今回は、SNSマーケティング初心者の方に向けて、企業のSNS運用について徹底解説いたします。
この記事でわかること
- SNS運用の基本(特性、得られる効果、全体像)
- 自社にマッチするSNSの選び方
- SNS運用の最大のコツ、注意点
企業のSNS運用のよくあるお悩みと、その解決策もご紹介していますので、ぜひご活用ください。
ではさっそく、解説していきます!
1. SNS運用とは?
SNS運用とは、企業の公式SNSアカウントを取得し、企業や商品についての投稿や、情報のシェア、顧客とのコミュニケーションといった活動を日々実施することを指します。
企業のイメージアップや、商品やサービスの認知拡大、ファン獲得、ブランディングを図るマーケティング手法で、大手企業から中小企業、個人事業主に至るまで、多くの人がSNSを活用しています。
SNS運用の業務内容は、日々の投稿に加え、ユーザーのコメントやDMへの返信、データ分析、写真や動画、文章といったコンテンツの企画・準備など、多くの業務があります。
SNSマーケティングとの違い
「SNS運用」は「SNSマーケティング」の一部です。
SNSマーケティングとは、SNSを活用したマーケティング手法全体を指し、5つの手法があります。
- SNSアカウント運用
- SNS広告運用
- インフルエンサーマーケティング
- ソーシャルリスニング
- SNSキャンペーン
Webサイトや書籍、マーケターによっては、「SNSアカウント運用」=「SNSマーケティング」ととらえて、言葉を使用しているケースも多いですが、厳密にいうと、「SNSマーケティングの中に、SNSアカウント運用という手法がある」というのが正解です。
SNS運用を始める前に、SNSマーケティング全体像を把握しておくのはおすすめです。SNSマーケティング基礎知識や、5つの手法については下記記事が参考になります。
SNS広告運用との違い
「SNSアカウント運用」と「SNS広告運用」を混同してしまっている方も多いですが、この2つには明確な違いがあります。
SNSアカウント運用は、前述の通り、投稿による情報発信や、顧客と双方向のコミュニケーションなどを行うのに対して、
SNS広告運用は、自社のターゲットのSNS画面に「広告」を配信し、潜在顧客の認知獲得や、ECサイトやWebサイトへの流入を図ります。
広告を見て欲しい人をしっかりターゲティングでき、認知獲得の効果が高いのがSNS広告の強みです。
企業によっては、SNSアカウント運用だけを行っているケースもありますし、SNSアカウント運用とSNS広告運用を組み合わせて、認知拡大に力を入れるケースもあります。
2. 企業のSNS投稿が重要な理由
なぜ企業のSNS投稿は重要視されているのでしょうか?
その理由は、企業のSNS投稿や、その投稿に反応したユーザーの「いいね!」や投稿、口コミが「購買行動」に影響を与えるためです。
下記のグラフは、企業の投稿による態度変容のアンケート結果をまとめたものです。
上記アンケートの調査によると、
「ブランドへの親しみ・好感をもった」 ・・・80%以上
「ブランド/製品に興味をもった」 ・・・80%以上
「ブランド/製品への理解が深まった」 ・・・70%以上
「ブランド/製品を思い出しやすくなった」 ・・・70%以上
「製品を購入・来店・利用した」 ・・・70%
「製品を購入・来店・利用頻度が高まった」・・・60%以上
……といった結果になっており、企業の投稿に触れたユーザーは、ポジティブな気持ちになったり、購入や来店をしたりと、行動に変化が生じていることがわかります。
企業の公式SNSアカウントで情報発信をコツコツ続ける |
↓↓↓
いいね数やフォロワー数、口コミ、拡散などが徐々に増えていく |
↓↓↓
ユーザーによる良質な口コミが、企業や商品への前向きな変化につながる |
↓↓↓
気持ちの変化により、商品の購入・来店・利用につながっていく |
つまり、企業のSNS投稿は、ゆくゆくは、ユーザーの具体的アクションにつなげられる、ということです。
別の言い方をすると、企業によるSNS投稿は、未来のお客さまやファン、現在の顧客との関係性を継続したり深めていく活動ともいえるでしょう。
こういった理由から、企業のSNS運用は重要視されているんですね。
3. 企業がSNS運用をすると何がいいの?得られる効果とは?
