本記事では
- SNSマーケティングの基礎知識
- 代表的なSNSとその特性
- SNSマーケティングの具体的な手法と、中小企業の成功事例
といった、初心者の方に必要な内容を広くご紹介していきます。
SNSマーケティングとは、TwitterやInstagram、LINEといったSNSを活用したマーケティング手法です。SNSにより、企業や商品の認知を広めたり、ファンを獲得したりして、ブランディングや売上向上につなげていきます。
実は、SNSマーケティングは中小企業にとっても避けては通れないものになりつつあります。なぜなら、SNSの利用者数と使用時間は年々増加しているためです。
また、近代のマーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラーは「ソーシャルメディアに回される予算は、2030年までにマーケティング予算の50%におよぶだろう」と予測しています。
本記事を読み終えていただければ、次のようなことができるようになります。
- 自社が活用すべきSNSがわかり、選定できる
- SNSマーケティングの始め方(手順)がわかり、実行できる
- SNSマーケティングの成功ポイントと注意点を把握できる
それではさっそく、解説していきます!
1. SNSマーケティングとは?
SNSマーケティングとは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて顧客とつながり、コミュニケーションを行うマーケティング手法です。
SNSによる発信で共感を得たり、商品・サービスへの理解をうながすことにより、企業のブランド構築やファン化、購買などにつなげていきます。
◎UGCが鍵となる購買行動モデルULSSAS(ウルサス)
SNSでは従来のマーケティングとは購買行動モデルが異なり、ファンの自然発生的な「企業に関する投稿」や「口コミ」といったUGC※を起点とした、「好感の持てる認知」を最大化させることが重要視されています。
※UGCとは・・・企業ではなく人々の手によって生み出された、クチコミのようなコンテンツのこと

他のマーケティング手法との違い
本項では、また別の切り口からSNSマーケティングをとらえてみます。マーケティング手法は大まかに、「ストック型」と「フロー型」に分けられ、SNSマーケティングは、フロー型ビジネスに分類されます。
【ストック型】 ブログ記事、動画コンテンツなど ・ストックは「蓄積」を意味する・コンテンツを蓄積することにより、アクセス数を増やす手法 ・継続的に収益をあげられる |
【フロー型】 SNS、メルマガ、デジタル広告(リスティング・ディスプレイ広告)など ・フローは「流れ」を意味する ・コンテンツを蓄積することは目的とせず、毎日・毎時間・毎瞬といった単位で消費されるコンテンツ ・短期的に収益をあげられる |
SNSはフロー型コンテンツのため、毎日の継続的な発信・投稿が欠かせません。
また、企業のマーケティングでは、SNSだけを活用するのではなく、ブログのようなストック型コンテンツと並行して運用するのが一般的です。
2. なぜSNSマーケティングが重要視されているのか
SNSマーケティングが注目され、どの企業も着手し始めているのには理由があります。ここでは、SNSマーケティングが重要視されている理由をデータとともに解説していきます。
SNS利用者が増加している
次のグラフは、ICT総研による「2020年度 SNS利用動向に関する調査」の、SNSの利用者数のデータです。日本におけるSNSのアクティブユーザー(利用者)は年々増加しており、利用率は80%を超えていることがわかります。

SNSの年代別での利用状況も見ておきましょう。
次の図は、総務省が2021年に発表したソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用状況を表したグラフです。
前年と比較すると、すべての年代層でSNSの利用率が増加していることがわかります。特に、60代、70代、80代の利用率は大幅に増加しており、SNSが幅広い年齢層に普及していることが見てとれます。

利用時間についてもデータを見ておきましょう。下記は総務省によるグラフで

上記のグラフの全年代の平均利用時間を比較すると、次のようなことが読み取れます。
平日 | 1位「メールを読む・書く」が34.6分 2位「ソーシャルメディアを見る・書く」が32.3分 3位「動画投稿・共有サービスを見る」が25.9分 |
休日 | 1位「動画投稿・共有サービスを見る」が37.2分※ 2位「ソーシャルメディアを見る・書く」が36.2分 3位「オンラインゲーム・ソーシャルゲームをする」が23.7分 ※休日の10代の「動画投稿・共有サービスを見る」は、初めて100分を超過しています |
このように、SNSおよび動画コンテンツに触れる時間は、平日・休日ともに上位となっています。
また、企業のSNSの活用状況も、幅広い業種で増加傾向にあります。
特に大きく増えている業種は、「卸売・小売業」「金融・保険業」「不動産業」です。
活用目的と用途については、「会社案内・人材募集」での活用が増加しています。

