関係性を良好に保つこと」は念頭においておきましょう。
メールマーケティングの目的をさらに具体的にしていくと、下記のような目的に細分化されます。
- 販売促進
- 見込み顧客の確保
- お問い合わせ
- セミナー集客
- 企業のブランディングやイメージアップ
- ファンの育成
- 既存顧客との信頼関係を構築
- 顧客育成(自社商品の理解を深める、業界の知識を高める)
など
3. メールマーケティングの役割
WebサイトやSNSではカバーできない領域を担う
メールマーケティングには、WebサイトやSNSとは異なる役割があります。
Webサイトは、自社の紹介(経営理念・特長)や、商品の紹介や説明をフォーマルなかたちで広く行うことが主な役割となります。
SNSは、ユーザーとのコミュニケーションを比較的カジュアルに行うことができるツールです。SNSを通じ、企業やブランド、あるいは商品やサービスを、ユーザーにリアルタイムで身近に感じてもらうという役割があります。「共感」「共有」「拡散」される特徴があり、こういった一連のアクションは、ユーザー全員が見ることができます。
メールは、見込み顧客や既存顧客に対し、1対1で行うコミュニケーションツールです。
よって、メールマーケティングでは、顧客の段階にあわせたコミュニケーション設計により、顧客のフェーズにあわせたマーケティングが可能となります。
メールマーケティングは、「既存顧客には、この商品も知ってほしい」「見込み顧客には、まずはこのサービスを利用してほしい」といった細かなターゲティングに対応できる手法でWebサイトやSNSではカバーできない領域を担います。
ですので、WebサイトやSNSの運用のような他の施策と並行して実施できると効果的です。
4. なぜメールマーケティングが重要視されているのか?
メールは、ビジネスにおいて比較的長く使われている基本ツールです。そのため、「メールという手法は古いもの」と、とらえる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際には、メールを使用するマーケティングは近年非常に注目されています。
他の手法と比較すると、費用対効果が4倍以上
アメリカのDirect Marketing Association (DMA)が2016年に調査したところによると、
- メールマーケティングによる費用対効果(ROI)は、ソーシャルメディアやダイレクトメール、検索型広告といった他の手法の4倍以上
という結果が得られています。
参考資料:Insider Intelligence eMarketer
Email Continues to Deliver Strong ROI and Value for Marketers(2016)
https://www.emarketer.com/Article/Email-Continues-Deliver-Strong-ROI-Value-Marketers/1014461
また、アメリカのリサーチ企業であるForrester Researchが2017年に発表したレポート「Digital Marketing Forecast: 2016 To 2021」によると、
- 2021年までのメールマーケティングの年平均成長率(複合年間成長率)を約8%と予測
- 電子メールサービスプロバイダー(ESP)の参入により、メール1通当たりの単価は下がるものの、それを加味しても70%のマーケターが、メールマーケティングの予算を増やすと回答
としています。
出典:日経BPコンサルティング CCL.(シーシーエルドット)
メールマーケティングを成功に導く進め方(2017年)より抜粋
https://consult.nikkeibp.co.jp/ccl/atcl/20170904_1/
ビジネスやカルチャーなどにおいて、米国で起こっていることは、数年後に日本でも同じように注目されたりブームになったりする傾向が強いです。
その現実をふまえると、現在、日本でも注目を集めつつある「メールマーケティング」は、今後ますます拡大し、必要とされていくといえるでしょう。
ビジネスパーソンのメールの使用時間は長く、利用の割合も高い
総務省が2018年に発表したデータからは、平日のビジネスパーソンは、メールを頻繁に活用していることが読み取れます。
