「デジタルマーケティング」とは、インターネットやAI技術といったデジタルテクノロジーや、デジタル化されたデータを用いたマーケティング手法です。
実は、デジタルマーケティングは企業のマーケティングにおいて欠かせないものとなっており、年々重要性を増しています。
なぜなら、現代のマーケティング活動では、必ず何らかのかたちで「デジタル」がからんでいるからです。
この記事でわかること
- デジタルマーケティングとはそもそも何なのか?
- デジタルマーケティングの具体的な手法(種類)
- 中小企業のデジタルマーケティングの始め方
本記事では、「会社でデジタルマーケティングを推進することになったが、具体的に何をすれば良いか分からない」といったデジタルマーケティング初心者の方に向けて、基礎知識や手法、活用事例、勉強法などを幅広く紹介していきます!
1. デジタルマーケティングとは?
デジタルマーケティング(Digital Marketing)は、直訳すると「マーケティングのデジタル化」のことで、デジタルテクノロジーを活用したマーケティング手法すべてを意味します。
デジタル技術を活用したマーケティングとは、たとえばインターネットやEメール、SNS、デジタル広告のほかにも、アプリ、デジタルサイネージ、MA、IoT、ビッグデータ、CRM、IT技術、AI技術の利用など、かなり広い領域にわたります。
デジタルマーケティングの概念・定義
デジタルマーケティングは、あらゆるデジタルメディアを活用したマーケティング活動全般と定義され、多種多様なチャネルとデジタル技術を有効に組み合わせ、最適なマーケティング成果を獲得することが主眼とされています。
◎提唱する人によりさまざまな概念・定義が存在する
実は、デジタルマーケティングの概念や定義は、団体やマーケターにより異なるため、さまざまな概念や定義が存在しています。
どれが正しくてどれが間違いということはなく、提唱する人や団体が「どういった視点からデジタルマーケティングをとらえているか?」によって何を重視するかが異なるため、少しずつ違った定義・概念がうまれるのです。
ここでは、数あるデジタルマーケティングの概念・定義の中から、いくつかの分かりやすい概念・定義を挙げてみます。
【デジタルマーケティングとは?】概念・定義
- 顧客満足度を高めた上で、デジタル技術を活用して売れる仕組みをつくること
- マーケティングとは「消費者がサービスや商品を購入するに至るまでに、企業が行う取り組み」のことで、この活動に「データ」を掛け合わせるマーケティングがデジタルマーケティング
- デジタルデバイス、デジタルメディア、デジタルテクノロジー※、これらとデジタルデータとを掛け合わせフル活用したマーケティング手法のこと
※デジタルデバイス →PC、スマホ、タブレット、デジタルサイネージなど
デジタルメディア →Webサイト、オウンドメディア、ECサイト、SNSなど
デジタルテクノロジー →MA、CRM、IT、IoT、AI、VR、AR、位置情報など
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い
結論をいうと、Webマーケティングはデジタルマーケティングの一部です。
デジタルマーケティングはデジタル技術を駆使したマーケティングのため非常に範囲が広く、Webマーケティングを包括しています。
Webマーケティングは、Webサイトやインターネットを活用したマーケティング手法であるのに対し、デジタルマーケティングは、こういったWebマーケティングに加え、アプリやマーケティングオートメーション、AIといったデジタルテクノロジーを活用する手法です。
デジタルマーケティングでは、たとえば、WebサイトやECサイトでのユーザーの行動履歴と、ポイントカードやアプリでの購買履歴やクーポン利用といった行動履歴などをデータとして蓄積し、顧客一人ひとりへのコミュニケーションに最適化できます。
◎「マーケティング」と「デジタルマーケティング」の関係性は?
