中小企業のWeb担当者の方のなかには
「Webサイトは作成してからが肝心というけれど何をすればいいのか」
「Webサイトの運用とは具体的にどんなことをするの?」
「Webサイトの運用で得られる効果とは?」
といった疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
ここでは、初心者の方に向けてWebサイトの運用や活用についての基礎知識を解説していきます。
読み終えていただければ、Webサイトの運用とその効果、Webサイトの活用法、ポイントや注意点などがわかり、具体的に何をすべきかが明確になります。
では、さっそく解説していきます!
1. Webサイトの運用とは?
「Webサイト(ホームページ)の運用」には、かなり幅広い業務がありますが、ここではWeb担当の初心者という方がおさえておくべき主要な業務内容を紹介します。
掲載情報の更新・追加
Webサイトに掲載されている会社の「基本情報」を最新のものに更新したり、新規で追加したりといった作業は、シンプルでありながら非常に重要な業務です。
会社の基本情報とは、たとえば下記のようなものをさします。
- 所在地の住所(本社の移転、あるいは事業所が増えた場合)
- 取締役・その他役員の名前の変更
- 従業員数、保持資格、免許など
- 新商品や新サービスのリリース情報
- 採用サイトや採用ページの情報 など
こういった基本情報は、新規顧客や見込み顧客だけでなく、既存顧客や就職を検討している求職者も確認しています。
基本情報の更新・追加は、ついつい忘れてしまいがちですが、定期的に更新する仕組みを作り、Webサイトでは常に最新情報を届けられるようにしましょう。
ブログ・ダウンロード資料などのコンテンツの更新
企業ブログや見込み顧客向けのダウンロード資料(eBookやホワイトペーパー)も、定期的な更新が欠かせません。特に、企業ブログはどうしても更新が滞ってしまいがちなので、「体制」を整えるところから着手してください。
ブログ更新の体制を整えるとは、具体的にいうと
- 管理体制を決める
- 担当者を決める
- 更新ペースを決める
- 必要に応じて外注する
といったことが挙げられます。
また、eBookやホワイトペーパーといった見込み顧客向けのダウンロード資料は、1度作成するとしばらく更新をしないケースがほとんどです。しかし、この資料の善し悪しで見込み顧客を獲得できるか否かが決まります。
重要なコンテンツであることを忘れず、「ユーザーに十分価値のあるコンテンツか?」という視点で定期的に内容の見直しを行いましょう。
ホワイトペーパーについては、下記の記事でくわしく解説しています。
お問い合わせへの対応
お問い合わせ内容への対応には、2通りあります。
- Web担当者の方が対応できるもの
- 他の部署に相談・確認が必要なもの
スムーズに対応するために、「こういうお問い合わせにはこう対応する」といったマニュアルを、あらかじめ社内で決めておきましょう。
トラブルへの対応
Webサイトのトラブルで最も多いのが、URLにアクセスしても「Webサイトが見れない」という現象です。原因として考えられるのは、サーバーの契約が切れて更新されなかった、サーバーが何らかの理由でダウンしてしまった、などがあります。
Webサイトに、数時間〜1日アクセスできないことによる機会損失は、中小企業にとって大きな痛手です。会社によっては、10件以上の引き合いを逃すことにもなります。
Webサイトのトラブルは必ず起こるものととらえ、「トラブルが起こった時にどうするか」を考えておくことはとても大切です。
Googleアナリティクスなどによるアクセス解析
Webサイトの運用に欠かせないのが、アクセス解析です。
Googleアナリティクスといったツールによるアクセス解析では
- Webサイトにどれくらいアクセスされたか?
- Webサイトにどういった経路で流入したか?
- お問い合わせや資料請求といったコンバージョン(CV)の達成率は?