下記は、「コミュニケーション手段としてのインターネット利用時間、行為者率」をグラフ化したものです。「平日」のグラフを抜粋し紹介します。
上記のグラフから、平日の「30・40・50代」は、メールの平均利用時間が長く、割合(行為者率)も高いことがわかります。
このことからも、「メール」というツールは、現在日本でマーケティングをする上で、欠かせないツールであるとともに、重要視されるべきツールであることが理解できます。
5. メールマーケティングのメリット
メールマーケティングのメリットは
- 低コストで始められる
- 効果測定(効果検証)できる
- 高い投資対効果が見込める
- 属性に応じて、配信頻度や内容を変えられる
という点があげられます。ひとつずつ解説していきます。
低コストで始められる
メールマーケティングは、他のマーケティング施策と比較すると、低コストで始められ、コストをおさえたまま継続できる施策です。
メールマーケティングを始める際に必要なのは、
- メールコンテンツを作成&配信する担当者の人件費
- メール配信システムのサービス利用料
上記の2つです。
また、メールマーケティングのターゲットとなる顧客数がまだ少ない場合には、メール配信システムは利用しなくても良いケースもあります。
効果測定(効果検証)できる
開封率(顧客に配信したメールがどのくらい開封されたか)や、クリック率(本文内にあるURLリンクがどのくらいクリックされたか)といった指標がいくつかあるため、効果を測定しやすいです。
郵送するダイレクトメールとは異なり、数値による適切な検証と改善が可能です。
高い投資対効果が見込める
メールマーケティングでは、細かなターゲティング(セグメンテーション)が可能なため、高い投資対効果(ROI)が期待できます。
加えて、メールマーケティングの対象となる顧客のメールアドレスは、資料のダウンロードやお客様登録などで、事前に同意を得て取得しているものです。
つまり、すでに自社のサービスを検討していたり興味を持ったりしている方々に、マーケティングを行うため効率的です。
属性に応じて、配信頻度や内容を変えられる
前述したとおり、メールマーケティングは顧客段階にあわせた配信ができるため、属性ごとに適切な配信頻度やメール内容を決められます。
リピート顧客と新規顧客では、商品やサービスに対する理解も、温度感もまったく異なりますよね。
たとえば、野菜の定期配達サービスの場合、1年以上サービスを利用してくれている顧客には、生野菜を美味しく食べられるオリジナルドレッシングを案内するメールを配信し、初回限定のお試しセットを購入しただけの顧客には、続けて利用してもらえるよう、野菜を食べ終わっただろうと思われるタイミングで、お得なクーポンを配信します。
このように、ターゲット属性に応じて、内容や配信のタイミングを変えられるのがメールマーケティングの強みです。
6. メールマーケティングを導入すべき企業とは?
「自社にメールマーケティングは必要?」「メールマーケティングがおすすめの企業とは?」と疑問に思われる方は多いです。メールマーケティングを導入すべき企業は、
- 顧客離れに悩む企業
- 新規顧客が獲得しずらい企業や業界
- 顧客に寄り添った施策をしたい企業
です。順番に解説していきます。
顧客離れに悩む企業
メールマーケティングは、1度接点があった顧客との関係性を構築していく手法なので、顧客離れに悩んでいる企業にはおすすめの施策です。
企業が収益をあげたい場合、最も効率的なのは、集客コストの低い既存顧客のリピート率を高めることです。
メールマーケティングでは、
- 商品Aを購入した顧客に対しては、商品Bを案内するメールを配信
- 1年以上前に購入した顧客に対しては、お得なキャンペーン情報を配信
といったように顧客の温度感に応じて、適切なコンテンツでアプローチできるため、より良い関係性を継続しやすいです。
新規顧客が獲得しずらい企業や業界
高単価な商材や、BtoB向けのニッチな商品やサービスは、新規顧客が獲得しづらいケースがあります。加えて、近年では新規顧客が獲得しにくくなったとお悩みの中小企業も多いです。
新規顧客を獲得しにくい企業が売上を上げていくには、既存顧客に向けた施策を実施し、顧客の掘り起こしを行う必要があります。
