ステップメールとは何?メルマガとの違いや作成手順を解説

ステップメールは、無料資料ダウンロードなどのアクションを起こした顧客に対して、あらかじめ作成しておいたメールをスケジュールに沿って段階的に配信する仕組みのことを言います。

今回は、ステップメールを導入するとどのようなメリットがあるのか、メルマガとの違い、作成手順などについて解説していきます。

目次

1. ステップメールとは

ステップメールとは、特定のアクション(資料請求・商品購入・会員登録など)を起こした顧客に対してシナリオ通りに順番に配信する仕組みのことで、メールの内容や配信回数、配信スケジュールは自由に設定することができます。

【ステップメールの例】

  • 1通目(アクション直後):自社サイトで会員登録や資料請求してくれた顧客に対するお礼
  • 2通目(2日後):メイン商品と関連する資料や情報を配信
  • 3通目(7日後):関連するイベントやセミナーの案内

ステップメールを含む、メールマーケティングの基礎知識については下記の記事でくわしく説明しています。

2. ステップメールとメルマガの違い

ステップメールもメルマガも、「メールを通して顧客に有益な情報を伝える」という点は共通しています。

では、この2つのメールはどのような点が異なるのでしょうか。

ステップメールは、あらかじめ配信回数とメールの内容、配信スケジュールを決めておいて、「会員登録」「資料の無料ダウンロード」「商品購入」などのユーザーの行動を起点に配信がスタートする仕組みになっています。

特定のアクションを起こしたユーザー限定で、段階的にアプローチしていくのがステップメールです。

一方、メルマガはリストに含まれる購読者全員に対して同じ内容のメールを一斉配信するものです。

メールの内容は、新商品の紹介やイベント情報の案内、自社への理解度を高めてもらう目的のコラムなど様々で、配信を解除するまで継続的に情報が届くようになっています。

メルマガについては、下記の記事でくわしく説明しています。

3. ステップメールのメリット

配信する相手(ターゲット)を限定し、配信回数、配信内容をシナリオに沿って設定していくステップメールは、企業側にとってどのようなメリットになるのでしょうか。

ここでは、ステップメールを活用することで得られる3つのメリットについて解説します。

見込み客の増加

ステップメールでは、特定のアクションを起こしたユーザーが、どのような思考・行動をして商品購入に至るのかを想定してメールを作成します。

そのため、「ちょっと気になる」程度の興味関心だった見込み客であっても、段階的にメールを受け取ることで「購入してみようかな」と購買意欲が増してくることを期待できるのです。

BtoB分野の場合は特に、購買に至るまで時間を要する傾向にあり定期的にコミュニケーションをとっておくことが重要になるので、自動配信で徐々に購買意欲を高めることが可能なステップメールは有用であるといえます。

ブランド想起率のアップ

ステップメールを活用することは、ブランド想起率のアップにもつながります。

既述しているように、ステップメールではユーザーの心理に沿ってメールを作成し配信するため、基本的にユーザーが興味を持つであろう情報を伝え続けることになります。

例えば、人材採用に関する無料資料をダウンロードしたユーザーに対して、新人研修セミナーへの申し込み案内を送ったり、人材育成のノウハウについて軽く紹介し、有料購読を促すなど。

定期的に有益な情報を配信して接点を持つことで、ユーザーに親近感を抱いてもらい、自社ブランドの認知度向上に期待ができます。

ステップごとに分析・改善ができる

ステップメールでは、配信したステップごとに効果測定できるため、分析・改善がしやすいというメリットもあります。

例えば、「全部で5通あるステップメールのうち3通目だけクリック数が明らかに少ない」ということであれば、3通目に改善の余地があると考えられます。

このように、ステップメールでは段階ごとのデータを評価・分析して改善できるので、よりユーザーの心理に働きかける内容へとブラッシュアップしていくことが可能です。

4. ステップメールのデメリット

ステップメールには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、ここで解説するステップメールの3つのデメリットをチェックしておいてください。

