Webサイトのアクセス解析をし始めると、さまざまな専門用語が出てきます。
アクセス解析の重要な指標に「直帰率」と「離脱率」というものがあり、ユーザーの行動を正しく分析するためには、この2つの指標の違いを知っておくことが大切になってきます。
なぜなら、Webサイトを改善するには、「直帰率」と「離脱率」を正しくとらえ、読み取っていくことが欠かせないからです。
本記事では、初心者のWeb担当者の方に向けて、「直帰率」と「離脱率」をわかりやすく解説していきます。
読み終えていただければ、直帰率と離脱率の違いや、計算式、Googleアナリティクスのどこを見ればよいか?などの基礎的なことがわかるようになり、すぐに実践していただけます。
では、さっそく解説していきます!
1. 直帰率と離脱率の違い
最初に、信頼できる情報としてGoogleの公式ページからの説明を紹介します。
離脱率と直帰率の違い」の概要では下記のように書かれています。
【離脱率と直帰率の違い】
1. 離脱率は、個々のページのすべてのページビューで、そのページがセッションの最後のページになった割合を示します。
2. 直帰率は、そのページから始まったすべてのセッションで、そのページがセッションに存在する唯一のページだった割合を示します。
3. ページの直帰率は、そのページで始まったセッションだけが計算の対象になります。
離脱率と直帰率の違い
上記の説明は初心者の方にはわかりにくいため、わかりやすく解説していきましょう。
直帰率とは
Webサイトの訪問者(ユーザー)が、サイト内の1ページだけを見て、他のページは見ないままサイトを離れてしまうことを「直帰」といいます。
よって、「直帰率」とは、ユーザーがWebサイトに訪問した最初のページだけを見て、他ページには遷移せずにサイトを離脱してしまった割合をさします。
直帰率に密接に関係する指標に「セッション」というものがあります。
Webマーケティングにおいては、Webサイトの訪問者(ユーザー)が、サイトに訪問することを「セッション」といいます。「セッション」は、「1セッション(1回訪問)」「2セッション(2回訪問)」というように回数で数えられます。
下記の①〜③を行うことで「1セッション」とカウントされます。
① ユーザーがWebサイトにアクセスし見始める ↓ ② Webサイトを1ページ、またはそれ以上見る ↓ ③ Webサイトを離れる |
アクセス解析をし始めると、「セッション」という言葉が頻出するため、覚えておきましょう。
離脱率とは
まず、Webサイトにおける「離脱」についておさえておきましょう。
「離脱」とは、主に下記の行動をさします。
【離脱とは?】
・Webページを閉じてサイトを離れる
(ブラウザを閉じてサイトを離れる)
・ブラウザの「戻る」矢印を押して、Webサイトを離れる
・Webサイト内のリンクをクリックして外部サイトに行く
(Webサイトの外に出る)
また、Googleアナリティクスでは、次の2つも離脱に含まれます。
「Webページを開いたまま何もせず30分を超える」
「Webサイトを閲覧中に午前0時になる」
上記のように、ユーザーは必ずどこかのページを最後にして、Webサイトを離脱します。「離脱率」とは、最後の閲覧ページとなった割合をさします。
たとえば、あなたの顧客Aが企業サイトの「TOPページ」に訪れたとします。
その後、顧客Aは
「TOPページ」⇒「会社概要ページ」⇒「導入事例ページ」⇒「商品紹介ページ」
上記の4ページを見てサイトを離れたとします。この場合、顧客Aは「商品紹介ページ」で離脱したことになり、「商品紹介ページ」で離脱した割合が離脱率です。
離脱率の注意点として、離脱率には「直帰率が含まれる」ことがあります。
上記で紹介した例でいうと、顧客Aは企業サイトを数ページ見てから「商品紹介ページ」で離脱しました。しかし、他のユーザーである顧客Bは「商品紹介ページ」だけを見て直帰したとします。
顧客Aと顧客Bは、見たページ数は異なりますが、Webサイトを離れた最後のページは「商品紹介ページ」です。このように、離脱率には直帰率が含まれることになりますので、覚えておいてください。
2. 直帰率と離脱率の計算式