メールマーケティングは、リストをセグメントし適切なコンテンツを配信できるため、こういった「既存顧客の深掘り」にも有効です。
顧客に寄り添った施策をしたい企業
1人ひとりの顧客に寄り添い、「顧客が必要とする時に、必要なものや情報を提供したい」と考えるビジネスパーソンは多いかと思います。
メールマーケティングは、顧客に寄り添った「One to One」マーケティングを実施できるため、顧客エンゲージメントを高められます。結果的に、1人ひとりの顧客と深くつながることも可能となります。
7. メールマーケティングの種類【主な手法6つ】
メールマーケティングには、下記の6つの種類があります。
- メルマガ(メールマガジン)
- ステップメール
- サンクスメール
- ターゲティングメール(セグメントメール)
- リターゲティングメール
- 休眠顧客メール
6つの手法を順番に解説していきます。
①メルマガ(メールマガジン)
冒頭でもお伝えした通り、メルマガ(メールマガジン)は、購読や顧客との関係構築を目的とした手法で、配信リストの全員に一斉送信する点が特徴です。
メルマガのメール内容には、
- 企業の最新情報
- 新商品のリリース情報
- 商品のセール情報
- キャンペーン情報
- 顧客に有益な自社ならではの情報
- Webサイトの更新・不具合のお知らせ
などがあります。
上記のように、メルマガはどの顧客にとっても有益なコンテンツ、あるいは、不定期な情報、突発的な情報の配信に向いています。
一般的にメルマガは、直接的なお問い合わせにつなげることが難しいといわれています。その理由は、購読者全員に同じ文面を一斉送信するという特性から、どうしても画一的な汎用性の高い内容になるためです。
とはいえ、メール配信ツールを活用すればメルマガでも属性ごとに配信できますし、顧客との関係を強化できるため、マーケティングの初心者におすすめの手法です。
メールマーケティングのなかでは最も着手しやすいため、まずはメルマガから導入する企業も多いです。
メルマガの基本やメリットについては、下記記事で解説していますのでご参考ください。
②ステップメール
ステップメールとは、見込み顧客に対し、事前に準備しておいたメール文面を段階的、かつ、定期的に配信する手法です。
ステップメールの起点となるのは、見込み顧客が「資料請求」「購入」といったアクションをした日で、あらかじめ設定したスケジュールでメールコンテンツを自動配信します。
【ステップメールの例】
ステップメールの目的は、商品やサービスの理解を深めたり、購入・契約を促すことであったりと、企業によって異なりますが、基本的に、顧客の育成(リードナーチャリング)がベースになっています。
何通のステップメールを、どういったペースで顧客に配信するかは、目的や企業によって異なり、ステップメールを始める時は、設定した目標を達成するために、最初にしっかりとシナリオを作るところからスタートします。
ステップメールの基本をくわしく知りたい方には下記記事がおすすめです。
③サンクスメール
サンクスメール(サンキューメール)は、WebサイトやECサイトで、顧客が商品やサービスを購入した直後に、顧客の登録メールアドレスに自動配信されるメールです。
サンクスメールと同じ役割を担うメールには、会員登録や申し込み受付などを完了した際に自動配信される通知メールがあります。
サンクスメールや通知メールは、一見マーケティング施策にはならないように思えますが、実際には、サンクスメールや通知メールをマーケティングに活用している企業は多いです。
特に、メールマガジン登録後のメール開封率は約60%以上と非常に高いと言われており、この高い開封率を活用するマーケティング施策があります。
【サンクスメール活用の具体例】
顧客にとってメリットのある情報をメール内に掲載することがポイントで、「サンキューメールを開くと、毎回必ずお得情報が得られる」と顧客に覚えてもらえると、メール開封率は高くキープできます。
④ターゲティングメール(セグメントメール)
見込み顧客をセグメント(ある一定の条件で区分)し、そのセグメントごとに、必要性があると思われる情報を配信するメールで、ターゲティングメールやセグメントメールと呼ばれます。
セグメントにはさまざまな切り口があり、たとえば、「女性」「男性」「20代」「サービス業」「3回リピートした顧客」「資料をダウンロードした人」などがあります。