SNS検索で情報を探す生活者が増えている
消費者は、GoogleやYahoo!といった検索エンジンに加えて、SNSでも情報収集をするようになってきています。
下記は、消費者のSNSの利用目的をグラフ化したものです。「知りたいことについて情報を探すため」が増加傾向にあり、SNS利用の目的の第2位となっています。

また、クロスマーケティングが実施した調査では、「SNSでみた商品やサービスに興味をもつ」または「興味をもった物を購入する」人の割合は、Twitter、Instagram、LINEでパーセンテージが高いことがわかりました。

3. SNSマーケティングのメリット・デメリット
SNSマーケティングを始める前に、メリットとデメリットも知っておきましょう。
【SNSマーケティングのメリット・デメリット】 | |
---|---|
メリット | デメリット |
①リアルタイムで情報伝達ができる ②顧客との関係性を築ける ③費用がほとんどかからない ④ターゲット以外の顧客層にリーチできる ⑤短期集中で成果を得ることも可能 | ①注意しないと炎上することも ②発信者にリテラシーが必要 ③常にONでいる必要がある |
メリット
①リアルタイムで情報伝達ができる
SNSは「リアルタイム性」に優れ、タイムリーな情報発信が可能です。顧客に必要な情報をすばやく伝えられるだけでなく、顧客の反応にもスピーディーに応えられます。
②顧客との関係性を築ける
相手との距離感が近く、ダイレクトなコミュニケーションも可能となるのがSNSです。「企業と顧客」といった関係性というよりは「人と人」との関係性に近づくため、親しみを持ってもらいやすくなります。親近感や信頼感を高められるため、顧客と良い関係を築けます。
③費用がほとんどかからない
主要なSNSは初期費用が無料です。運用費も特別な施策(SNS広告やインフルエンサー活用など)以外では必要なく、費用対効果が高いマーケティング手法です。
④ターゲット以外の顧客層にリーチできる
検索エンジンを利用したWeb広告や雑誌のような媒体では、ターゲットは限定的になってしまいますが、SNSでは幅広い顧客層に情報や広告をリーチできます。
⑤短期集中で成果を得ることも可能
集中的にアクセルを踏み、短期でマーケティング施策を仕掛けられるのもSNSの利点です。
たとえば、「新製品リリースのタイミングで話題にしたい」「年末商戦で集中的に収益UPさせたい」「今期中にビジネスを拡大したい」といったように、目標値と期日が明確であれば、戦略的に成果を得られます。
デメリットと解決策
①注意しないと炎上することも
SNSマーケティングを実践する企業には、小さな企業であっても炎上リスクがともないます。SNSの特性である「拡散性」は、良い情報だけでなく誤った発言も次々と拡散されていきます。大炎上してしまうと、企業イメージのダウンだけでなく、信用やファンを失うことにもなり注意が必要です。
解決策
◯毎回の発信時に「これは誤った発言ではないか?」を第三者の視点で確認する
◯SNS上のマナーやモラルを高める
「炎上の予防対策」については「11.SNSマーケティングの注意点」にてくわしく解説していますのでぜひ参考にしてください。
②発信者にリテラシーが必要
前述した「炎上リスク」にも関係しますが、SNSマーケティングには発信者(担当者)のリテラシーが不可欠です。リテラシーの有無がSNSマーケティングを成功させられるか否かを分けるといっても言い過ぎではないのです。
解決策
◯適任者を見つける
◯SNSリテラシーを向上させる
③常にONでいる必要がある
「Always On(常にオンでいること)」というMeta社(旧Facebook社)の言葉どおり、SNS運用では日々の投稿や、ユーザーの反応へのレスポンスなどを心がける必要があります。従来のマーケティング手法とは全く異なると覚えておきましょう。
解決策
◯10:00〜19:00のように発信する時間をあらかじめ決めておく
◯すぐに発信・反応できるような環境整備を
4. SNSマーケティングで期待できる効果
SNSマーケティングによって得られる効果を知っておくことで、自社のSNSマーケティングを導入する目的設計に活かせます。
認知度拡大
SNSの「拡散性」や、いいね!のような「共感性」により、商品・サービス、あるいは、企業そのものの認知を拡大できます。また、従来のマーケティング手法ではリーチできなかった潜在層にも認知拡大が可能です。