マーケティングとは、「顧客のニーズを満たすために企業が行う活動のすべて」のことで、具体的にいうと、商品が顧客に届くまでを戦略的に進めたり、売れる仕組みを作ったりといったことを指します。
マーケティングの基本である「マーケティング思考」や「フレームワーク」などは、デジタルマーケティングやWebマーケティングを実践する上でも欠かせない基盤となっています。
デジタルマーケティングとインバウンドマーケティングの違い
結論からいうと、インバウンドマーケティングはデジタルマーケティングの一部です。
インバウンドマーケティング(Inbound Marketing)とは、近年主流になっている「売り込まない」手法のことで、見込み顧客のほうからサービスや商品を見つけてもらうPull型(プル型)のマーケティング手法全般を指します。
対義語であるアウトバウンドマーケティング(Outbound Marketing)とは、企業側から積極的に「売り込む」手法を指します。
アウトバウンドマーケティングは、従来型の営業やマス広告などに加え、デジタル領域だとリマーケティング広告やポップアップ広告のように、見込み顧客を追いかけるPUSH型のマーケティング手法です。
デジタルマーケティングでは、プル型にプッシュ型の戦略を掛け合わせることもあります。
つまり、インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの一部は共にデジタルマーケティングに包含されており、デジタルマーケティングの活動で得られたデータや資産を活用し、インバウンドマーケティング(PULL型)を行うこともあれば、また、プル型にプッシュ型の戦略を掛け合わせることもあります。
2. デジタルマーケティングの特徴
デジタルマーケティングの特徴は、主に2つあります。
【デジタルマーケティングの2つの特徴】
- 複数のチャネル(オムニチャネル)を連動させて行う
- データドリブンに基づいて行う
デジタルマーケティングは、「オムニチャネル」と「データドリブン」により膨大なデータを蓄積することができるため、ターゲティング精度が高いマーケティング手法といえます。
「オムニチャネル」と「データドリブン」について、順番に解説していきます。
オムニチャネルを連動させる
オムニチャネルとは、直訳すると「すべての接点」を意味し、ECサイトのようなお客様と企業の接点であるWeb上でのチャネルとリアル店舗とを分け隔てることなく、シームレスに統合することを指します。
「シームレスに統合する」とは、ユーザーから見て、ECサイトとリアル店舗の違いを特に意識せずに、一体的に利用できる状態のことです。
もはやユーザーは「ネット」と「リアル店舗」を分けてとらえてはいません。
消費者にサービスや商品を提供している企業は、このことを念頭に置いておく必要があります。
デジタルマーケティングでは、WebサイトやECサイト、そして公式アプリのユーザーの行動履歴で得られたデジタルデータに加え、実店舗やイベント、展示会といったリアルなシーンでの購買行動で得られたデータを掛け合わせ、オムニチャネルを連動させてマーケティングを実施します。
◎理想はすべてのチャネルに境目をなくすこと
重要なのは、ひとつひとつのチャネル(接点)だけに焦点をあてるのではなく、すべての接点に「境目がない」状態を作り出すことです。
つまり、商品情報と在庫情報、顧客情報、購入履歴に加え、これらのデータを分析したマーケティング情報、そして、販促アクションに至るまでを、境目なくしっかりとひとつにつなげるのです。
企業によっては、サプライチェーンやロジスティクスまで包含されることになります。
中小企業にとっては厳しい課題ですが、すべての接点やデータがきちんとつながっていなければ、顧客にとっては意味がないということを覚えておきましょう。
データドリブンに基づく
データドリブンとは、勘や経験ではなく、データによって消費者を理解し、データに基づいて消費者へのアプローチを行うことです。
言い方をかえると、効果測定できる環境をととのえて適切なKPIを設定し、実施するマーケティングを指します。
オムニチャネルとデータドリブンにより、膨大なデータを蓄積することができるデジタルマーケティングは、ターゲティング精度が高い手法です。
◎データドリブンに必須となるのはツールの活用
データの効果測定ができる環境をととのえるには、データを収集・分析・蓄積するためのデジタルツールの導入と活用が欠かせません。
様々なデジタルツールを活用することで、効果的な施策の実施と改善が可能となります。
デジタルマーケティングに必要なツールについては下記の記事でくわしく解説しています。
3. デジタルマーケティングの目的
「One to Oneマーケティング」を実現させること