メール配信後のデータもセグメントでき、「メールが未開封」「メールを開封しただけ」「メール内のURLをクリックした」というように顧客の興味の度合いに応じて、その後の内容や配信ペースをコントロールできます。
⑤リターゲティングメール
WebサイトやECサイトへのアクセス(ページのクリック、商品の閲覧など)を行ったユーザーに対し、メール配信をする手法です。
たとえば、ユーザーがECショップで閲覧していた商品があったとしたら、閲覧日の数日後に、商品をおすすめするメールをご案内するといったかたちです。
クリックやサイト訪問のように自ら行動する段階のユーザーは、興味関心や購買意欲が高いため、こういったユーザーの背中をメールで後押しするようなアプローチとなります。
⑥休眠顧客メール
長らく商品やサービスを利用していない、休眠状態の顧客にメール配信をし、再び顧客になってもらうためのメールが、休眠顧客メールです。顧客発掘メール、休眠顧客発掘メールと呼ばれることもあります。
一定期間リアクションがないとはいえ、休眠顧客は過去に1度は取引があった顧客です。よって、休眠顧客へのアプローチは、新規顧客の獲得に比べコストを低くおさえられます。
休眠顧客の掘り起こしには、メールが最適といわれています。
その理由は、先にふれた低コストであることに加え、1度に多くの顧客にアプローチできるからです。
また、電話でのアプローチの前にワンクッション、メールをはさんでおくことで、スムーズに電話での商談ができる点もメリットです。
8. メールマーケティングの手順(実施方法)
①メールマーケティングで解決したい課題を明確にする
メールマーケティングを始める前に、自社がメールマーケティングで「解決したい課題」を明確にしましょう。
どのような課題を解決すべきかがはっきりしない場合には、まずは自社の現状把握を行います。
それから自社が解決すべき課題を洗い出し、メールマーケティングで解決する課題を決めましょう。
このとき、自社のWebサイト・SNS・DMなどの役割もあわせて確認すると、自社におけるメールマーケティングの役割と課題がより明確になります。
メールマーケティングで解決したい課題が明らかになったら、具体的なメール手法を選定してください。メールマーケティングの6つの手法については、前章の「7. メールマーケティングの種類【主な手法6つ】」がご参考いただけます。
◎ペルソナとコンセプトも決めておこう
ターゲットをより詳細にイメージしてペルソナ設定を行い、「どんな読者にメールを配信するのか?」を明らかにしておくと、コンテンツに一貫性がうまれ、ブレがなくなります。
ペルソナが固まったら、そのペルソナをイメージし、メールマーケティングの方向性(コンセプト)も決めておきましょう。
②課題をもとに目標値を設定
続いて、KGIとKPIを設定します。
KGIは達成したい最終目標のことです。そして、KPIはKGIにたどり着くための指標となる小さな目標値です。
KGIとKPIを設定する際のポイントは、メールマーケティングで達成したい成果を「数値化」することです。
メールマーケティングの最終目標値であるKGIには、たとえば、CV数や売上高などが該当し、KPIにはクリック率や開封率といった指標を設定します。
③顧客リストを準備する
リストとは、顧客(見込み顧客や既存顧客)の個人情報のことで、メールマーケティングにおいては、「メールアドレス」が必須となります。
「リストが必要」となると、より多くのリストを集めないといけないと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、その必要はありません。
まずは、すでに手元にあるリストから始めてみましょう。
最初は、少ないリストの方が取り回しもきき、運用もしやすいです。
ただし、リスト数が極端に少ない場合には、メールアドレスを獲得するための施策を行います。Webサイトからダウンロードできる資料の作成、アンケート実施、販促を行うなど、配信先を増やしましょう。
◎顧客リストを「一元管理できる体制」を目指そう
顧客リストを準備する過程で大切なのは、「一元管理」を意識し、メールマーケティングを継続しやすい環境を整備することです。
営業担当、マーケティング担当、技術担当など各部門で名刺や顧客情報を管理している場合には、社内にある顧客情報を集約し、リストを作成しましょう。