といったことが分析でき、Webサイトの現状把握と改善に役立てることができます。
Webサイトのアクセス解析の基本を知りたい方には、下記の記事が役立ちます。
集客業務
今まで紹介してきた「基本情報の更新」や「お問い合わせ対応」「トラブル対応」といったことは、Webサイトの運用のもっとも基本となる業務です。こういった基本業務の体制が整ったら、集客の観点からWebサイトの運用を行っていきます。
Webサイトの運用による集客とは、具体的には、SEO対策の実施やSNSとの連携、インターネット広告などが挙げられます。
初心者の方は、Webサイトの運用による集客を始める前に、まずは「Web集客」の基礎知識をおさえておくとよいでしょう。Web集客については下記の記事がおすすめです。
2. Webサイトの運用(Webサイトの活用)で得られる効果とは
中小企業庁の資料によると、自社のWebサイト(ホームページ)とSNSの活用によって得られる効果は下記のように報告されています。
【自社のホームページ、SNSの活用の効果】
上記の調査結果によると、中小企業の自社Webサイトの開発・運用・活用による効果で、高い割合を占める上位3つは
- 営業力・販売力の強化
- 売上の拡大
- 顧客満足度の向上・新規顧客・新市場開拓
となっています。
つまり、中小企業にとってWebサイトの運用は「営業力」を強力にサポートし、「売上」の拡大と「顧客満足度」の向上に効果を発揮する、非常に重要な業務であることがわかります。
3. Webサイトの運用が大切な理由
基本情報やブログを更新する、アクセス解析をするといったWebサイトの運用が大切な理由は下記のとおりです。
・訪問者は最新情報を探している
・Webサイトはユーザーとの関係を構築し継続させるために必要
・Webサイトは解析と改善を続け育てていくもの
◎ 訪問者は最新情報を探している
たとえば、あなたがお客さまの企業情報を知るためにWebサイトを訪問したとします。しかし、Webサイトは更新されておらず古い情報がそのままになっていたとしたら、どこで最新情報を得れば良いでしょうか?
……このように近年では、インターネットで調べものをすることが一般的です。よって、Webサイトで最新情報を届けることを怠っているとしたら、非常に問題のある状況です。更新がされておらず必要な情報が得られないWebサイトは、顧客からの信用を失ってしまうということを覚えておきましょう。
◎ Webサイトはユーザーとの関係を構築し継続させるために必要
Webサイトは膨大な情報をユーザーへ届けることができます。よって、「このWebサイトにアクセスすれば、いつも欲しい情報がある」とユーザーに認知してもらうことができれば、繰り返しユーザーが訪問してくれるようになり、信頼関係を築く場として活用することができます。ユーザーが探している情報を常に適切に提示することで、良い関係を継続させることが可能となります。
◎ Webサイトは解析と改善を続け育てていくもの
Webサイトは常に解析と改善を繰り返し行い、よりよりWebサイトへ成長させていく必要があります。Webサイトの現状を確認せず放置されている状態では、Webサイトは成長しません。アクセス解析ツールを使用することで、訪問したユーザーの動きを把握できWebサイトの改善点が見えてきます。
4. Webサイトの運用で効果を得るには?Webサイトの活用法
Webサイトの運用で効果を得るには
「現状把握」⇒「目標設定」⇒「施策計画」⇒「施策の実施」⇒「効果測定」⇒「課題把握」⇒「運用の改善」 |
という一連の業務を繰り返し行う必要があります。Webサイトの活用の基本となる、この手法を解説します。
- 現状把握
目標を設定するためには、まずWebサイトの現状を把握する必要があります。現状を的確に把握し、Webサイトの課題を洗い出しましょう。 - 目標設定
Webサイトの目的を明確にし、Webサイトの目標を明らかにします。つまりゴール設定(KGI)です。また、ゴールに向かうための指標となる小さなゴール(KPI)もあわせて設定しましょう。 - 施策計画
最終的なゴール(KGI)と、そのゴールに向かう指標の小さなゴール(KPI)が決まったら、小さなゴール(KPI)を達成するための施策を計画します。 - 施策の実施
KPI達成に向けた施策を実施します。 - 効果測定
実施した施策の結果を測定し、施策は効果があったかを分析します。 - 課題把握
効果測定で得られた結果の分析により、あらたな課題が得られますので、課題を的確に把握しましょう。 - 運用の改善
目標の見直しやあらたな施策計画を行い、実行します。
上記の一連の業務の中で、最も重要なのはWebサイト「目的の設定」です。中小企業のWebサイトの目的や役割については、下記の記事が参考になります。
5. Webサイトを運用する際のポイント
本章では、Webサイトを運用する際のポイントとして、基本的な下記の4つを取り上げます。
- 社内への目的の周知と、協力体制の構築
- 担当者を決める
- 社内でコミュニケーションを積極的にとる
- 社内の情報共有にグループウェアや社内SNSを活用する
◎ 社内への目的の周知と、協力体制の構築
ただ協力を求めるのではなく、なぜ自社にとってWebサイトが重要であるのかを社内に周知させることは非常に大切です。