企業アカウントの運用で得られる効果は、ひとことでいうと「認知拡大」です。これは、SNSが認知獲得媒体であることが起因しています。
あなたの企業がSNSを運用し、情報発信やユーザーとの円滑なコミュニケーションを続けることで、より多くの人に、企業や商材の存在を知ってもらえます。
また、SNSは企業ブログやWebサイト、ECサイトへの導線として活用することも可能です。
SNS運用により、あなたの企業・商品を「認知」して「フォロワー」や「ファン」となった方の中には、日々の投稿を継続して見ることで、企業・商品に「興味・関心」を持つ方が出てくるはずです。
SNSは投稿に加え、プロフィール欄にもWebサイトやECサイト、ブログなどのURLを掲載できるため、外部コンテンツへの導線にもできます。
下記記事では、SNSをWebサイトへの誘導に活用する方法を解説していますのでご参考ください。
4. SNS運用の特性
SNSアカウント運用の特性を知っておくと、実際の運用時に役立ちますのでご紹介いたします。
SNS上では直接商品を売りづらい
正直なところ、企業がSNS運用をしたい最大の理由は、「売り上げUPにつなげたい」からですよね。そして、フォロワー数が増えれば、購買も自然と増えるのではないか?と考えますよね。
しかし、残念ながら、フォロワー数が増えても、企業のSNS投稿が「即購買」につながるケースは少ないのです。
理由は2つあります。
1つめは、SNS上では商品やサービスの頻繁な宣伝が好まれないためです。
2つめは、SNS上では「認知」の獲得はできても、「信頼」の獲得はなかなかできないためです。知っていることと信頼していることは別物、ということです。
信頼関係が浅いと、商品は売れません。
もちろん、第2章で解説した通り、企業のSNS投稿が、ゆくゆくはユーザーの具体的なアクションにつながることは確かですが、実際に買ってもらって利益を出すには、いくつかのステップが必要ということです。
SNS運用を購買につなげたいなら、フォロワーやファンとの距離を縮め、信頼を獲得する必要があります。
そのためには、最初に「SNS運用の全体像」を把握しておくことが不可欠です。ではさっそく、次章でSNS運用の全体像をご説明します。
5. 最初に知っておくべき、SNS運用の全体像
最終的にマネタイズにつなげるには?
SNS運用をマネタイズにつなげる、つまり、最終的に商品を買ってもらうための全体像は、次の3ステップです。
- 継続的な情報発信
- 接点づくり
- セールス
◎まずは、日々の情報発信が基本となる
◎継続的に投稿を続けると「認知」が広まり、いいねやフォロワー数もコツコツ増やしていく
◎接点づくりにも様々あるが、最も一般的なのは「リスト獲得」
◎SNSであなたの企業・商品を「認知」し、さらに「興味・関心」を持った人に向けて、メルマガ登録やLINE登録などの働きかけをしていく
◎実際にメルマガやLINEに登録をしてくれた人は、商品に「興味・関心」がある人なので、発信できる情報はSNS投稿と変わってくる
◎ユーザーによっては、くわしい商品情報や、新商品の情報、セミナーの案内などを発信できる状態に
◎最初は、お試し価格や初回限定、あるいは無料体験のように、ユーザーが買いやすいものからセールスしていく
この3ステップを覚えておくと、SNS運用を最終的に収益につなげられます。
6. 中小企業のSNS運用の始め方
ここではSNS運用の始め方を5つのステップで解説していきます。
【STEP①】SNS運用の「目的」を明確にする
【STEP②】情報を届けたい人を決める
【STEP③】運用するSNSを選ぶ
【STEP④】運用ポリシーを決め、運用体制を整える
【STEP⑤】運用計画を立て、コンテンツを作成。運用スタート!