メールアドレスの獲得にコストがかかる

そもそも、ステップメールを配信するためには、自社のサイトを訪問してくれるユーザーのメールアドレスを獲得する必要があります。

サイトの集客方法としては、広告配信やSEO対策が有効ですが、それぞれ時間的にもお金的にもコストがかかります。

また、サイトへの訪問者数が増えたとしても、メールアドレス獲得に至るまでの対策ができていないと期待通りの効果を得ることは難しいといえます。

メールアドレスの情報と引き換えに、資料を無料ダウンロードできるようにする、有料級のセミナー動画を観れるようにするなど、ユーザーが「情報を開示する価値がある」と思える有益なコンテンツの準備も必要です。

メール作成の難易度が高い

ステップメールには、メール作成の難易度が高いというデメリットもあります。

  • ユーザーにどのような行動をしてほしいのか(最終的なCVは何なのか)
  • どのようなアクションを起こしたユーザーに対して送るのか
  • どのような内容のメールを送るのか
  • 配信回数は何回にするのか
  • 配信するタイミングはいつにするのか

など、ステップメールはシナリオを設計することから始める必要があります。

また、ステップメール配信の起点になるアクションを起こしたユーザーが、どのような行動をして潜在的にどのような情報を求めているのか、といった点まで慎重に考えてメールを作成しなくてはいけません。

定期的に見直しが必要になる

定期的に見直しが必要な点も、ステップメールのデメリットといえるでしょう。

始める際に、シナリオを設計しメールを作成しても必ず成果につながるとは言い切れません。

ステップメールはユーザーがアクションを起こすまで配信されないので、受け取るタイミングによっては情報が古くなっている可能性も出てきます。

設定して配信を開始したら終わりではなく、ユーザーが求める情報を提供できているのか、定期的に見直し更新していくことが重要です。

ちなみに、ステップメールはユーザーの行動を起点に配信が始まるため、「期間限定イベント」や「セール情報」といったリアルタイムな情報を伝えるのには不向きといえます。

旬な情報はメルマガで伝えるなど、うまく使い分けましょう。

5. ステップメールの作成手順

ステップメールは、主に以下の手順で作成していきます。

手順
最終的なメールを送る目的(コンバージョン)を決める
手順
ターゲット選定とシナリオの作成
手順
メールの作成
手順
配信設定を行う
手順
結果の分析と検証

手順①最終的なメールを送る目的(コンバージョン)を決める

まずは、「なぜステップメールを配信するのか」という目的を明確にしましょう。

目的を曖昧にしたまま運用を始めてしまうと、ゴール地点が分からないため十分な効果を得られない可能性が高いです。

ステップメール運用の目的は大きく以下4つに分けることができるので、自社の目的(コンバージョン)をどこに設定するのか決めてから、次の手順へ進みましょう。

  • 新規顧客の獲得
  • 顧客育成
  • 販売フローの自動化
  • アップセル・クロスセルの提案

なお、いずれか1つではなく、「販売フローの自動化+アップセル・クロスセルも狙う」といったように組み合わせた目的になるケースもあると思います。

手順②ターゲット選定とシナリオの作成

配信する目的が決まったら、次に行うのはターゲット選定とシナリオの作成です。

手順①で決めた目的を達成するためには、どのようなユーザーをターゲットにすべきか検討しましょう。

目的達成に適したターゲットを選定出来たら、シナリオを作成していきます。

シナリオは、AIDMA(アイドマ)※などを用いたカスタマージャーニーマップを作成しておくと考えやすいです。
※AIDMAとは、消費者が購買に至るまでの行動プロセスを5段階に分けて考えるフレームワークのことです。