ブランディング
企業の公式アカウントでの情報発信や、ユーザーによる良いクチコミによって、企業・商品・ブランドへのイメージは前向きな良い変化を生み出します。多くの「いいね!」で共感を得たり、口コミが拡散されたりすることで、フォロワー数は着実に増え、企業価値は高まっていきます。
ロイヤリティ向上
ロイヤリティ(ロイヤルティ)とは、ビジネスシーンでは「忠誠心」や「愛着心」「信頼」などを示します。SNSマーケティングでは顧客との良好なコミュニケーションを通じ、企業への愛着や信頼を醸成できます。将来的に、顧客ロイヤリティの向上につなげられるのです。
5. SNSマーケティングの手法5つ
SNSマーケティングの具体的な手法(施策)は次の5つです。
- SNSアカウント運用
- SNS広告
- インフルエンサーマーケティング
- ソーシャルリスニング
- SNSキャンペーン
ひとつずつ解説していきます。
SNSアカウント運用
最も取り組みやすく一般的な施策が、企業の公式SNSアカウント運用です。
SNSアカウント運用により、情報発信や顧客とのコミュニケーションが可能となります。アカウントを取得しないと他の施策も実行できませんので、まずはアカウント取得をし運用を開始してみましょう。
SNS運用では、Webサイト・ECサイト、企業ブログへの導線も作ることが可能です。具体的な方法は、下記の記事でご紹介しています。
SNS広告
SNS広告は、SNSの表示画面に動画や画像の広告を表示させる施策です。他のデジタル広告との違いは、ターゲティング精度が高い点です。また、SNS広告は広告特有のプッシュ感が少なく、ユーザーに嫌な印象を与えにくいため需要が高まっています。
SNS広告の種類や特徴などの「基礎知識」については、下記記事でくわしく解説していますのでご参考ください。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは、ある特定のコミュニティやターゲット層において影響力の強いインフルエンサー(たとえば、ユーチューバーやインスタグラマーなど)を起用するマーケティング施策です。
インフルエンサーを支持する10〜100万単位のフォロワーに対し、商品やサービスをPRでき、認知を広め、購買行動をうながします。
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングとは、主にSNSでユーザーのリアルな声を収集して、分析を行いマーケティングに活用する施策です。従来の消費者アンケートと比べ、より率直で自由な意見や批評を集められるため、商品やブランドの改善に活用できます。
SNSキャンペーン
SNSキャンペーンとは、ユーザー参加型のマーケティング施策で、ユーザー自身が作成するコンテンツ(UGC)により自社キャンペーンが自然と広められ、話題になる可能性が高いというメリットがあります。
6. 中小企業が活用している代表的なSNSとその特性
本章ではビジネスシーンで活用されている主要なSNSを解説していきます。
◎アクティブユーザー数 | 2,600万人 |
◎メインユーザー | 30〜40代と比較的高め |
◎特徴(他のSNSと違う点) | 実名登録制 |
◎強み | ターゲティング精度のある広告配信が可能 |
◎こんな企業におすすめ | ・ターゲットの年齢層が高め ・海外に販路を拡大したい企業 |
Facebookは「実名登録制」のため、年齢、学歴、仕事といったユーザー情報の確度が高いです。よって、ターゲティング精度に優れた広告配信ができます。
メッセージ機能が充実しているため、取引先とやりとりを行うなどフォーマルな場面で活用されており、他のSNSと比較するとビジネス向きのSNSです。
コンテンツの種類が豊富な点もFacebookの特徴で、次のようなコンテンツを配信できます。
テキスト/画像/動画/LIVE動画/リンク/カルーセル/ストーリー/クーポン発行/2択アンケート/購入ボタン付き投稿 など
Facebookは世界で最もアクティブユーザーが多いSNSです。海外に販路を拡大したい企業のマーケティングには是非活用してください。
◎アクティブユーザー数 | 4,500万人 |
◎メインユーザー | 20〜30代が多いが、なかでも20代の利用率が圧倒的に多い |
◎特徴(他のSNSと違う点) | 140文字までのショートテキスト投稿 |