【STEP①】何のためにやるの?SNS運用の「目的」を明確にしよう
最初に、「何のためにSNS運用を行うのか?」「どういった状態が成果が出ている状態といえるのか?」を明らかにしましょう。
企業のSNS運用をしていると、どうしてもフォロワー数やいいね数を増やすことに気持ちが向いてしまいがちですが、ここで重要なのは、SNS運用そのものが目的にならないよう注意することです。
企業のSNS運用の目的(ゴール設定)の代表的なものとして、次のような目標が挙げられます。
◎認知獲得(潜在顧客の認知獲得)
◎ファンの育成(好意度の向上、知名度の向上)
◎購入意欲、来店意欲の向上
◎関係性強化
【STEP②】誰に向けての発信なのか?情報を届けたい人を決めよう
次は、「情報を届けたい人は誰なのか?」「顧客は誰なのか?」を明らかにします。
なぜ、こういったターゲット設定が必要かというと、投稿する「コンテンツの方向性」が定まるためです。
逆をいえば、「誰に届けたいのか?」が曖昧だと、方向性が不明確なので、日々の投稿やファンとのコミュニケーションに統一感がなくなってしまいます。
ターゲットを決める際には、ターゲットをさらに深掘りして顧客像を明らかにできるペルソナ設定がおすすめです。
ペルソナとは、自社商材にとって、最も重要で象徴的な顧客像のことです。
年齢・性別・職業・居住地だけでなく、趣味や行動パターン、SNSをどう活用しているかなど、実在する人物であるかのように細かに設定していきます。
【STEP③】運用するSNSを選ぼう
顧客像が定まったら、SNSの選定をします。
運用するSNSを決める際の指標になるのは、前のステップで決めた「目的」と「ペルソナ」です。
また、各SNSでユーザー層や特徴が異なるため、商材やペルソナにフィットするSNS選びが大切になります。
各SNSについて、くわしくは本記事の「7.どのSNSを選ぶべき?自社にマッチした「SNS選定」をしよう」にて解説しています。
【STEP④】運用ポリシーを決め、運用体制を整えよう
利用するSNSが決まったら、そのSNSの運用ポリシーや運用マニュアルを作成しておきます。
マニュアルやポリシーを最初に決めておくと、予期しない事態が生じた時でも、SNS担当者が不在であっても、マニュアルに沿って適切な対処が可能となります。
【運用マニュアル・項目例】
・投稿頻度
・投稿実施時間
・投稿原稿の作成フロー(たとえば、原稿作成は○○さんで最終承認は△△さんといった形)
・写真投稿方法(JPEG・PINGといった画像形式など)
・動画投稿方法
また、専任担当者の選定や、SNS運用のチーム化などを行い、SNSの運用体制も整えておきましょう。
加えて、SNS運用をスタートする前に、「炎上の予防策」も決めておくことをおすすめします。
SNSマーケティングは集客に有益な手法であるものの、炎上リスクがともなう手法でもあります。具体的な予防策については、下記記事の「11. SNSマーケティングの注意点」をご参考ください。
【STEP⑤】運用計画を立て、コンテンツを作成。運用スタート!