デジタルマーケティングの目的は、より精度の高い「One to Oneマーケティング」を実現させることです。
One to Oneマーケティングとは、データを基盤にして行うマーケティングで、既存のお客様や見込み顧客の一人ひとりに、それぞれ適切なアプローチ、コミュニケーションをするマーケティング手法です。
つまり、デジタルマーケティングの特徴である「オムニチャネル」と「データドリブン」により、顧客の一人ひとりに最適な情報やサービスを提供し、顧客との関係性や絆を深めて継続させることがデジタルマーケティングのゴールといえます。
顧客が何かを購入する時に、「あの企業に頼もう!」「あの企業から買おう!」と第一想起できる状態を目指すのです。
デジタルマーケティングは、こういったOne to Oneマーケティングを実現するものとして重要視されています。
4. 企業におけるデジタルマーケティングの重要性
現代において、デジタル技術を使用しないマーケティングはほぼ無いと言えるため、デジタルマーケティングはどの企業にとっても欠かせないものとなっています。
なぜ、近年デジタルマーケティングが注目されているのか?というと、スマートフォンの普及が深く関わっています。
だれもがスマホを所有し、いつでもどこにいてもインターネットにアクセスできるようになったことが、デジタルマーケティングを加速させているのです。
消費者は店頭で商品を手にとりつつ、スマホを使用してSNSで口コミをチェックしたり価格を比較したりする傾向があります。
また、ECサイトでも購入する前にSNSや口コミサイトで、商品の評価や価格を確認するのも当たり前になってきていますよね。
このように、ユーザーは場所や時間に縛られることなく、スマホで情報収集を積極的に行うようになったため、サービスや商品を提供する企業側も、SNSやアプリ、メルマガ、SNS広告といったスマホにも対応するデジタルマーケティング施策が必要になってきているのです。
デジタルマーケティング、そして、One to Oneマーケティングにより、必要な人に必要なタイミングで、必要な情報を届けることで購買行動は加速します。そして、顧客満足度をより高めることができます。
時代の変化に柔軟に対応し、スピーディーに変化しつづけるのがデジタルマーケティングの利点であり、重要視される理由です。
5. デジタルマーケティングの手法(種類)
デジタルマーケティングの種類・手法は、Webマーケティングの手法とも重なるため多岐にわたります。
本章では、デジタルマーケティングの手法、全13種類をご紹介していきます。
① Webサイト運用
企業のデジタルマーケティングでは、「Webサイト運用(ホームページ運用)」が基盤となります。
Webサイト運用とは、記載情報の更新やブログの公開や更新、アクセス解析の実施などを行い、Webサイトの「目的」を達成するための「施策・改善サイクル」を回していくことです。
Webサイトは「目的」を設定し運用することが大切です。
そして、サイト改善をする際には、まずはWebサイトの「現状分析」を行い、次にサイトの「目的」を達成するまでの導線をしっかり設計します。
インターネット広告やSNSマーケティングなどの様々な「Web集客」により集めたお客様を、Webサイトに流入させ、「商品購入」や「お問い合わせ」といったWebサイトの「目的」の達成につなげていきます。
Webサイト運用の基本については下記の記事が参考になります。
② アクセス解析
アクセス解析とは、Googleアナリティクスといった解析ツールを使用してWebサイトに訪れたユーザーの行動や属性、流入経路などを分析することを指します。
分析により得られた「課題」から「施策」を見つけて実施し、Webサイトのコンバージョン率の向上や改善、サイトの成長を目指す手法です。
企業のWebサイトは、持っているだけでは集客や売上に結びつかないため、アクセス解析をしてサイト改善をし続けていくことが大切です。
アクセス解析の基本についてくわしくは下記の記事で解説しています。
③ デジタル広告(広告施策)
デジタルマーケティングの広告施策はWeb広告やインターネット広告とも呼ばれ、主に11種類の施策が挙げられます。
【デジタルマーケティングの広告施策 11種類】
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- アドネットワーク広告
- リターゲティング広告
- 純広告
- アフィリエイト広告
- ネイティブ広告
- 記事広告(タイアップ広告)
- SNS広告
- 動画広告(YouTube広告)
- デジタルサイネージ
これら11種類の広告施策についてくわしくは、下記記事で解説していますのでご参考ください。
◎「広告施策」が重要な理由とは?
