インターネット広告といってイメージするものとして、リスティング広告やディスプレイ広告が挙げられます。この記事では、ディスプレイ広告についてご紹介していき、リスティング広告との違いや、リスティングとディスプレイを使い分けた活用事例なども含めてお伝えしていきます。
「広告運用を始めたばかりで違いがよくわからない」方や、「リスティング広告は知っているけどディスプレイ広告は知らない」「ディスプレイ広告の活用方法が知りたい」といった方も、ぜひ参考にしてみてください。
それでは、さっそく解説していきます。
1. ディスプレイ広告とは
ディスプレイ広告とは、Webサイト・アプリなどに一定の枠を取って表示される、画像・動画・テキスト形式の広告のことを指します。バナー広告と呼ばれることもあります。
以下の画像は、実際に表示されたディスプレイ広告です。(右上部の赤枠)
2. ディスプレイ広告の種類
ディスプレイ広告にもいくつか種類がありますので、多く利用されている3つをご紹介していきます。
Googleディスプレイネットワーク(GDN)
Google Display Network(グーグルディスプレイネットワーク)通称「GDN」とは、Googleが提供するディスプレイ広告、またはGoogleがディスプレイ広告を配信するためのネットワークのことを指します。
幅広いサイトに広告を配信できるのが特徴で、配信対象のWebサイトはなんと200万以上。非常に多くのWebサイト・モバイルアプリ・動画コンテンツなどに広告を掲載することができます。
※参考
ディスプレイ ネットワーク キャンペーンのターゲティングについて – Google 広告 ヘルプ
Yahoo!ディスプレイ広告(運用型)(YDA)
Yahoo!ディスプレイ広告(運用型)通称「YDA」とは、Yahoo!が提供するディスプレイ広告のことを指します。
YDAは、これまで「YDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)」と呼ばれていました。YDNは、2021年6月23日に提供終了予定となっており、2021年5月現在はYDN→YDAへの移行期間中です。
Yahoo!JAPANやYahoo!ニュース、Yahoo!知恵袋など、Yahoo!が運営するサイト・サービスを中心に配信が行われます。そのほか「朝日新聞DIGITAL」「BuzzFeed」「cookpad」といった提携サイトにも配信されます。
※参考
Yahoo!広告(リスティング・ディスプレイ広告)の掲載先│Yahoo!広告
YouTube広告
YouTube広告は、大規模な動画配信プラットフォームである「YouTube」に広告を配信できるサービスです。
配信されている動画の前に広告動画を配信できるほか、検索結果やYouTubeトップページに広告動画を表示することもできます。
「日本のスマートフォン ユーザーでYouTubeを利用する人は、毎月4,500 万人にのぼる」という調査結果や、「日本の 20~34 歳のインターネットユーザーのうち、男性は40%、女性は30%を超える人が 1日に 1時間以上YouTubeを利用している」という調査結果があるほど、多くの方が利用しています。
※参考
YouTube 広告 – オンライン動画広告キャンペーン
今後も利用者が増加していくであろう、世界的な動画配信サービスであるYouTubeに広告を配信することは、ビジネスに大きな変化をもたらす可能性があります。
3. ディスプレイ広告のメリット
ここからは、ディスプレイ広告のメリットをご紹介します。
ディスプレイ広告のメリットと言える特徴は、以下の4つです。
① 潜在層に広告を配信できる
② 視覚・聴覚に訴えるアプローチができる
③ さまざまなターゲティングが利用できる
④ クリック単価が比較的安い
ひとつずつ解説していきましょう。
① 潜在層に広告を配信できる
ディスプレイ広告は、商品やサービスを明確に求めていないユーザー、つまり「潜在層」にも配信することができます。
商品やサービスに関連するWebサイトなどに配信できるため、「多少興味がある」といった程度のユーザーにも広告を配信できるのです。検索結果に表示されるリスティング広告は、キーワードを指定しての配信しか行えません。
そのため、商品やサービス、それらに準ずる情報を求めているユーザー(主に顕在層)への広告配信のみが可能な状態でした。
しかしディスプレイ広告は、Webサイトやアプリを通して「サービスや商品自体をまだ知らない」「同ジャンルのサービスに興味がある」といったユーザーにも広告を配信できます。
リスティング広告よりも幅広い層のユーザーに広告を配信できるため、自社サービスや商品を利用してもらえる可能性を持つ、より多くのユーザーにアプローチすることが可能です。
② 視覚・聴覚に訴えるアプローチができる