SNSはリアルタイムな発信や瞬発力が重要となる媒体ですが、企業がSNS運用をする時には、同時に「戦略的な運用」も大切になってきます。
なぜなら、ある程度計画を立て安定的に進めないと、成果が得られにくく、効率も悪くなるためです。
毎月社内ミーティングを実施し、次のような内容を協議できるとよいでしょう。
- 前月の振り返り
- KPIの進捗確認
- 翌月の投稿内容の検討
- PDCAをどう回すか
実際にコンテンツを作成する際には、「平常時に発信する内容」と「特定時に発信する内容」をそれぞれ考慮し、内容を考えていきます。
特定時の発信内容とは、たとえば、新商品リリース、季節のイベントなどです。
新商品・新サービスのリリース時には、発売日から逆算して、コンテンツ(文章、写真、動画など)の企画を行い、作成しておく必要がありますし、季節のイベント時には、商材をかけ合わせたコンテンツを準備し、タイミングよく発信すると新たな認知を獲得するきっかけになります。
コンテンツを準備したら、運用を開始してください。
7. どのSNSを選ぶべき?自社にマッチした「SNS選定」をしよう
自社にマッチしたSNSを選定するには、各SNSのユーザー層や特徴を知っておく必要があります。
ユーザー層 | 特徴 | |
---|---|---|
メインユーザーは30〜40代 アクティブユーザーは40代が多い | ・ビジネスシーンでの利用が多い ・実名での登録&利用 ・炎上が少なめ | |
Imstagram | 10〜30代の女性が多い | ・画像や動画、イラストでの訴求に特化 ・ハッシュタグを利用した投稿や検索 |
メインユーザーは20代 | ・情報拡散力が強い ・リアルタイム性がある ・短いテキストでの投稿が基本 | |
LINE | 幅広い年齢層で利用 | ・国内で利用者数が最も多い ・60代以上も多く利用している ・1対1のコミュニケーションが可能 |
YouTube | メインユーザーは10〜30代だが 50代まで幅広く試聴されている | ・動画コンテンツ ・顧客育成にも活用できる |
TikTok | メインユーザーは10〜20代 | ・若年層に人気の動画SNS ・初心者も動画編集が容易にできる機能 |
各SNSをくわしく見ていきましょう。
7-1. Facebook
世界でアクティブユーザーが最も多いのがFacebookです。海外展開を検討している企業、BtoB企業は運用をおすすめします。
実名性なので、オフラインでもつながりがある人との関係性が反映される傾向があり、信頼構築に向いています。
他のSNSに比較すると、エンゲージメント率も高い傾向があります。ただし、拡散力は低めです。
7-2. Imstagram
視覚的な訴求がメインのため、写真や動画にした時にインパクトがある商材に向いています。たとえば、ファッション、コスメ、料理、飲食、ライフスタイルに関連するBtoC向けの商品やサービスは、運用をおすすめします。
エンゲージメント率は高い傾向にあり、拡散力は中くらいです。ハッシュタグからの流入が見込めるため、ハッシュタグの活用が流入アップのカギとなります。
Imstagramのハッシュタグの選び方は、後ほどの章「9-3. ハッシュタグ(#)の選び方がわからない」にて解説していますのでご参考ください。
7-3. Twitter
他のSNSと大きく異なる点は、140文字の短いテキストでのコミュニケーションがメイン(画像や動画も投稿可能)で、リアルタイム性がある点です。「今」起きていることが投稿され、話題にもなりやすいです。共通の趣味や嗜好でつながる傾向があり、リアルで会ったことのないユーザーとの交流も盛んに行われます。
エンゲージメント率は比較的低いですが、拡散力はかなり強いです。
7-4. LINE
他のSNSでは投稿が多くの人の目に触れるのに対し、LINEは1対1のコミュニケーションが可能なSNSなので、顧客段階に応じたセールスや、顧客育成に向いています。飲食店やヘアサロンのようなエリアに密着したサービスや、顧客との関係性を1対1で構築したい企業におすすめです。
利用者数の年齢層の幅が最も広く、普段SNSを活用しない人でも家族や友人とのコミュニケーション手段として使っているケースが多いです。