今まで更新を怠っていた企業では、Webサイトの重要性を理解していない可能性があります。Webサイトはなぜ重要なのか、Webサイトは自社にとってはどのような位置付けなのか、などをしっかりと社内に周知し理解しあうことが大切です。
全社的に周知することで協力体制ができ、Web担当者をバックアップする姿勢が生まれていきます。
また、中小企業ではWeb担当者だけが苦労をしているケースが少なくありません。Webサイトは企業の顔であることを忘れずに共有しましょう。企業が抱えているWebサイトの問題を、社員それぞれが自分ごととしてとらえられるようになる必要があります。
◎ 担当者を決める
Webサイトの更新業務は他業務と兼務をする場合が非常に多いため、後に回されがちです。更新頻度が低下することを防ぐためにも、可能であれば担当者を複数人作ることをおすすめします。
「Webサイトの更新業務」といっても、第1章で紹介したように作業は多岐に渡るため、チームで割り振り効率的に行っていくことが理想です。
Webサイトの目標達成のスケジュールを確認し、それに合わせてWebサイトが最適な状況になるよう計画していきます。
また、アクセス解析で得られる「ユーザー属性」は大切なマーケティング情報となりますので、社内で情報共有をするようにしましょう。
◎ 社内でコミュニケーションを積極的にとる
Webサイトをより良いものへと成長させることは、一見Web担当者内の狭い範囲で行う業務に見えますが、社内のたくさんの協力があってこそ成功するといえます。確かに更新業務や解析業務はWeb担当者が主に行う業務ではありますが、特にコンテンツ制作においては他のメンバーの協力なしに、行うことはできません。コンテンツ制作のために、社内メンバーや営業が担当しているお客様に事例取材などを行う場合もあります。
このようにWeb担当者が普段触れることができないような話は、現場の皆さんが多く持っています。これらを引き出し、外へと発信していくためには社内で密にコミュニケーションをとっていくことが欠かせません。
◎ 社内の情報共有にグループウェアや社内SNSを活用する
社内で密にコミュニケーションをとり、情報共有や情報発信を徹底するには、「グループウェア」や「社内SNS」の活用がおすすめです。
グループウェアとは、企業内のコンピュータシステムを利用した情報共有ができるソフトウェアです。 グループウェアを使用することで資料などの情報共有を実現できます。 また、グループウェアには掲示板機能などもあり、 全員に伝えたい情報をスムーズに共有することも可能です。
社内SNSとは、チャットワークやスラックといった企業内で使用できるアプリケーションです。社内SNSを使用することで、プロジェクトメンバーと円滑なコミュニケーションができます。 グループウェアとの違いは、チャットを使用できるため、 手軽にメンバーとの会話が可能になることです。 タスク管理も同じグループでできますので、休暇を取っていたメンバーも容易に追いつくことができます。
6. Webサイトを運用する際の注意点
Webサイトの運用による集客は、中小企業にとって非常に重要です。
しかし、自社がとるべき集客施策の策定や、優先順位の決定は、初心者のWeb担当者の方にはハードルが高いケースがあります。
また、企業の経営が行き詰まっており、できるだけ短期で成果をあげる必要がある場合には、コンサルタントに相談し、自社に適切な施策を見極めてもらうことも有効な手段といえます。
自社の課題を的確に把握し、今必要な施策を見つけることは、実は高度な作業です。企業や商品への思い入れを一旦手放し、客観的な第三者の視点でとらえることが必須になってきます。
7. まとめ
最後に、本記事で解説してきた「Webサイトの運用と効果」についてまとめます。
Webサイトの運用とは、主に下記の業務の遂行をさします。
- 掲載情報の更新・追加
- ブログ・ダウンロード資料などのコンテンツの更新
- お問い合わせへの対応
- トラブルへの対応
- Googleアナリティクスなどによるアクセス解析 ◎集客業務
中小企業がWebサイトの運用(Webサイトの活用)で得られる効果とは
- 営業力・販売力の強化
- 売上の拡大
- 顧客満足度の向上・新規顧客・新市場開拓
などです。
Webサイトの運用で効果を得る(Webサイトを活用する)には、下記のような一連の業務を繰り返し行う必要があります。
「現状把握」⇒「目標設定」⇒「施策計画」⇒「施策の実施」⇒「効果測定」⇒「課題把握」⇒「運用の改善」 |
Webサイトを運用する際のポイントは
- 社内への目的の周知と、協力体制の構築
- 担当者を決める
- 社内でコミュニケーションを積極的にとる
- 社内の情報共有にグループウェアや社内SNSを活用する
上記の4つが基礎的なポイントです。
Webサイトを運用する際の注意点は
◎ Web担当初心者の方 ⇒ 集客施策の策定や、優先順位の決定は判断が難しいケースがある ◎ 経営が行き詰まっている ⇒ できるだけ短期で成果を出す必要がある。コンサルタントに相談し、適切な施策を見極めてもらうのは有効。 |
自社の課題を的確に把握し、今必要な施策を見つけるためには、客観的な第三者の視点でとらえることが必要となってきます。
以上が本記事のまとめです。
「Webサイトの運用の目的設定がむずかしい」「Webサイトの現状分析がうまくできない……」といったお悩みを抱えている場合には、ぜひ1度弊社までご相談ください。