ディスプレイ広告は、画像・動画・テキストを使用して作成できる広告です。
そのため、ユーザーの視覚・聴覚に訴えかける広告を配信できます。リスティング広告は、テキスト(文字)のみの広告形態です。また、その中で使用できる記号なども限られています。
媒体によって規定はありますが、ディスプレイ広告はリスティング広告よりもはるかに自由で多彩な表現が可能です。
宣伝したい商品やサービス、配信するWebサイトやアプリに合わせた広告の作成・配信が可能になるでしょう。表現の幅が広がることで、広告が与える効果の可能性をも広げることができます。
③ さまざまなターゲティングが利用できる
前述した表でも確認できるとおり、ディスプレイ広告は多くのターゲティングが利用できます。
- 過去に自社と接点があったユーザー
- ユーザーの興味・関心の指定
- 年齢・性別などユーザー属性の指定
- 顧客データに基づくターゲティング
特に、「過去に自社と接点があったユーザー」に広告を配信できる点は大きな特徴です。
これはリマーケティング(リターゲティング)と呼ばれているターゲティング方法で、指定したWebサイトなどにアクセスしたことがあるユーザーに対して広告を配信できます。
自社サイトや商品ページを指定した場合、すでに自社サイト・商品を知っている状態のユーザーにディスプレイ広告を配信できるということです。
そのため、よりコンバージョン(購入・アプリインストールなどの広告を配信して達成したい目標)に近いユーザーに広告を配信することができます。
④ クリック単価が比較的安い
ディスプレイ広告は、リスティング広告と比較するとクリック単価が安いことが多いです。
平均すると、ディスプレイ広告は1クリックあたり数円~数十円で配信を行えます。※ターゲティング方法によって多少変動します
リスティング広告のクリック単価はキーワードに大きく左右されますが、だいたい1クリックあたり数十円~数百円が平均的です。人気のキーワードは1クリック1,000円を超えることもあります。
リスティング広告と比較すると、安いクリック単価で多くの人に見てもらえる広告がディスプレイ広告であると言えるでしょう。
4. ディスプレイ広告のデメリット
ここからは、ディスプレイ広告ならではのデメリットをご紹介します。
ディスプレイ広告を効果的に活用するためにも、デメリットも合わせて把握していきましょう。
① CVR(コンバージョン率)が低い
② 適切なターゲティングを見つけるまで時間がかかる
以下からひとつずつ解説していきます。
① CVR(コンバージョン率)が低い
ディスプレイ広告は、幅広い層へのアプローチが可能であるということはお伝えしました。リスティング広告では難しい、潜在層への訴求も可能です。
だからこそ発生してしまうデメリットとして、「CVR(コンバージョン率)が低くなってしまう」ということが挙げられます。
まだサービスの利用・購入などを検討している段階や「興味がある」という段階にある潜在層は、顕在層と比べてコンバージョンから遠い存在だと言えるでしょう。そのため、顕在層にアプローチすることがメインのリスティング広告よりもCVR(コンバージョンする確率)が低くなってしまうことが多いです。
ディスプレイ広告は幅広い層に配信できる広告のため、「認知の向上」「ブランディング」などに向いている広告だと言えます。
CVRだけにとらわれず、ディスプレイ広告を配信する目的を設定することや、リスティング広告などと併用することでディスプレイ広告の効果を高めることができるでしょう。
② 適切な配信形式を見つけるまでに時間がかかる
ディスプレイ広告には、さまざまなターゲティング方法があります。
また、広告の形式も「画像のみ」「動画のみ」「画像+テキスト」「動画+テキスト」「テキストのみ」など、複数の形式を利用可能です。
そのため、成果の良し悪しを見極めることが難しいと言えます。
- 配信場所
- ターゲティング方法
- 広告の形式・要素
この3つの中の何が良かったのか、何が悪かったのか、どこを改善するべきなのかなどは、さまざまなパターンを試して見つけなければなりません。
商材やサービスによっても結果は大きく変動するでしょう。自社商材・サービスに合った適切な配信形式を見つけるまでに時間がかかるということが、デメリットであると言えます。
5. ディスプレイ広告とリスティング広告の5つの違い
ここからは、具体的にディスプレイ広告とリスティング広告の違いを具体的に解説していきます。
広告が表示される場所
まず、ディスプレイ広告とリスティング広告では広告の表示場所が異なります。
リスティング広告
リスティング広告は、SERPと呼ばれる検索結果ページに表示されます。
例として、Googleで「リスティング広告 出稿」と検索してみました。
このように、広告が多く表示されます。左上に「広告」と表示されているものは、すべてリスティング広告です。