エンゲージメント率は比較的高く、拡散力は低いです。
7-5. YouTube
テレビ代わりにYouTubeを試聴するユーザーも多く、幅広い世代が利用しているSNSです。企業や商材の魅力が伝わりやすく、業界の知識を発信したり、導入事例を紹介したり、製品の使い方の手順を解説したりと様々な活用法があります。BtoB、BtoC企業ともにおすすめです。
公式YouTubeチャンネルを開設し、コツコツ動画を配信する中小企業も増えており、エンゲージメント率、拡散力はともに中くらいです。
YouTubeを活用した成功事例は、下記記事の「6. 動画マーケティングの活用事例(成功事例)」でご覧いただけます。
7-6. TikTok
短い尺の動画が主流のSNSで、TikTokのユーザーの半数以上は10〜20代の若年層です。若年層向けの商品やサービスを展開している企業は、運用をおすすめします。簡単に動画編集ができるシステムが特徴で、動画編集の経験がない人でも活用可能です。
また、YouTubeで配信した動画を流用し、短く編集してTikTokで運用する方法もあります。エンゲージメント率は中くらいで、拡散力は強いです。
8. 中小企業のSNS運用の最大のコツ
中小企業の場合、SNS担当は自分1人だけというケースも少なくありません。人手や時間が足りない場合でも、次の2つを意識してSNS運用を意識すると、成果を得られやすいです。
「機能的価値」と「情緒的価値」のバランスを意識する
マーケティングやブランディングには、「機能的価値」「情緒的価値」という言葉が存在します。
機能的価値とは、商品やサービスの機能・品質の側面から顧客に提供できる価値です。たとえば、「便利」「使いやすい」「軽量」といったものです。
対して、情緒的価値とは、商品やサービスを利用した際に、顧客の感情面に訴えかける付加価値のことで、たとえば、「かっこいい」「嬉しい」「モチベーションが上がる」などの感情です。
この2つの価値をSNS運用に落とし込むと、次のようになります。
【SNS投稿で意識すべき2つの価値】
「機能的価値」 | 「情緒的価値」 | |
---|---|---|
投稿内容 | 有益性のあるもの (知識の提供) | 人間性が感じられるもの (親しみやすさ) |
具体的には? | お役立ち情報 お悩み解決 専門的な情報 など | 励まされるツイート 癒される写真 おもしろい動画 など |
コンテンツ例 | ・「●●を活用した夏バテ予防法」 ・「□□で3分レシピ!」 | ・自社商材にユーモアを織り交ぜた投稿 ・リアルタイムな話題にホッとする写真を合わせた投稿 |
この2つの価値のバランスが、SNS発信においては重要です。
有益情報を発信しないとユーザーは集まりにくいのですが、とはいえ、有益情報を意識しすぎると、投稿が固くなってしまいがちです。
親しみやすい投稿や、感情を揺さぶる投稿は、「いいね」や「フォロワー」を増やせる傾向がありますが、こういった感情面に訴えるコンテンツだけだと、購買への導線になりにくい(つまり、CVにつながらない)のです。
「機能的価値」と「情緒的価値」のバランスのとれたSNS運用は、すぐにできるものではなく、むずかしいのですが、この2つの価値を意識するのとしないのとでは、投稿内容は確実に変わります。
ぜひ、このコツをおさえてSNS投稿を続けてみてください。
9. 企業のSNS運用でよくあるお悩みと、その解決策
9-1. 何を書いたら良いかわからない
自社の商材に関連する事柄で、ユーザーの役に立つ内容を、ユーザーに喜んでもらえるような「気配り」や「工夫」をして発信できると良いでしょう。
「親しみ」を持ってもらえるような投稿も意識していけるとベストです。
SNSでは、たとえばTwitterであれば、ユーザーは自分のタイムラインをお気に入りの情報や自分の好きな世界観の投稿で埋めたいと思っています。
こういったことを考慮し、SNS投稿では、商品やサービスの宣伝がメインにならないように注意が必要です。
「ユーザーが喜ぶ投稿」をするためには、事前に決めておいたペルソナが役立ちます。
前章でご紹介した「8.中小企業のSNS運用の最大のコツ」もぜひ参考にしてください。