直帰率と離脱率は、Googleアナリティクスで確認することができますが、基礎知識として算出方法を知っておきましょう。
直帰率と離脱率は下記の計算式で求められます。
【直帰率】
直帰率を出したいページをXとする時
直帰率(%)=【Xの直帰数】÷【Xから閲覧が始まる全セッション数】
【離脱率】
離脱率を出したいページをYとする時
離脱率(%)=【Yの離脱回数】÷【Yの全ページビュー数】
直帰率と離脱率の算出方法を具体例で解説していきましょう。
あなたの会社のWebサイトにある3つのページを
ページA:トップページ
ページB:会社概要ページ
ページC:商品紹介ページ
とします。そして、Webサイトを訪問した5人のユーザーは、下記のように行動したとします。
ユーザー1:ページ B > ページ A > ページ C > 離脱 ユーザー2:ページ B > 離脱 ユーザー3:ページ A > ページ C > ページ B > 離脱 ユーザー4:ページ C > 離脱 ユーザー5:ページ B > ページ C > ページ A > 離脱 |
この場合、直帰率と離脱率は次のようになります。
【直帰率】 A トップページ:0% B 会社概要ページ:33% C 商品紹介ページ: 100% 【離脱率】 A トップページ:33% B 会社概要ページ:50% C 商品紹介ページ:50% |
上記6つのパーセンテージの計算式をひとつひとつ説明していきますね。
【直帰率】
- トップページ(ページA)の直帰率0%の計算式は?
トップページで始まったセッションが1回ありますが、そのユーザーは続けて他のページも閲覧しており、直帰していないため、トップページの直帰率は算出されません。
- 会社概要ページ(ページB)の直帰率33%の計算式は?
会社概要ページで始まったセッションが3回ありますが、その中で直帰となったのは1回だけです。よって、計算式は「1÷3=0.33……」となり、会社概要ページの直帰率は33%と算出できます。
- 商品紹介ページ(ページC)の直帰率100%の計算式は?
商品紹介ページから始まるセッションは1回のみで、その唯一のセッションで直帰が発生したため、直帰率は100%と算出できます。
また、上記の例で挙げたのはページ単位の直帰率でしたが、サイト全体の直帰率を出したい時は、【サイト全体の直帰数】÷【サイト全体のセッション数】という計算式になります。
【離脱率】
- トップページ(ページA)の離脱率33%の計算式は?
トップページのセッション(訪問)は3回で、トップページから離脱したセッションは1回なので、計算式は「1÷3=0.33……」となり、トップページの離脱率は33%と算出できます。
- 会社概要ページ(ページB)の離脱率50%の計算式は?
会社概要ページのセッションは4回で、会社概要ページから離脱したセッションは2回なので、計算式は「2÷4=0.5」となり、会社概要ページの離脱率は50%と算出できます。
- 商品紹介ページ(ページC)の離脱率50%の計算式は?
商品紹介ページのセッションは4回で、商品紹介ページから離脱したセッションは2回なので、計算式は「2÷4=0.5」となり、商品紹介ページの離脱率も50%と算出できます。
3. 直帰率と離脱率の目安・平均値
- 直帰率の目安・平均値
直帰率の平均値は、Webサイトやページの特性、チャネル(流入経路)によって異なります。CXLという海外のWebマーケティングのサイトによると、たとえば、ECサイトは20〜50%、BtoBサイトは25〜55%、辞書・ブログ・ポータルサイトは65〜90%となっています。
参照:CXL(Bounce Rate Benchmarks: What’s a Good Bounce Rate, Anyway?)
- 離脱率の目安・平均値
離脱率に目安や平均値はありません。なぜかというと、Webサイトを訪問したユーザーは必ずどこかのページで離脱するため、離脱率が高くなるページと離脱率が低くなるページそれぞれが存在するためです。
離脱率が高くなるページと離脱率が低くなるページは、WebサイトやECサイトの種類や特性によって異なるため、目安や平均値は公表されていません。
4. 直帰・離脱が起こる原因とは?