◎強み | 「リアルタイム性」「拡散力」 |
◎こんな企業におすすめ | ・キャンペーンを手軽に行いたい ・顧客とのコミュニケーションを増やしファン化につなげたい |
実名制のFacebookとは異なり、Twitterは匿名で複数のアカウントを開設できます。実際に複数のアカウントを利用しているユーザーは多いです。
(月間アクティブユーザー数はアカウント数がベースとなっていますので、その点を考慮して実際の利用者数をとらえる必要があります。)
Twitterはリアルタイム性に優れており、ニュースや話題が頻繁にシェアされ、バズ(爆発的な拡散)が起こりやすいSNSです。
近況報告や情報収集目的で利用されることも多く、ハッシュタグ(#)付きのリアルタイム検索や、トレンド検索が活用されています。
ユーザーとのコミュニケーションが近い距離感でできるため、企業が顧客との関係性を良好に保ったり、ファンを増やすために利用するケースが多いです。
「Twitterキャンペーン」はTwitterの拡散力を活かしたもので、フォローやリツイートなどを条件に気軽に参加してもらえるため、活用する企業は多いです。
◎アクティブユーザー数 | 3,300万人 |
◎メインユーザー | 20〜30代の女性の利用率が多い(男女比は4:6) |
◎特徴(他のSNSと違う点) | 画像や動画投稿に特化している |
◎強み | ビジュアルでブランドの世界観を訴求できる |
◎こんな企業におすすめ | ・ファッション・旅行 ・料理を扱う企業 ・ECサイトで20〜30代女性がターゲットの企業 |
Instagramは近年最も成長しているSNSです。24時間で投稿が自動消去される「ストーリーズ」や「ストーリーズのLIVE配信」「リール」など投稿のバリエーションも増えています。
写真やイラストといった画像や動画で投稿するSNSなので、ファッション・旅行・料理・ヨガ・インテリア・不動産といった、ビジュアル映えする商品やサービスとの相性が良いです。
ECサイトへの導線を作れる「ショッピング機能」があるため、20〜30代女性がターゲットで、ビジュアルに強い商材を扱うECショップは導入を検討してみるといいでしょう。
また、InstagramはFacebook傘下(Meta社)のSNSのため、Facebookと同様に精度の高いターゲティングで広告配信が可能です。
Instagramリール広告については下記記事が参考になりますのでご参考ください。
LINE
◎アクティブユーザー数 | 8,900万人 |
◎メインユーザー | 20〜50代に幅広く利用されている |
◎特徴(他のSNSと違う点) | ・国内利用者数が最も多い ・企業と個人(1対1)のクローズドなコミュニケーション |
◎強み | 利用者数の多さを活かした広告配信 |
◎こんな企業におすすめ | ・飲食店のような実店舗 ・1対1で顧客との関係づくりをしたい企業 |
LINEはユーザー数が国内最大で、他のSNSは利用していなくても「LINEだけは使っている」という方も多いSNSです。
スタンプが豊富で、企業のオリジナルスタンプを作成し活用することもできます。
他のSNSと異なり、LINEは「企業と個人」のトークが公開されないクローズドな環境のため、個人と企業をつなぐサービス(ショップカード、個別連絡、クーポン発行など)が充実しています。
また、LINEを活用してメルマガを配信をする企業も増えています。理由は、迷惑メールとして弾かれたり、メールボックス内に埋もれないため、到達率が100%で、反応率も高いためです。
ただし、LINEはいつでも簡単にアカウント解除ができてしまうため、LINEによるメルマガはリード獲得(企業名やメールアドレスなどの取得)を視野に入れつつ運用する必要があります。
YouTube
◎アクティブユーザー数 | 6,500万人 |
◎メインユーザー | 10~50代の幅広い年齢層が利用 |
◎特徴(他のSNSと違う点) | ・世界最大の動画配信プラットフォーム ・インフルエンサーマーケティング市場が大きい |
◎強み | Googleのビッグデータを活用した動画広告配信 |
◎こんな企業におすすめ | ・知識やノウハウがコンテンツに向く企業 ・BtoB企業・ブランディングに力を入れたい企業 |
YouTubeは25〜35歳の利用者数が最も多いですが、10~50代の幅広い年齢層に利用されている動画プラットフォームです。