リスティング広告やSNS広告といったデジタル広告による広告施策は、企業のデジタルマーケティングにおいて重要な施策のひとつです。
なぜなら、デジタルマーケティングでは「検索対策」は必須であり、この「検索対策」の中に、デジタル広告の施策が含まれるからです。
「検索対策」がデジタルマーケティングでなぜ必須なのか?というと、現代では、自社の情報がインターネットの検索結果に表示されない状況は「存在しない」ことと一緒だからです。つまり、インターネットの検索結果には、常に自社情報が表示される状態を保つ必要があります。
「検索対策」は、広告施策の他には「SEO対策」があります。SEO対策については次項にて続けて解説してまいります。
④ SEO施策
SEO(Search Engine Optimization)は、一般的に「検索エンジン最適化」と訳されます。
SEO対策とは、わかりやすく言うと、Webサイトをユーザーに有益な使いやすいものに整えて、サイト構造を検索エンジンに分かりやすい状態に保ち、検索エンジンにおけるWebサイトの評価を高めることです。
前述したとおり、デジタルマーケティングではSEO対策や広告施策といった「検索対策」が重要なため、Webサイトには必ず「SEO対策」を実施します。
企業が実施すべきSEO対策は多岐にわたりますが、自社で実施できるものも多いため、できるところから取り組んでいきましょう。中小企業が実施すべきSEO対策と基礎知識については、下記の記事が役立ちます。
⑤ MEO対策
MEOは、Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)の略称で、MEO対策とはGoogleマップの検索結果に上位表示させることです。
MEOは「ローカル検索」「ローカルSEO」と呼ばれることもあります。
ローカル検索と呼ばれているように、MEO対策は、実店舗を持つ地域性の強いサービス業には必須の対策です。
現在地周辺のお店を調べる際に、ユーザーのおよそ44%がGoogleマップを利用していると言われています。
来店見込みの高いユーザーをターゲットにできるというメリットもあるため、飲食店・小売店・美容院・エステサロン・マッサージ店などの店舗を持たれている方は今すぐMEO対策に取り組みましょう。
MEO対策を適切に実施することで、Googleマップだけでなく、Google検索の検索結果にも表示されやすくなります。
⑥ コンテンツマーケティング(オウンドメディア)
コンテンツマーケティングとは、企業ブログや動画、ホワイトペーパーのようなダウンロード資料といった独自コンテンツにより、見込み顧客に価値を提供してニーズを育成し、購買やファン化につなげるマーケティング手法のことです。
オウンドメディアとは、「独自のメディア(媒体)」のことで、企業ブログやコンテンツサイトといったメディアを指します。コンテンツマーケティングという手法の中に、オウンドメディアという媒体が包括されている構図となります。
コンテンツマーケティングの主な種類は下記の通りです。
【コンテンツマーケティングの種類】
- ビジネスブログ(企業ブログ)
- 導入事例コンテンツ
- eBook
- ホワイトペーパー
- メールマガジン(Eメールマーケティング)
- 動画(動画マーケティング)
- セミナー・イベント
・・・など
上記の「Eメールマーケティング」「動画マーケティング」については、次項にて解説いたします。
コンテンツマーケティングによるメリットは非常に多く、「SEO対策の強化」にもなるため、中小企業には積極的に取り組んでいただきたいマーケティング施策です。
「顧客層を拡大したい」「顧客ロイヤリティを高めたい」「ブランドを強化したい」といったケースにも効果的です。コンテンツマーケティングの基本や種類について、くわしくは下記の記事でご紹介しています。
⑦ Eメールマーケティング
Eメールマーケティングはメールマーケティングとも呼ばれ、企業とお客様(既存顧客、見込み顧客)がメール配信により顧客の一人ひとりとコミュニケーションを行う手法です。
商品やサービスのリリース情報や、セール情報、キャンペーン情報、商品購入に対するサンキューメールに加え、顧客の属性や購買意欲の段階に応じた情報も配信できるため、顧客との関係構築に効果を発揮します。
Eメールマーケティングは、ROI(投資収益率・費用対効果)が高いというデータが出ており、中小企業にとっても今後ますます重要となるマーケティング手法です。
注目を集めているメールマーケティングについては、下記の記事をご参考ください。
⑧ 動画マーケティング
動画マーケティングとは、動画コンテンツを活用したマーケティング手法のことで、企業の動画マーケティングは大きく分けて「マーケティング動画」と「動画広告」があります。
企業が最初に取り組むべきは、商材紹介・導入事例の紹介・企業PRといった「マーケティング動画」です。「マーケティング動画」は、YouTubeに企業の公式チャンネルを開設し、動画を展開・運用するのが一般的です。
企業の動画マーケティングについては下記の記事でくわしく解説しています。