直帰や離脱が起こる原因を知っておくことで、直帰や離脱が起こりにくいWebサイトを作る参考になります。ここでは代表的なものを紹介します。
ページ表示に時間がかかる
Webサイトのページの読み込みの速度が遅く、表示されるまで待ちきれずに、そのサイトを離れてしまった経験は誰しもあると思います。
Googleは、主にモバイル検索のページの表示速度において、表示速度が遅いと、検索エンジンからの評価が低くなるアルゴリズムを2019年から採用しています。
このことからもわかるように、ページの表示速度は、ユーザーがWebサイトを快適に利用するために非常に重要です。ページの表示速度は、直帰や離脱に直結することを覚えておきましょう。
モバイルファーストになっていない
あなたの会社のWebサイトは、スマートフォンでも快適に閲覧できる「モバイルファースト」になっていますか? まだモバイルファーストにできていない場合には、ユーザーの直帰・離脱が多くなっている恐れがあります。
スマホ・タブレットで閲覧してもページのデザインが崩れないデザインを、レスポンシブデザインといいます。レスポンシブデザインに対応していないWebサイトは、スマホ・タブレットで閲覧するとデザインが崩れてしまったり、PCのデザインのまま表示されるため自分で拡大・縮小をしなければいけなかったりと、ユーザーが使いにくい状態になっているため、直帰や離脱を引き起こします。
ナビゲーションに不備がある
Webサイト内のリンク先を間違っていたり、ページが表示できなかったりと、ナビゲーションの不備は直帰や離脱の原因になります。
また、Webサイト内の誤字や脱字にも注意が必要です。ユーザーを困惑させてしまい、Webサイト内をきちんとナビゲーションできていないことになります。
回遊率が低い
Webサイトにおける回遊とは、ユーザーがWebサイト内を1ページだけでなく、複数のページを閲覧することです。Webサイト内を回遊できるように構築していないと、当然ながらユーザーの直帰・離脱は高まります。
回遊率を高めるには、Webサイトの全ページに内部リンクを設置することです。内部リンクとは、サイト内の他のページへのリンクを設置することをさします。つまり、ユーザーが1ページだけ見て離脱してしまわないように、ページ内に、他ページへの導線を作るということです。
ユーザーが必要とする情報を提供できていない
Webページにユーザーが必要する情報がない、または見つけにくい場所にあり、ユーザーが見つけられない場合にはユーザーのニーズを満たすことができないため、直帰や離脱につながります。
5. 直帰率と離脱率を改善する方法
直帰率・離脱率を改善する(直帰率・離脱率を下げる)には、まずは前章で述べた5つの「直帰・離脱が起こる原因」を解消しましょう。
◎ ページ表示に時間がかかる⇒ページの読み込み時間を早める
◎ モバイルファーストになっていない⇒モバイルファースト対応にする
◎ ナビゲーションに不備がある⇒リンク切れや誤字・脱字を解消する
◎ 回遊率が低い⇒内部リンクを設置し回遊率を高める
◎ ユーザーが必要とする情報を提供できていない⇒ユーザーのニーズを満たすコンテンツにする
また、上記以外にも、次の方法も直帰率・離脱率を改善するには有効です。
◎リンク内容(リンクのタイトルや導入文など)と、そのリンク先のファーストビュー※を一致させる
※ファーストビューとは、ユーザーがWebページを開いた時に最初に目に入る内容です
◎サイト全体のデザインやフォントの大きさなどを、ストレスなく見ることができるものに整える
◎ お問い合わせ画面のお客様フォームの入力項目を減らすなど入力をしやすくする
6. 直帰率と離脱率の確認方法(Googleアナリティクス)
アクセス解析ツールのGoogleアナリティクスでは、直帰率と離脱率を簡単に確認できます。
本章では、① 従来のGoogle Analytics(GA)と、② 2019年に発表された新しい規格Google Analytics 4 プロパティ(GA4)の、計2通りの確認方法をそれぞれ解説します。
① 従来のGoogle Analytics(GA)
◎ 直帰率
【サイト全体の直帰率を確認する方法】
「オーディエンス」⇒「概要」⇒サマリーを「直帰率」に変更する