YouTubeで公式チャンネルを開設する企業も増えており、ユーチューバーやタレントといった、インフルエンサーとのタイアップやコラボレーションを実施する企業も多いです。
YouTube内には、エンターテイメントから専門性に優れたチャンネルまで、様々な分野の動画が投稿されています。
企業の公式チャンネルでは、業界の基礎知識を解説したり、難解な機器の使用方法をわかりやすく説明したり、他には、採用案内、企業紹介、商材PR、ブランディングなどにも活用できます。
また、YouTubeはGoogle傘下なので、膨大なデータをフル活用できる動画広告配信は人気があります。
YouTubeを活用した動画マーケティングについてくわしくは下記記事で解説しています。
7. 今後注目したいSNS【2選】
前章でご紹介した5大SNSの「国内ユーザー数ランキング」は下記のようになっており、今後注目したいのは6〜7位のTikTok・Pinterestです。
【日本国内のユーザー数】
SNS名 | ユーザー数 | |
1位 | LINE | 8,900万人 |
2位 | YouTube | 6,500万人 |
3位 | 4,500万人 | |
4位 | 3,300万人 | |
5位 | 2,600万人 | |
6位 | TikTok | 1,690万人 |
7位 | 530万人 |
TikTokとPinterestは、全世界での利用者数はTwitterやLINEよりもはるかに多く、TikTokはInstagramと並び10億人が利用しています。
将来的に国内でのユーザー数は増えていく見通しがあるため、今のうちに基本情報を知っておきましょう。
TikTok(ティックトック)
- TikTokはショート動画(約15秒から3分程度)を投稿できるSNSで、日本では10〜20代がメインユーザーです。
- 動画SNSのユーザー数は年々増えているため、若年層をターゲットとした商材を扱う企業は着目しておくとよいでしょう。
- 注目すべきはTikTok広告で、スマホ画面をフルサイズで活用した動画広告はユーザーを動画の世界観に引き込むことができ、訴求力が強力です。
- TikTokクリエイターに広告作成をしてもらったり、コラボしたりすることで、広告と感じさせない「コンテンツのような広告」を配信できる点もポイントです。
◎TikTokをSNSマーケティングで活用している成功事例
・キャンペーン
ワイモバイル「#と思いきやダンス」
コカ・コーラ「#リボンでありがとう」
ローソン「#いつでもLチキチャレンジ!」
・インフルエンサー起用
キレイモ(脱毛サロン) 渡辺直美さん起用
・プロモーション
サントリー
「ペプシJコーラ」プロモーション動画(ダンス動画)
・TikTok広告
ドミノ・ピザ
人気クリエイターミスターヤバタン氏とのコラボ広告
サントリー
「ほろよい」の広告制作をTikTokクリエイターに依頼
Pinterest(ピンタレスト)
- Pinterestは、インターネット上に存在する写真やイラストといった画像をブックマークして、ピンで留めるようなイメージで自分のボードに収集できるSNSです。
- Pinterestの「リピン」という機能はTwitterのリツイートに該当し、お気に入りの画像をシェアし拡散が可能です。
- Pinterest上の画像はURLと紐付けされて保存されるシステムとなっており、こういったシステムを利用してWebサイトへの誘導に活用できます。(ユーザーが画像をクリックすることにより、リンクされたWebサイトページへ飛びます。)
◎PinterestをSNSマーケティングで活用している成功事例
ユニクロ
ゼクシィ
H.I.S Japan
北欧、暮らしの道具店
ROOMIE(ルーミー)
など
8. SNSマーケティングの始め方【実践手順5STEP】
ここでは、SNSマーケティングの実践手順を次の「5ステップ」で解説します。
本章の手順に沿って進めることにより、SNS初心者の方でも、今日からSNSマーケティングに着手できますので是非ご参考ください。
①目的を決める
まず、SNS運用自体が目的になってしまわないよう、「何のためにSNSを運用するのか?」「どういった効果を得たいのか?」といったSNSマーケティングの目的を明確にしましょう。
KGI・KPIという指標を用いて目的設定すると、向かうべき地点が明確になり効果を得られやすくなります。