⑨ SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、TwitterやFacebook、Instagram、LINEといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用し、認知拡大やユーザーのファン化、企業のイメージ向上、ブランド力の強化などにつなげるマーケティング手法です。
中小企業にとってもSNSマーケティングは欠かせない施策になりつつあります。
なぜなら、SNSを利用する一般消費者や企業は年々増えており、検索内容によっては、検索エンジンよりもSNSで情報収集をするユーザーも増加傾向にあるためです。
また、商品購入の意思決定はSNSによる口コミに影響されるケースも多くなっています。
こういった理由から、今後SNSマーケティングはさらに重視されていくことが推測され、すべての企業が知っておくべき手法といえます。
SNSマーケティングの主な手法(施策)には、「SNS広告」「SNSアカウントの運用」「インフルエンサーマーケティング」「SNSキャンペーンの実施」などがあります。
SNSマーケティングについてくわしくは下記の記事が参考になります。
⑩ アプリマーケティング
アプリマーケティングとは、スマートフォンのアプリを通じてお客様とリアルタイムにコミュニケーションを行う手法です。
スマホのプッシュ通知機能で、よりダイレクトに、リアルタイムでクーポンやセール情報といった内容を届けることができます。
アプリマーケティングの特徴は、アクティブユーザー(アプリを実際に利用している人)を対象とする点です。
アプリを実際に利用しているということは、企業にとってすでに「優良顧客」であるため、こういった優良顧客を対象とした施策を展開していくことになります。
また、アプリを利用するユーザーに発信する情報を、自社だけの独占的なものにできることも大きな利点です。
たとえば、SNSやYouTube動画の場合、タイムラインに他社の広告が表示されたり、同業他社のおすすめ動画が表示されたりしますよね。その点、アプリでは他社の情報が表示されることはなく、自社だけの情報を顧客に見てもらえるのです。
⑪ IoT活用
IoT(モノのインターネット)とは、車や家電、ゲーム機といった身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながることです。
IoT機器の代表例で、すでに導入が進んでいるものには、自動運転車や産業用ロボット、スマート家電などがあります。
また、IoT活用の具体例としては、離れた場所から家電を遠隔操作する機能で、自宅のエアコンやシャッターの開閉などを、スマホのようなデジタルデバイスで操作することが挙げられます。
このIoTで蓄積される膨大なデータを収集・分析することで、消費者の今まで読みづらかった行動データをより細かく解析し理解することが可能になってきています。
⑫ マーケティングオートメーション(MA)
マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティングの自動化のことで、マーケティング業務の反復的な作業や単純業務(たとえば、顧客リストの更新やニュースレターの配信、スコアリングなど)を自動化させる手法です。
より効率的により的確にマーケティング業務を実行できるため、マーケティングオートメーションツールの導入は、人材不足の企業はもちろんのこと、大企業・中小企業にもますます注目されています。
マーケティングオートメーション(MA)については、下記の記事で基礎からわかりやすくご紹介しています。
⑬その他の手法
デジタルマーケティングのその他の手法には次のようなものがあります。
- IT技術の活用
- AI技術の活用(AIチャットボット/Web接客)
- SFA・CRMの活用
- ビッグデータ活用
- データマイニング
- DMP(Data Management Platform)活用
- AR・VRの導入
- フィンテック
- 位置情報・GIS(地理情報システム)
など
今後、デジタルマーケティングで特に注目されているのはAI技術との融合です。
AI技術と聞くと、日常とは遠く離れたところにあるように感じるかもしれませんが、実はすでに私たちの日常に浸透している技術でもあります。
身近な例をあげると、Amazonのリコメンド機能や、YouTubeのリコメンド画面に採用されている機能があります。
こういった技術はますます増え、多くの企業が採用することが可能になっていきます。
それだけではありません。デジタルマーケティングは正しく戦略を立て、上手に活用することで、中小企業が大企業に勝つことが容易になります。実際そういった事例もあります。
中小企業のデジタルマーケティングの課題については、下記の記事でくわしく解説していますのでご参考ください。
6. デジタルマーケティングの短期的な集客に効果のある施策
この記事を読んでいる中小企業の方の中には、「デジタルマーケティングの短期施策を知りたい」「早く売り上げにつなげたい」「集客したい」という方も多いかと思います。
ここでは、デジタルマーケティングにおいて重要な施策である「広告施策」のなかから、短期的な集客に効果のある施策をピックアップし、解説していきます。
企業が収益を上げるために最初に実施すべきなのは、「購入直前の顧客」に向けた施策です。
「購入直前の顧客」に向けた広告施策
- リスティング広告
- アフィリエイト広告
- ディスプレイ広告/バナー広告