④配信のタイミング(頻度や配信時間)を決める
メール配信の頻度や時間帯を決める時も、前もって設定したペルソナを想定して決めましょう。
極端な例ですが、たとえば、あなたが社内の直属の上司に資料を確認してもらう時、月曜日の朝1番、始業直後に上司のところに持っていく……という行動はしないかと思います。特に週明けに慌ただしい業種であれば、なおさらです。
メール配信のタイミングも上の例と一緒で、読者となる人物の1日の過ごし方や仕事のルーティン、業種などを可能なかぎり考慮し決めるべきです。
また、メルマガの配信頻度については、メールマーケティングを担当するスタッフのリソースも再確認し、無理のないペースに設定することをおすすめします。
⑤メールコンテンツを作成する
メールの文面を作成する際にもペルソナをイメージします。
具体的な作成方法はメール手法によって異なりますが、たとえばメルマガであれば、読者となる人が興味がありそうなことや関心が高いと思われる話題、有益な最新情報などを盛り込んでいきます。
メルマガの作り方の詳細については、下記記事で解説していますのでご参考ください。
⑥メール配信
メールコンテンツができたら、文面のチェックを複数人で行い、テスト配信を実施して問題がなければ、顧客にメールを配信します。
効率よく安全に配信するために、メール配信ツールの利用がおすすめです。手動で配信する場合には、配信ミスに十分に注意してください。
⑦効果測定を行い、改善を繰り返す
メールマーケティングでは配信してからの改善が欠かせません。どのメール手法であっても、必ず効果測定を行いましょう。
効果測定によって改善点を把握できた時点で、次のメールコンテンツに改善点を反映します。
その後も効果測定と検証・改善を繰り返して、コンテンツをブラッシュアップしていきましょう。
9. メールマーケティングの5つの指標(KPI)
メールマーケティングで成果を上げる際に、見るべき指標は、「①配信成功率」「②開封率」「③クリック率」「④コンバージョン率」「⑤購読解除率」の5つです。順番に解説していきます。
①配信成功率
配信リストのうち、顧客への送信が成功(メールが無事に到達)した割合です。
配信成功率が下がる場合、メールアドレスの間違いにより届いていない、あるいは、サーバーの一時的な不具合で届いていないといった理由が考えられます。また、迷惑メールにとらえられ迷惑メールフォルダに入ってしまっているケースもあります。
メールは相手に無事に届かなければ意味がないため、配信成功率が下がったら、配信リストの確認を行いましょう。
②開封率
顧客のメールボックスに無事に届いたメールのうち、実際に開封された割合です。
メールマーケティングでは、開封率は特に注視すべき指標です。
開封率が低い場合、メールが読まれていないということになるため、開封率を高める意識を持って検証と改善をしていきます。
「メール配信のタイミングや頻度」「メールの件名と差出人名が適切かどうか」は最初に確認すべきポイントです。
③クリック率
メール内のURLがクリックされた割合です。メール内に動画やURLを埋め込んだ画像などのコンテンツがある場合は、これらコンテンツのクリックも含みます。
クリック率が低い場合には、コンテンツ内のURLへの誘導文や、URLの位置などを見直し、メール構成の改善が必要となります。
④コンバージョン率
メール内のURLから遷移したユーザーが、お問い合わせや購入といったCVを達成した割合です。
コンバージョン率は、全体の中でコンバージョンした割合を指します。
たとえば、あなたの企業のメールマガジンの配信リストが100人だったとして、メルマガ経由でお問い合わせに至った人が1人だったとします。その場合のCV率は1%です。
⑤購読解除率
過去にメルマガ購読の登録をしたユーザーが、購読や登録を解除した割合です。
ユーザーは元々購読したいと思って自ら登録しているため、購読解除率が急激に高まるといったことは基本的にはありません。メルマガを例にあげると、一般的な購読解除率はおよそ0.25%とかなり低い値です。
もし、購読解除率が高まった場合には、「適切なコンテンツを配信できているか?」「リストに問題があるのではないか?」という点を確認しましょう。
10. 中小企業がメールマーケティングを成功させるには?