【KGI】 |
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◎SNSマーケティングの「KGI」とは? SNS運用で到達したい最終目的地がKGIです。 ◎「KGI」はどうやって決めたらいい? ・自社の現状の「課題」に基づいて設定 ・または、自社の「ターゲット」に基づいて設定 ・あるいは、企業の「中期・長期計画」のなかで、SNSマーケティングが担える領域がないか確認してみる ◎KGIの例 ・ブランド認知度の向上 ・自社サイトのアクセス数の向上 ・SNS内での検索数の向上 |
【KPI】 |
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◎SNSマーケティングの「KPI」とは? 最終目的地(KGI)に迷わず向かうための中間目的地がKPIで、達成度を測るための効果指標です。 ◎「KPI」はどうやって決めたらいい? ・KGI達成に「必要な要素」や「要因」を洗い出す ・あるいは、競合他社のフォロワー数やいいね!といった「アカウント実績」に基づいて設定する方法も有効 ◎KPIの例 ・KGIが「ブランド認知度の向上」の場合・・・ KPIは「ファン数」「リーチ数」「インプレッション数」など ・KGIが「自社サイトのアクセス数の向上」の場合・・・ KPIは「URLクリック数」「アプリダウンロード数」など ・KGIが「SNS内での検索数の向上」の場合・・・ KPIは「指名検索数」「ハッシュタグ数」など |
②ターゲットの明確化
KGI・KPIが決まったら、次は、ターゲットを決めます。
「どのような人に情報を届けたいか?」というターゲット像をより細かにすることにより、ペルソナ(自社にとって最も重要で象徴的なお客様像)を設定します。
ペルソナ設定をすると、発信するコンテンツの方向性が明確になり、投稿する際の指標になります。
「ペルソナ設定」の例 |
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・基本情報(年齢・学歴・年収・居住地・家族構成など) ・人物のエピソード・ライフスタイルや価値感 ・よく見るサイトやアプリ ・よく行く場所 ・休日の過ごし方(1日のタイムスケジュールシナリオ) など |
③SNSを選定する
次に、利用するSNSを選びます。
選び方の基準は、「自社のペルソナや顧客層も考慮」することが最重要です。
また、最初に設定した目的(KGI・KPI)を達成するために最適なSNSはどれか?といった視点ももち、運用すべきSNSを見極めます。
④運用ポリシーを決め、運用体制を整える
利用するSNSが決まったら、そのSNSの運用ポリシーや運用マニュアルを作成しておきます。マニュアルやポリシーを最初に決めておくと、予期しない事態が生じた時でも、SNS担当者が不在であっても、マニュアルに沿って適切な対処が可能となります。
【運用マニュアル・項目例】 |
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・投稿頻度 ・投稿実施時間 ・投稿原稿の作成フロー (たとえば、原稿作成は○○さんで最終承認は△△さんといった形) ・写真投稿方法 (JPEG・PINGといった画像形式など) ・動画投稿方法 |
また、専任担当者の選定や、SNS運用のチーム化などを行い、SNSの運用体制も整えておきましょう。
⑤計画を立て、運用開始
定例ミーティングのスパンや振り返りのスケジュールなどを前もって決めておけると良いでしょう。SNSを一定期間、運用したらデータがたまりますので、データを分析してKPI(中間目的地)に近づけているかを確認します。運用の振り返りをして、必要に応じて軌道修正を行いましょう。
また、「短期集中で成果をあげたい」「リリースのタイミングで仕掛けたい」といった場合には、戦略的に進めることにより達成度が高まります。
戦略については、本記事の「10-4. SNSマーケティング戦略を立てる」にて触れています。
9. 【中小企業】SNSマーケティングの成功事例
ここでは、中小企業の方が参考にしていただけるようなSNSマーケティングの事例をご紹介していきます。「なぜそのSNSを選定したのか?」「それぞれのSNSをどのように使い分けているか?」がわかるように解説してまいります。
CHIPPRUSON(京都・個人経営パン店)