【各ページの直帰率を確認する方法】
「行動」⇒「サイトコンテンツ」⇒「すべてのページ」で、直帰率が確認できます
◎ 離脱率
【サイト全体の離脱率を確認する方法】
「行動」⇒「概要」⇒サマリー内で離脱率を確認できます
【各ページの離脱率を確認する方法】
「行動」⇒「サイトコンテンツ」⇒「すべてのページ」で、離脱率が確認できます
② Google Analytics 4 プロパティ(GA4)
近年リリースされたGA4では、「直帰率」「離脱率」という指標がありません。よって、「集客」サマリーや、GA4であらたに追加された「エンゲージメント」という指標などから、各コンテンツのパフォーマンスなどを分析していくかたちになります。
GA4で「直帰率」「離脱率」という指標がなくなった理由として、ページ単位では、適切なユーザー行動の理解がむずかしい状況になってきていることが挙げられます。
従来のGAには、「直帰率」「平均閲覧ページ数」「ページの滞在時間」のように、ページを軸とした指標が多く存在します。今までは、このようにページごとにデータを見ることは有効でした。
しかし、2021年の時点では、たとえば
「動画のように1ページで完結するもの」
「動画の場合、滞在時間は動画の長さにより異なる」
「相互作用が可能なページの切り替えがないWebサイトやゲーム」
「ページの概念がないアプリ」
……といった状況が増えています。このような状況だと、ページ単位での適切なユーザー行動の分析はむずかしいため、GA4ではページを軸とした指標に変化が加えられたということになります。
本章ではアクセス解析ツールについて触れましたが、アクセス解析のより基礎的な知識をつけたい方には下記の記事が参考になります。
7. まとめ
最後に、本記事で解説してきた「直帰率と離脱率の違い」についてまとめます。
【直帰率とは?】 Webサイトの全セッション(訪問)のうち、最初の1ページだけしか見られなかった割合のこと |
【離脱率とは?】 すべてのページビューで、そのページがセッション(訪問)の最後のページになった割合のこと |
直帰率と離脱率の計算式は下記の通りです。
◎ 直帰率 直帰率を出したいページをXとする時 【Xの直帰数】÷【Xから閲覧が始まる全セッション数】 サイト全体の直帰率を出したい時 【サイト全体の直帰数】÷【サイト全体のセッション数】 |
◎ 離脱率 離脱率を出したいページをYとする時 離脱率(%)= 【Yの離脱回数】÷【Yの全ページビュー数】 |
直帰・離脱が起こる原因には下記のようなものが挙げられます。
- ページ表示に時間がかかる
- モバイルファーストになっていない
- ナビゲーションに不備がある
- 回遊率が低い
- ユーザーが必要とする情報を提供できていない
直帰率・離脱率を改善するためには、下記に取り組みましょう。
- ページの読み込み時間を早める
- モバイルファースト対応にする
- リンク切れや誤字・脱字を解消する
- 内部リンクを設置し回遊率を高める
- ユーザーのニーズを満たすコンテンツにする
- リンク内容とリンク先のファーストビューを一致させる
- サイト全体のデザインやフォントの大きさなどを整える
- お問い合わせ画面のお客様フォームの簡素化
Googleアナリティクスで直帰率と離脱率を確認する方法は下記の通りです。
① 従来のGoogle Analytics(GA) ◎ 直帰率 【サイト全体の直帰率を確認する方法】 「オーディエンス」⇒「概要」⇒サマリーを「直帰率」に変更 【各ページの直帰率を確認する方法】 「行動」⇒「サイトコンテンツ」⇒「すべてのページ」で確認可能 ◎ 離脱率 【サイト全体の離脱率を確認する方法】 「行動」⇒「概要」⇒サマリー内で確認可能 【各ページの離脱率を確認する方法】 「行動」⇒「サイトコンテンツ」⇒「すべてのページ」で確認可能 |
② Google Analytics 4 プロパティ(GA4) ・GA4では、「直帰率」「離脱率」という指標がない ・「集客」サマリーや、「エンゲージメント」という指標などから、各コンテンツのパフォーマンスなどを分析していく |
以上が、本記事のまとめです。
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