中小企業は人手も時間も限られます。ここではメールマーケティングを行う際に、中小企業の方に特に意識していただきたい成功ポイントを2つご紹介します。
適切なメールコンテンツを提供する
メールマーケティングを成功させる最大のポイントは、価値のあるメールコンテンツを配信することです。
価値のあるメールコンテンツとは、つまり、「読者にとって適切なメールコンテンツ」のことです。
どんなにベストなタイミングで情報(メール)を届けたとしても、そのコンテンツがユーザーにとって適切なメールコンテンツでなければ、効果を上げられないだけでなく、信頼も得られにくくなってしまいます。
読者に価値のある適切なメールコンテンツを作るためには、まずは、ペルソナ設定を丁寧に行いましょう。
加えて、「顧客はどういった悩みを持ち、行動をとるのか?」を把握するためにカスタマージャーニーを設定するのもおすすめです。
読者が何に価値を感じるかを的確に把握することが、適切なコンテンツ作りの土台となります。
質の高いリストを意識する
メールマーケティングを成功させたいなら、「そもそも集めているリストに問題があるのではないか?」という視点も持つようにしましょう。
たとえば、メルマガでいうと、メルマガの配信リストの中に「具体的な行動(態度変容)を起こしてくれる人は、どれくらいいるのか?」という意識で配信リストを確認します。
展覧会で名刺交換をしただけの方と、Webサイトから資料ダウンロードを数回したことがある方では、温度感はかなり違いますよね。
メルマガやステップメールなどを実際に導入し、運用し始めてからでも構いませんので、質の高いリストを集められているかを意識してみてください。
11. メールマーケティングの成功事例
ここでは、中小企業のメールマーケティングの成功事例を2つご紹介します。
配信リストの精査によりアポイント獲得率が上昇|株式会社北斗社
株式会社北斗社さんは、商業印刷(オフセット/オンデマンド)と販促コンテンツの企画・運用をサポートしている企業です。
◎抱えていた課題
- 営業活動のメインはテレアポだったが、アポイント獲得率は年々低下していた
- 会社の規模が拡大したこともあり、マーケティングの見直しの必要性を感じていた
◎実践したメールマーケティング施策とその結果
- 展示会へ出展時に名刺交換した顧客にお礼のメールを送信し、そのメールに対して反応があった顧客だけにアポイントをとる手法に転換
- 結果的に、アポイント率と成約率が改善・さらに、メールマガジンを月1回配信。開封したユーザーだけにテレアポでアプローチを行うようにしたところ、アポイント獲得率が向上
株式会社北斗社さんの成功ポイント
- リストの質に注力
- テレアポでアプローチする顧客の選定にメールマーケティングを活用
企業サイト:株式会社北斗社
メール配信ツール導入で効率的に仕組み化|オウチーノ
住宅・不動産の専門サイト「オウチーノ」は株式会社くふうカンパニーさんが運営するポータルサイトです。
◎抱えていた課題
- 資料請求だけで終わるのではなく、そのあとも顧客との関係を構築したい
- メール登録者数の増加による管理と分析
◎実践したメールマーケティング施策とその結果
- メール配信管理ツール(ブラストメール)を導入
- 資料請求情報をした顧客の中で、メール配信を希望する顧客のみに2日に1回のペースで、エリアごとにメールを配信(新着情報・物件の情報など)
- 資料請求した顧客のメールアドレスと、メール配信管理システムが連携できたため、登録者数の増減を的確に把握できる
- 顧客の属性、動向、ニーズが視覚化され分析が可能に
- 自動連携が仕組み化されているので効率化が図れている
- Web広告(リターゲティング広告)とメール配信を比較しCPC換算したところ、メールの方が低コストで効果も高いという結果を得た
オウチーノさんの成功ポイント
- 自社にあったメール配信システムを導入し仕組み化
- ツールの分析結果を参考に、顧客の動向にあわせた改善施策を実施
参考サイト:導入事例|ブラストメール
企業サイト:株式会社くふうカンパニー
ポータルサイト:オウチーノ
弊社のメルマガ運用のリアルレポートについては下記記事をご参考ください。
12. メールマーケティングを実施する際の注意点
本章ではメールマーケティングを行う際に、注意すべきポイントを3つ解説します。
①リスクマネジメントと危機管理を行う
メールを運用する際には、リスクマネジメントと危機管理が欠かせません。
リスクマネジメントとは、これから起こると予測される危機に対して事前に対策をすることをさします。
対して、危機管理とは、実際に起きてしまった危機への対処を意味します。
◎リスクマネジメントとは「とれる対策は、すべてとっておくこと」
まずは、起こるかもしれないリスクを把握しておきます。
メール配信で事前に予測される「リスク」には、代表的なもので、
- 個人情報の流出
- リストの取り違い
- システムのトラブル(不具合)
- メール内容の間違い(誤植や記載ミス)
といったものがあげられます。