- リターゲティング広告
「今すぐ客」の集客に効果的な広告施策2つ
購入直前の「今すぐ客」の集客に効果を発揮する2つの広告施策は、「リスティング広告」と「アフィリエイト広告」です。
◎ リスティング広告
リスティング広告は、検索エンジンの検索結果の最上部に掲載される広告で、ユーザーが検索窓に打ち込む検索語句(キーワード)に連動して表示されます。広告がクリックされると広告費が課金されるシステムです。
リスティング広告は、ニーズが顕在化している「今すぐ客」に向けた施策のため、インターネット広告のなかでも即効性があり効果を得られやすい手法です。
広告は購入に近い顧客から改善するのが鉄則のため、デジタルマーケティングで広告を導入する際に真っ先に検討すべきはリスティング広告といえます。
「リスティング広告はやったが、成果は感じられなかった」という方は、キーワード選定や戦略、遷移先のLP(ランディングページ)の最適化などを、徹底的にやりきれていない可能性が高いです。
きっちり細かなところまで配慮し、効果検証を正しく実施して運用すれば、必ず成果を得られるのがリスティング広告です。
現在リスティング広告の効果を十分に感じられていない企業も、戦略的に実施すれば必ず集客に効果がありますので、これを機に広告運用の改善を検討することをおすすめします。
リスティング広告の基礎知識については下記の記事でわかりやすく解説しています。
◎アフィリエイト広告
前述のリスティング広告と同様に、アフィリエイト広告も購入直前の顧客に向けた施策となり、売上を確実に向上させる手法です。
アフィリエイト広告は、アフィリエイター(媒体主)が所有・運営するWebサイトやSNS上で、商材を紹介してもらったり広告を設置してもらったりする手法です。
広告費が発生するタイミングは、アフィリエイターのサイトを経由して、ユーザーが商材を購入または会員登録をした時です。
BtoC企業がアフィリエイト広告を導入する際には、リスティング広告とあわせて検討しましょう。
予算をおさえたい場合の広告施策2つ
集客力が強い「リスティング広告」「アフィリエイト広告」は真っ先に導入すべきですが、予算を確保できないケースもあるでしょう。
リスティング広告に比較すると、即効性や効力は劣るものの、多くの企業がWeb集客に活用している「ディスプレイ広告」と「リターゲティング広告」もご紹介します。
◎ ディスプレイ広告/バナー広告
ディスプレイ広告はバナー広告と呼ばれることもあり、Webサイトやアプリの広告枠に掲載される広告です。広告は画像や動画、またはテキストで表示されます。
費用は広告をクリックした時に発生し、リスティング広告に比べると単価が安い傾向にあります。
ディスプレイ広告は、広告を表示させる属性を細かに設定できるため、見込み顧客をターゲットにすると高い効果が得られます。
きめ細かな属性を設定できるとはどういうことか?というと、「どんな人が、何を見ている時に、どんな広告を配信するか」を決められるということです。
また、ディスプレイ広告はニーズが表面化していない潜在層へのアプローチにも向いています。
ディスプレイ広告のメリットやデメリットについては下記の記事が参考になります。
◎ リターゲティング広告
リターゲティング広告(リマーケティング広告)は、過去に自社Webサイトを訪れたことがあるユーザーに対して広告を表示させる手法です。
1度自社サイトを訪問したということは、
- 自社の商材に興味を持っている
- 他社と比較検証している
- 購買意欲が高まっている
といった段階と考えられ、有力な「見込み顧客」といえます。
リターゲティング広告はこういった見込み顧客にターゲットを絞って広告を表示させる、顕在層向けの手法です。
また、リターゲティング広告のメリットは、コンバージョン率が高いことに加え、クリック単価は低い傾向にある点で、費用対効果が高い手法といえます。
7. デジタルマーケティングの活用例
本章では、中小企業のデジタルマーケティングの事例をご紹介いたします。
①Web広告|リスティング広告でECサイトの売上が前年の2倍に
株式会社銀閣寺大西さんは、選りすぐりの高級和牛を主とする食材を販売するECサイトを運営しています。
「Web集客の強化」と「収益アップ」を目的とし、「リスティング広告」を実施したところ、3カ月で昨年2倍以上の売り上げを達成。その後も、目標の売上を超える成果を得られたとのことです。
リスティング広告により新規ユーザーが増えたこと、そして、顧客を全国に広げられたことが、収益アップを実現したといえます。
参考サイト:株式会社バリューエージェント
実際にデジタルマーケティングを導入し成功させるためには、他企業の成功事例を知っておくことが重要です。
以下の記事では、企業におけるデジタルマーケティングの「成功事例」をご紹介しています。中小企業の方がヒントを得られるような事例を厳選しましたので、ぜひご参考ください。
8. 中小企業のデジタルマーケティングの始め方【導入方法】
本章では、デジタルマーケティングの始め方を5つのステップで解説していきます。
①「課題」の抽出と「目的」の明確化
まずは、デジタルマーケティングの「目的」を明確にするところからスタートします。
「デジタルマーケティングで解決したい課題は何なのか?」をはっきりさせるために、自社の現状分析を行い、課題を抽出します。