CHIPPRUSON(チップルソン)さんは、京都に1店だけ店舗を構えている個人経営のパン屋さんです。CHIPPRUSONさんは「Instagram」「Twitter」を活用しており、Instagramのフォロワー数はなんと50,000人を超えています。
Instagramにはナチュラルな雰囲気のステキなパンの写真がズラリ!「食」と相性が良いインスタで、視覚にうったえ共感を呼び起こすことに成功している活用事例です。

また、並行して運用しているTwitterでは、通販サイトのカートオープン時間のお知らせや緊急の告知、加えて、オーナーが日々感じていること、パンづくりへの思い、などの発信に活用されているようです。

商品力(パン自体の美味しさ)が洗練されているのはもちろんですが、「パン×お店×オーナー」による世界観がSNSにマッチし、多くのファン獲得につながっています。
CHIPPRUSONさんの成功ポイント
◎ターゲット層が多く利用していて、個人店のパン販売というサービスにマッチしたSNSを選定している点
◎食と相性がよく女性ユーザーが多いInstagram、テキストメインでリアルタイム性に優れているTwitter、といったようにそれぞれのSNSの特性を上手に活かしている
HAPINICE(愛知・注文住宅の設計&施工)

HAPINICE(ハピナイス)は、株式会社林美建さんが運営する愛知県豊橋市の注文住宅の設計・施工会社です。
HAPINICEさんが運用しているSNSは、「Facebook」「YouTube」「Instagram」「Pinterest」の4つで、なかでもYouTubeは登録者数8万人超の人気チャンネルとなっています。
YouTubeでは、家づくりに関する知識や家電の選び方といったよくあるお悩みを、施工業者ならではのプロ視点でわかりやすく解説し、再生回数を伸ばしています。
動画コンテンツは、知識を学んだり専門的なことの学習に向いており、HAPINICEさんはその特性を十分理解してフル活用されています。

【プロも賛否両論】創業50年の工務店社長が「太陽光発電をオススメしない理由」を解説!
Facebookでは、主に「スタッフブログ更新の告知」に活用。リンク先のスタッフブログは専門知識を得られるコンテンツとなっており、ブログ内にYouTube動画を複数埋め込むことで、よりくわしく知りたい方がすぐに視聴できるかたちになっています。

InstagramとPinterestでは、モデルハウスや施工事例の美しい写真を掲載。

Pinterestの「保存コンテンツ」内では、「リビング」「キッチン」「バスルーム」「寝室」といったエリアごとでカテゴライズ。
たとえば、「キッチンのイメージをまとめて見たい」といった方が参考にでき、気に入った画像はユーザー自身のボードにピン留めし保存していけるようになっています。