以下のように、検索結果下部に表示される場合もあります。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、媒体が提携しているWebサイトの決まった場所に表示されます。
先ほどの画像を再掲します。
右上部の赤枠部分がディスプレイ広告です。
広告の素材と見せ方
ディスプレイ広告とリスティング広告では、広告に使用する素材とその見せ方も大きく違います。リスティング広告では、テキストのみを使用したテキスト広告しか配信することができません。
一方で、ディスプレイ広告は、画像・動画を使用した広告や、画像・動画とテキストを組み合わせた広告、テキストのみの広告など、使用できる素材に幅があります。また、広告の見せ方も異なります。
リスティング広告は検索結果ページに表示されるため、ユーザーが検索に使用したキーワードに合わせ、ユーザーが求めている情報を提供できる内容を掲載することが大切です。
ディスプレイ広告はさまざまなWebサイトやアプリに表示されるため、「目を引く内容」「自社やサービス・商品をアプローチできる内容」など、目的に合わせた構成の広告を作成することで効果を高められます。
広告を届けるターゲット層
広告を届けるターゲット層も大きく異なります。
前章でもお伝えしましたが、リスティング広告は顕在層への配信が主です。キーワードを使用して「検索」という能動的な行動を行っているため、ユーザーはキーワードに関連する情報を積極的に求めていると言えます。
リスティング広告は、そのような積極的に情報やサービスを求めている層=顕在層にアプローチすることができる広告です。
一方で、ディスプレイ広告は、さまざまなターゲティングを使用できます。そのため、顕在層から潜在層までさまざまなユーザーに広告を届けることが可能です。
広告のターゲティング方法
広告のターゲティング方法も、リスティング広告とディスプレイ広告では大きく異なります。
リスティング広告は、ユーザーが検索に使用するキーワードを指定することでターゲティングを行います。
ディスプレイ広告は、過去に自社サイトを訪れたことがあるユーザーに対しての配信や、ユーザーの興味・関心、年齢・性別などを指定して配信することが可能です。
広告のクリック単価
リスティング広告とディスプレイ広告ではクリック単価(広告1クリックあたりにかかる料金)にも違いが生じます。
リスティング広告のクリック単価は、平均すると1クリック数十円~数百円であることが多いです。1クリック1,000円を超える人気キーワードも存在します。
ディスプレイ広告は、1クリックあたり数円~数十円に落ち着くことが多いです。
どちらもキーワード(ターゲティング)によって変動しますが、ディスプレイ広告の方が比較的安価なクリック単価であることが多いでしょう。
ディスプレイ広告のクリック単価や費用については、以下の記事でくわしく説明しています。
6. ディスプレイとリスティングを使い分けた活用事例
ここからは、ディスプレイ広告とリスティング広告を使い分けた活用事例をご紹介します。
リスティング広告は、ニッチなキーワード
ディスプレイ広告は、リマーケティング
マタニティウェア専門のECサイト「ココマミー」は、リスティング広告とディスプレイ広告をうまく使い分けた結果、集客・売上増加に成功しています。
「ココマミー」が行った施策は以下のとおりです。
「妊婦」のみなど、検索数が多いビッグキーワードではクリック単価が上がってしまうと同時に顧客の絞り込みも難しくなってしまいます。そのため、3語以上の組み合わせなどの複合キーワードをターゲットキーワードとして配信を行い、効率化を図ったそうです。
また、一度Webサイトに訪問したユーザーを逃さないためディスプレイ広告でリマーケティングを実施。見込み顧客への効果的なアプローチを行いました。
結果、クリック率の大幅な増加やGoogle広告経由の売上が4割を占めるなど、Google広告は無くてはならない存在となりました。
※参考
Google 広告|的確なキーワードで見込み顧客にアプローチし集客を実現「ココマミー」
リスティング広告を導入したい方は、下記記事をご活用ください。
7. まとめ
ディスプレイ広告は、幅広いユーザーに多彩な表現でアプローチできる広告です。「多くの人に見てもらいたい」「自社のブランディング活動をしたい」といった目的にぴったりの広告だと言えるでしょう。
もちろん、ターゲティングや配信場所を選別する・広告内容を工夫するなど、アイデア次第では顕在層(よりコンバージョンに近いユーザー)へのアプローチも可能です。活用事例でご紹介したように、リスティングとの併用も大きな成果を生むでしょう。
このように、ディスプレイ広告は大きな可能性を持っています。自社サービス・商品に合った媒体や使い方を模索して、ビジネスを大きく成長させていきましょう。