課題を抽出できたら、その課題を解決する「目的」を導き出すとデジタルマーケティングで実施すべきことが見えてきます。
課題を的確に把握するには、自社の現状分析が欠かせません。
現状分析にはフレームワークを活用するのがおすすめです。
マーケティングの基礎的なフレームワークには「SWOT分析」や「3C分析」があります。
初心者の方にも取り組みやすいSWOT分析のやり方については下記記事の「3-1.マーケティング戦略を立てる」にてわかりやすく解説しています。
②根拠に基づいた「数値目標」の設定
目的を設定できたら、次は成果を測る「数値目標」を設定していきます。簡単にいうと、「どういう成果が得られればゴールを達成したといえるのか?」を数値で定義します。
たとえば、「お問い合わせ数を30%増やす」「主力商品Aの売上を10%増やす」などです。
注意点は、目標値を設定する際には、現状分析と抽出した課題をベースに根拠に基づいた数値目標の設定をすることです。
③STP分析を行う
目標値を設定できたら、次にSTP分析を行います。
STP分析とは、マーケット内での自社の有利な立ち位置の把握をする際に活用するフレームワークです。
S セグメンテーション | 市場を細分化する |
T ターゲティング | 細分化した市場の中でどこを狙うか決める |
P ポジショニング | 自社の立ち位置を決める |
STP分析のフレームワークについては下記記事の「3-3.STP分析」にてくわしく解説していますのでご参考ください。
④カスタマージャーニーマップの作成
カスタマージャーニーマップとは、ユーザーの態度変容を時系列で表し可視化したものです。
自社の商品やサービスと出合ったユーザーが購買に至るまでを時系列化し、ユーザーの行動や心理状態を明確にして、どのタッチポイント(接点)でどのようなコミュニケーションを取るべきかを設計する目的で利用します。
デジタルマーケティングでカスタマージャーニーマップが重要視される理由は、デジタルとリアル、そして、複数チャネルを利用するユーザーの行動を横断的に把握する必要があるためです。
また、カスタマージャーニーマップにより、顧客フェーズごとに「最適な施策を打ち出しやすくなる」ことに加え、ユーザーとのタッチポイントの最適化をはかりやすくなるというメリットがあります。
初心者の方が、カスタマージャーニーマップを作成するのはむずかしいケースが多いので、正確なマップを作成する際には、1度マーケティング企業に相談してみるのもおすすめです。
⑤KPI(指標)の設定
カスタマージャーニーマップから具体的な施策を導き出したら、その施策に対するKPI(指標)の設定をします。
KPI(Key Performance Indicator)とは、「重要業績評価指標」や「重要目標評価指標」と訳され、簡単にいうと、目標値(ゴール)に迷うことなく到達するための「中間指標」のことです。
KPIを設定すると、目標値の達成までの進捗が可視化できるだけでなく、ゴールに到達する過程で達成感が得られモチベーションアップにつながるというメリットもあります。
KPIを設定したら施策を実施し、その後は効果検証を行いPDCAサイクルを回していきましょう。
9. 【Web担当者向け】デジタルマーケティングの勉強法と実践法
ここでは中小企業の新人Web担当者の方や、マーケティング初心者の方に向けて、デジタルマーケティングの勉強法と実践方法を紹介してまいります。
毎日の業務が多い中小企業の担当者の方も、自分がやりやすいところから、あせらずコツコツやっていけば確実に前進できます。ぜひご活用ください。
まずは土台となる「マーケティング」の基本を理解する
デジタルマーケティングの土台になるのは、「従来型のマーケティング」の基礎や、理論の理解が土台になります。
「デジタル」ときくと、SNSやYouTube動画のような今流行りの手法に目が向きがちな方は少なくありません。ですが、こういったデジタル施策を成功させるにも「マーケティングの基本」は欠かせないのです。
マーケティングの知識とスキルは、すべてのビジネスパーソンが習得すべきといえるため、このタイミングで基本を習得しましょう。
勉強法は「本」と「動画」がおすすめ
新人のWeb担当者の方が、ゼロからマーケティングやデジタルマーケティングを勉強するには、動画学習と書籍がおすすめです。
最近は無料で学習できる動画サービスもあるため、活用しやすくなっています。
Web担当者の方にオススメの動画学習サイトについては、下記の記事でくわしく紹介しています。
また、デジタルマーケティングの本は良書が出ており、動画ではカバーしきれないところまでしっかり学習できるため、こちらもおすすめです。
デジタルマーケティングに必要とされる3つのスキルと実践法
デジタルマーケティングの実践で、Web担当者に必要とされる基本的なスキルは、
- 仮説思考力
- 機動力
- 連携力
の3つです。
上記3つを解説するとともに、今日からできる具体的な実践方法もご紹介していきます。
①数字が持つ意味を見出す「仮説思考力」
あらゆる結果が数値で得られるデジタルマーケティングにおいて、現状分析から仮説を導く「仮説思考力」は重要なスキルです。
得られた数値に対して「仮説を立てて、検証する」を繰り返し、考え続ける必要があります。
POINT
今日から実践できることは?