HAPINICEさんの成功ポイント
◎「家づくり」「住宅」というサービスの魅力を最大限に発揮できるSNSを選定している点
◎SNSごとの特性とターゲット層を理解し、それぞれにマッチしたコンテンツを「継続的に発信」している
10. SNSマーケティングを成功させる重要ポイント
前章でご紹介した成功事例と、その他の多くの成功事例から、SNSマーケティングを成功させるための重要なポイントを導き出し、解説していきます。
自社に最適なSNSを選定する
基本的なことですが、自社に最適なSNSを選ぶことが最も大切です。
SNSはプラットフォームによって、利用者層も特性も異なるため、自社のターゲット層が利用するSNSを見極め、選定しましょう。
導入するSNSの特性を十分理解する
これも大前提ですが、SNSを最大限に活用するには、利用するSNSの特性や強み、ガイドラインなどをしっかりと理解したうえで運用することが大切です。
たとえば、Instagramでは特に若年層では「ハッシュタグで検索し画像を探す」という行動が根付いています。こういった背景もあり、Instagramでは「ハッシュタグそのものをフォロー」できるようになったため、ユーザーは必ずしも企業やお店のような特定アカウントをフォローしなくても、自分がみたい画像や動画を閲覧できるようになりました。
こういったInstagramならではの特性や文化を知らなければ、「フォロワーを増やすための対策」を正しく立てられませんよね。
SNSにマッチした良いコンテンツを発信
SNSマーケティングで成功している企業や、大きな反響を得ている良質なコンテンツは、次のいずれかを必ず達成しています。
「共感できる」「親近感がある」「役立つ」「タイムリー」「ユーザーが参加できる」
また、「ユーザーが喜ぶコンテンツ」「親しみを持ってもらえるようなコンテンツ」を投稿することも忘れてはいけません。
SNSでファンを増やすには、「企業が言いたいこと」を発信するのではなく、常にユーザーの立場に立って、喜んでもらえる工夫や気配りをしていく必要があります。
SNSマーケティング戦略を立てる
SNSマーケティングを始めてしばらくすると、思うようにフォロワーが増えなかったり、閲覧回数が伸びなかったりといった状況になることもあるでしょう。また、短期で戦略的に仕掛けたいケースもあるかと思います。
そういった場合には、運用中に蓄積したデータをもとに分析し、SNSマーケティング戦略を立てると良いです。
戦略とは、目標値を達成するための「策略」や「方向性」のことで、リソース(人材・時間・資源)をどう分配・活用するかを決めることも戦略に含まれます。
SNSマーケティング戦略とは、具体的には「8.SNSマーケティングの始め方【実践手順5STEP】」で解説した内容を、より細分化して設定し、各SNSごとに明確なToDoを決めていきます。
特に、SNSマーケティングでは「自社独自のKPIをどう決めるか?」という点が難しいのですが、ここをしっかり算出しKPIを定めることでゴール達成が早くなります。
また、「各SNSからどのような設計でコンバージョンを獲得するか?」といった導線設計も戦略のひとつです。
11. SNSマーケティングの注意点
SNSマーケティングでは「炎上の予防策」を運用前に考え、スタッフで共有しておく必要があります。
【炎上の予防策】
予防策①社内でのダブルチェック体制を検討する
予防策②企業として触れない方がよい話題を心しておく
予防策③時勢に配慮する
【予防策①】社内でのダブルチェック体制を検討する
投稿内容が適切かどうかは担当者ひとりでは気付けないこともあるでしょう。ダブルチェック体制にすることにより、不適切な投稿を未然に防げます。
【予防策②】企業として触れない方がよい話題を心しておく
たとえば、政治・宗教・経済格差・スポーツ・災害に関することなど、人によって立場や思想が異なる話題の投稿は避けましょう。
また、考え方に多様性がある事柄についての偏りがある意見や情報の投稿は控えたほうがよいでしょう。
【予防策③】時勢に配慮する
地震や台風といった災害やテロが起こった日の投稿には注意が必要です。ニュースや最近話題になっていること、世の中の流れなどに敏感になって、できるだけ幅広い可能性を投稿前に考えましょう。
上記の「炎上の予防策」は、SNSの運用マニュアルに掲載しておきましょう。
12. まとめ
最後に「SNSマーケティングの基礎知識」についてまとめます。
SNSマーケティングのメリットとデメリットは次の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
①リアルタイムで情報伝達ができる ②顧客との関係性を築ける ③費用がほとんどかからない ④ターゲット以外の顧客層にリーチできる ⑤短期集中で成果を得ることも可能 | ①注意しないと炎上することも ②発信者にリテラシーが必要 ③常にONでいる必要がある |
SNSマーケティングで期待できる効果は
「認知度拡大」「ブランディング」「ロイヤリティ向上」の3つです。
SNSマーケティングの手法は全部で5つです。
- SNSアカウント運用
- SNS広告
- インフルエンサーマーケティング
- ソーシャルリスニング
- SNSキャンペーン
SNSマーケティングの重要ポイントと注意点は・・・
【重要ポイント】 1. 自社に最適なSNSを選定する 2. 導入するSNSの特性を十分理解する 3. SNSにマッチした良いコンテンツを発信 4. SNSマーケティング戦略を立てる |
【注意点】 炎上の予防対策をしておくこと! ①社内でのダブルチェック体制 ②企業として触れない方がよい話題を心得る ③時勢に配慮する |
「SNSマーケティングを導入したいが、どのSNSを選ぶべきかわからない」「SNS運用の効果を感じられない」といったお悩みを抱えている方は、ぜひ1度弊社までご相談ください。
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