9-2. 「いいね!」も「フォロワー」も全然増えない
いいねやフォロワーを増やしたい場合、より多くのユーザーに投稿を見てもらう必要があります。
一般的な方法は、「①自社資産の活用」「②SNS広告の配信」「③キャンペーンの活用」の3つです。
【SNSのいいねやフォロワーを増やす方法】
方法 | 具体策 |
---|---|
①自社資産の活用 | ●名刺、封筒、手提げ紙袋、広報誌などにQRコードを印字 ●Webサイト、メルマガなどに公式アカウント掲載 |
②SNS広告の配信 | ●自社や商品を知らないユーザーに認知を広めるのに最適 ●投稿のリーチ数を増やすための広告や、ファンを増やすための広告など様々な種類がある |
③キャンペーンの活用 | ●主にプレゼントキャンペーンを指す ●拡散効果が高く、フォロワー数も増やせる (例)フォロー&RTで抽選3名様に宿泊券プレゼント |
おすすめは、地道な方法ではありますが①と②です。
キャンペーンの活用は、認知拡大と割り切るのであれば、有効な手法ですが、将来的に自社商品の購入につながる顧客は、実際には多くありません。
たしかに認知は広められますし、フォロワーも大きく増やせるものの、増えたフォロワーはプレゼント目的なので、キャンペーン終了後にフォローを外すユーザーも多いのです。その点は覚えておきましょう。
SNS広告が認知を広めるのに最適な理由は、ターゲティングの精度が高いためです。SNS広告については、下記記事でくわしく解説していますのでご参考ください。
9-3. ハッシュタグ(#)の選び方がわからない
ハッシュタグは「検索する人の目線」で選びましょう。つまり、投稿を届けたい顧客層(ペルソナ)の目線です。
ユーザーが検索しているハッシュタグと、企業が投稿に付けたハッシュタグが一致すれば、投稿が見られやすくなり、いいねやシェアといったエンゲージメントにつながる確率が高まります。
また、画像や動画を投稿する場合、その画像・動画に関連するハッシュタグを選ぶことが大切です。
ここでは、Instagramのハッシュタグの例をあげます。
下記はSNSマーケティングの専門エージェンシーの株式会社コムニコさんがまとめた、Instagramハッシュタグを「テーマ別」に示したものです。
小テーマであるほど「具体的」で投稿数は「少なく」、大テーマであるほど「抽象的」で投稿数は「多い」のが特徴です。
Instagramでは、投稿数の多い「大テーマ」のハッシュタグを付けることが原則ですが、加えて、「中テーマ」と「小テーマ」のハッシュタグもバランスよく付けると、ユーザーに見つけてもらいやすくなります。
9-4. 複数のSNSの使い分けがわからない
企業のSNS運用で、複数のSNSを同時に運用している企業は多いですよね。
使い分けのポイントは、「各SNSの特性に合わせた投稿」です。
たとえば、あなたの企業が、Facebook、Twitter、Instagramを運用しているとしたら、「新サービスのリリース」の投稿をするにしても、SNSごとに適したコンテンツの内容は変わってきます。
【例・新サービスのリリースを複数のSNSで発信する場合】
◎Facebook→ビジネスシーンでの利用が多い
→→→「サービス開発に至った理由や裏話」も盛り込めると良い
◎Twitter→リアルタイム性と拡散力が強い
→→→「サービス利用のメリットだけでなくベネフィット※」を意識する
※メリットとは、商品やサービスの特長や利点のことで、ベネフィットとは、商品の特長や利点によって、顧客が得られる良いことや嬉しいことです。
◎Instagram→ビジュアル重視
→→→「サービスを利用する人をインパクトのある写真・動画」で伝える
このように、同じ情報であっても、SNSの特性や、ユーザー層にコンテンツのトーンを合わせるのがポイントです。
各SNSの特性は本記事の「7.どのSNSを選ぶべき?自社にマッチした「SNS選定」をしよう」が参考にしてみてください。
また、複数のSNSを運用する中小企業の成功事例を参考にしたい方は、下記記事の「9. 【中小企業】SNSマーケティングの成功事例」もご活用ください。
10. 【注意点】中小企業がSNS運用を始める前に確認すべきこと
SNS運用より優先すべき施策がないか?