◎常日頃から目の前の課題に対し「仮説」を立てて考えるクセをつけよう
②状況に応じて対応する「機動力」
機動力は、別の言葉で言い換えると「フットワークが軽い」ということ。デジタルの世界は変化が早く、技術やトレンド、それらに付随するサービスなどが数年単位で入れ替わるため、常に知識や技術のアップデートが必要となります。
変化や状況に応じて、柔軟にすばやく対応できる「機動力」は、デジタルマーケティングを行う上で大切なスキルです。
POINT
今日から実践できることは?
◎デジタル業界の変化に敏感になる「仕組み」を取り入れてみましょう。
初心者におすすめなのは、デジタルマーケティング企業の「無料メルマガの購読」や「無料Webセミナーへの参加」です。
③「連携力」
デジタルマーケティングには、チームプレーが求められます。
デジタルマーケティングやマーケティングへの取り組みは、社内の他部署や他社(外注先)と組んで進めることが多いので、組む相手の業務や立場を理解しておくと、連携が円滑です。
POINT
今日から実践できることは?
◎マーケティングの幅広い知識をつけることで、あらゆる立場の人を理解できるようになります。コツコツ知識を習得していきましょう。
10. 中小企業がデジタルマーケティングに取り組む際の注意点2つ
本章では、リソースが限られる中小企業の方に向けて、デジタルマーケティングに取り組む際に注意すべきポイント2つを解説いたします。
Webサイト改善の際には「本質」を見極める
中小企業がデジタルマーケティングに取り組むには、まずは基軸となる「Webサイト」あるいは「ECサイト」の運用が正しくできているかを見直す必要があります。
見直しの際に、サイト改善を行うケースも多いでしょう。
WebサイトやECサイトを改善する時に注意していただきたいのが、Webサイト改善の「本質」を見極めることです。
Webサイト改善の本質とは「そのWebサイト(ECサイト)の目的が達成できていない箇所を改善する」というところにあります。
サイトを改善する時、どうしても「SEO対策」や「SNS運用」といった手法の方に意識が向いてしまいがちです。
こういった手法の話にとらわれすぎず、「サイトの目的」と「顧客の行動」を意識して、サイトの目的のためにはどこを改善すべきかを考えましょう。
また、Webサイトがスマートフォンでの閲覧に対応する「レスポンシブデザイン」になっていない場合には、早めにリニューアルを検討しましょう。
サイトリニューアルやWebサイト制作の基本について知りたい方には、下記の記事が参考になります。
施策を実施する際には「遷移先」にも気を配る
デジタルマーケティングでは、何か施策を実施する際には、必ずその施策の「遷移先」にも気を配り、最適化させる必要があります。
デジタルマーケティングを進めていくと、Web広告やSNSマーケティングといったさまざまな施策を実践していくことになるかと思います。
たとえば、Web広告のリスティング広告を実施する際には、そのリスティング広告をクリックした時の飛び先(遷移先)となる、LP(ランディングページ)を最適に保ちましょう。
なぜなら、せっかくユーザーが広告をクリックしたとしても、遷移したページが広告文や検索意図と一致していなければ、ユーザーはすぐに離脱してしまうためです。
デジタルマーケティングでは、遷移先の最適化が重要であることを心に留めておきましょう。
ランディングページ(LP)についてくわしく知りたい方には、下記記事が役立ちます。
11. まとめ
最後に、デジタルマーケティングの基本についてまとめます。
【デジタルマーケティングとは?】
デジタルテクノロジーとデジタルデータを活用したマーケティング手法すべてを指し、Webマーケティングはデジタルマーケティングの一部。
【デジタルマーケティングの2つの特徴】
- 複数のチャネル(オムニチャネル)を連動させて行う
- データドリブンに基づいて行う
- データドリブンとは……データに基づいて消費者へのアプローチを行うことを指し、効果測定できる環境をととのえて適切なKPIを設定し行うマーケティング
- オムニチャネルとデータドリブンにより、膨大なデータを蓄積することができるためデジタルマーケティングはターゲティング精度が高い
デジタルマーケティングの手法・重要性は理解したものの、具体的に何から始めたら良いかわからないという方も多いと思います。
「どの施策から始めるべきか知りたい」「自社の課題を客観的な視点から把握したい」「自社に合った正しいマーケティング戦略を知りたい」といったお悩みを抱えている場合には、ぜひ弊社までご相談ください。