重要なのは、上記のような起こりうるリスクを事前にできるだけ把握し、危機が起こらないようにとれる対策はすべてとっておくことです。
◎危機管理では「事前に、具体的な対処法を考えておくこと」が大切
では、危機管理は何をすれば良いのでしょうか。
それは、上記にあげたような「危機・事故」が起こった際の具体的な対処法を事前に考えておくことが大切になってきます。
たとえば、配信中のメールサーバーがダウンするといった、システムのトラブルが起こったら担当者はすぐに○○するといったように、できるだけ具体的に対策を考えておきます。
実際、トラブルは前触れなく突然起こるものです。動揺し、対処が遅れることを防ぐためにも、可能な限り事前に危機管理を行い、スタッフで共有しておきましょう。
②リソースの確保が必要となることを心得ておく
中小企業がメールマーケティングを始める時に注意すべきは、「リソース(人材と時間)がどれだけ確保できるか?」という点です。
確保できる人的リソースと、運用の負担をふまえた上で、コンテンツの企画や配信ペースを決定しましょう。
なぜなら、 メールマーケティングの実施では、運用し始めてからも継続的にメールコンテンツの作成が必要となり、加えて、コンテンツの品質が低いと読者は購読を解除してしまうため、コンテンツは一定以上のクオリティを保つことが必要だからです。
また、配信スケジュールを決めたり、ステップメールを配信する際には事前にシナリオを組んだりと手間がかかります。
デジタルツールで自動化できるのは、効果測定と配信です。それ以外はメールマーケティング担当者の時間と労力を使うことになることを覚えておきましょう。
③中長期的な取り組みが欠かせない
メールマーケティングは短期で成果をあげる施策ではないため、中長期での定期的なメール配信が必要です。
中長期的に継続してメールを配信する過程で、顧客との関係構築や育成をしていきます。
また、中長期で実践することにより、効果測定とデータ収集が可能となり、メール運用の改善につなげられます。
1回メールを配信してすぐに効果が得られるというものではない、ということを知っておきましょう。
13. 【Q&A】メールマーケティングでよくある質問
メールマーケティングのコストはどれくらい必要?
メールマーケティングでは「①メール配信コスト」「②リスト作成コスト」「③メール運用コスト」の3つのコストが必要です。
①メール配信コスト | ・配信ツールの費用 ・顧客リストの管理 |
②リスト作成コスト | ・顧客リスト収集にかかる広告費/コンテンツ制作費/販促費 |
③メール運用コスト | ・メールコンテンツ制作費 ・運用にかかる人的コスト |
「①メール配信コスト」のメール配信ツールの予算はツールによって幅がありますが、多くても月々10,000円程度です。
また、小規模の企業で顧客リストが限られる、または、リストがまだ少ない場合には、手作業で送信することもできるため、配信ツールの費用は削減できます。
メールマーケティングに役立つツールは?
メールマーケティングを効率化し、効果を上げやすくするツールは「メール配信ツール」「MAツール(マーケティング・オートメーション・ツール)」の2つです。
併用する必要はなく、まずは一般的なメール配信ツールを導入できるとよいでしょう。
ツールの種類 | メリット・デメリット |
メール配信ツール | ○メール配信に特化した機能を搭載 ○ほとんどのツールがシンプルで使いやすい ○月々の費用が低コスト ○デメリットは、詳細な分析まではできないこと (たとえば、メールからサイト遷移したユーザーのサイト内行動は計測不可) |
MAツール | ○Webサイト遷移後のページ閲覧状況や資料請求の有無なども把握できるため、ユーザーの動向を一貫して分析できる ○細かな解析ができ、より的確な改善が可能 ○他のマーケティング業務も自動化できる ○デメリットは、コストが割高であること (メール配信ツールと比較した場合) |
メール配信ツールは機能が限定されているため、初心者にも利用しやすくおすすめです。
MA(マーケティング・オートメーション)とは、マーケティング業務を広く自動化し、業務全般の効果化を図る取り組みを指し、MAツールは顧客リードの管理や蓄積に強いです。
顧客情報の管理機能に加え、ランディングページ作成やWeb広告の管理などの機能を搭載したツールもあります。
メールの配信だけでなく、これを機にマーケティング業務全般を自動化したい企業は、MAツールを検討できるとよいでしょう。
MAの基本については下記記事でくわしく解説しています。
14. まとめ
最後に、本記事で解説してきた「メールマーケティング」についてまとめます。
メールマーケティングとは
- Eメールを用いて行うマーケティング活動のこと
- メールの配信を通じ、顧客とコミュニケーションを行う手法
を指します。
メールマーケティングの目的は、顧客との関係性を良好に構築していくことです。
「自社にあったメール手法を知りたい」「メールマーケティングで既存顧客のリピート率を高めたい」といったお悩みを抱えている場合には、ぜひ1度弊社までご相談ください。