企業によっては、SNS運用よりも「他の施策」を優先すべきケースがあります。
SNSアカウント運用は、売上に直結する施策ではないため、自社の経営状況によっては、「売上に直結する施策」を先に実施すべきです。
売上に直結する施策とは、「今すぐ客」つまり、購入や契約に近いところにいるユーザーにアプローチする施策で、リスティング広告とLP(ランディングページ)を組み合わせる方法が一般的です。
とはいえ、「できればSNS運用もやりたい」「認知獲得も同時に進めたい」……という担当者は多いかと思います。
理想は、SNS運用で認知獲得を広めつつ、並行して、リスティング広告とLPで「今すぐ客」も集めることですが、施策を増やすと人材も時間も必要となります。
よって、売上を上げることが優先される場合には、リスティング広告とLPで「今すぐ客」の獲得を先に実施しましょう。
リスティング広告、LPについては下記の記事が役立ちます。
11. SNS運用代行への相談を検討した方が良いケース
企業のリソースによっては、SNS運用を外注した方がメリットが多い場合もあります。
11-1. 運用リソースが圧倒的に不足している
SNS投稿は、一見簡単そうに見えますが、実際には工数が多く、コンテンツ作成やデータ分析もあるため、一定のリソース(人材・時間)の確保が不可欠となります。
また、企業のSNS運用は、ある程度計画を立てて進めた方が成果が得られやすいので、定期的な社内会議と戦略も必要です。
外注を利用したほうが、結果的にコスト削減になるケースも多いので、リソース不足の企業は、1度相談を検討してみるのもよいでしょう。
11-2. ノウハウが全くない
SNS運用担当者が、プライベートでもSNS活用をした経験がない場合や、SNSのリテラシーがない場合には、企業アカウントの炎上リスクが高まるため、最初は、SNS運用代行を利用できるとよいでしょう。
SNS運用代行を活用すると、代行会社が日々発信する投稿を確認して、運用方法を学べることに加え、定期的にレポート報告がありますので、疑問点や不明点は質問するなどしてノウハウの習得もできます。
11-3. 自社でできるのか外注すべきなのか判断できない
SNS運用担当者に、ある程度SNSの知識があり、プライベートでもSNS活用をした経験がある場合には、まずは社内で運用してみましょう。
運用を開始する前に社内ルールを決め、炎上予防策も策定し運用をスタートすることをおすすめします。
逆に、SNS未経験者の場合には、炎上リスクがあり、企業のイメージダウンにつながる恐れがありますので、別の適任者を立てられないかを1度検討しましょう。
適任者がいない場合には、SNS運用代行への相談を検討し、最初だけでもプロの力を借りられると良いかと思います。
11-4. とりあえず運用してみたが上手くいっていない
プライベートで日常的にSNSを活用している方であっても、個人と企業では違いがあるため、企業のSNS運用では成果が得られないケースもあります。
成果を得るためには、たまったデータを活用してSNSマーケティング戦略を立てることをおすすめします。
SNSマーケティング戦略には様々な方法があり、たとえば、SNSアカウント運用だけでなく、「SNS広告」「インフルエンサーの起用」「キャンペーン」といった他のSNS施策を組み合わせたり、SNS運用のKGI(最終ゴール)によってはKPI(中間指標)の設定を見直したりと、企業によって異なります。
SNSアカウント運用では、特に、KPIの設定がポイントとなるため、KPI設定を見直すことで成果が得られることも多いです。
SNSマーケティングのKGI・KPI設定は、書籍やセミナーでも学ぶことが可能です。
ただし、自社独自のKPIを設定するのは、SNSマーケティング初心者の方にはむずかしい場合があるため、SNS運用を支援している企業に、戦略立案から相談してみるのもよいでしょう。
12. まとめ
最後に、「SNS運用」についてまとめます。
SNS運用とは、企業や商材についての情報発信や、顧客とのコミュニケーションなどをSNS上で行い、企業アカウントを運用することです。
商品やサービスの認知拡大、企業のイメージアップ、ファン獲得、ブランディングなどを図ることができます。
SNS運用をする際には、自社に合ったSNS選びが大切です。
「SNS運用を始めたいが、どのSNSを選ぶべきかわからない」「SNSにくわしい人が社内にいない」「戦略的にSNSを活用したい」といったお悩みを抱えている方は、ぜひ1度弊社までご相談ください。