  1. 認知
  2. 興味、関心
  3. 情報の収集
  4. 比較検討
  5. 購入

どのタイミングでどのような情報を提供すれば次のプロセスへ進んでくれるのか、ターゲットの気持ちになってシナリオを作成しましょう。

手順③メールの作成

シナリオが出来たら、いよいよメールの作成に取り掛かります。

1つのメールに複数のテーマを盛り込んでしまうと要点が伝わりにくいため、「関係構築」「宣伝」「クロージング」など1通のメールに対して1テーマを目安にしてください。

顧客が自分宛に送られたメールだと認識できるように、本文内に「○○様」と名前を入れるのもおすすめです。

相手にとって有益な情報を分かりやすく伝えられているか、言葉選び、画像やリンクの挿入位置は適切かという点も意識して文章を作成していきましょう。

ちなみに、ステップメールやメルマガは画像挿入などが容易で、開封率が確認できるHTMLメールで送信するのが一般的です。

手順④配信設定を行う

メールの本文・件名の作成が完了したら、手順②で作成したシナリオに沿って配信設定を行います。

メール配信システムなどを利用して、配信するターゲットや配信する間隔などの条件を設定しましょう。

設定完了後は必ずテスト配信を行ってください。

  • 設定したスケジュール通りに配信されるか
  • 誤字脱字、不適切な表記はないか
  • レイアウトが崩れていないか
  • リンク先の確認
  • PC、スマホ(iOS、Android)で正常に受信できるか

テスト配信を行う際は、主に上記の点をしっかり確認しておきましょう。

受信するデバイスによってデザインが崩れていることもあるので、可能な場合は複数端末でテストしておくことをおすすめします。

手順⑤結果の分析と検証

ステップメールの運用は、メルマガと同じくPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回し続けることが重要です。

主に以下の指標を注視して、効果検証をしていきましょう。

  • 開封率
  • クリック率
  • 配信停止率
  • 配信曜日
  • 配信時間

期待通りの効果が出ているか各ステップのメールを検証し、良い点・不足している点を洗い出してブラッシュアップしていきましょう。

なお、ステップメールは運用開始直後すぐに結果が出るとは限りません。

データを集めるためにはある程度期間を設ける必要があるので、中長期的な視点をもって運用に取り組みましょう。

6. ステップメールを効果的に活用するために意識したいこと

ここでは、ステップメールをより効果的に活用するために意識したい点を解説していきます。

ステップメールが適しているビジネス、あまり向いていないビジネスについてもお伝えしていくので、ぜひ参考にしてみてください。

活用方法を考える

ステップメールが向いているビジネス ステップメールが不向きなビジネス
・商品/サービスが高額
・継続的に利用するサービス
・BtoBのビジネス
・商品/サービスが低単価かつ買い切り型

ステップメールは、購入に至るまで時間がかかる高額な商品や、継続的に利用してもらいたい商品(サービス)を提供する際に効果的です。

顧客と定期的に接点を持ち続けることで、自社に対する信頼度と認知度を向上させ、最終的に購入へとつながる可能性が高まるのです。

また、ステップメールは特定のアクションを起こしたユーザーに対して送るものなので、関連する商品を購入してもらうクロス・マーケティングにも有効です。

おすすめ商品のクロスセルを狙う場合は、その商品の魅力や購入するメリットをきちんと理解・納得できる内容になっているかどうかを意識してチェックしておきましょう。

セールスライティングのノウハウを活用する

ステップメールの効果を高めるには、セールスライティングのノウハウを活用することもおすすめです。

とはいえ、セールスライティングのスキルはすぐに身につくものではないので、まずは以下の要素をメールの件名や見出し、リード文に含めることを意識してみると良いでしょう。

  • ユーザーにとって新しい情報
  • ユーザーが得られるメリット
  • 手軽に利用できるという内容
  • 著名人や専門家など権威性のある人物の名前

これらは、ユーザーを惹きつけるポイントになります。

「自社が伝えたい情報」よりも「ユーザーが知りたい情報」に意識を向けて考えることができれば、自然と上記のポイントをおさえた文章を書けるようになるはずです。

前のSTEPに戻れるシナリオを考える

ステップメールは、1通1通ステップを踏んでもらうことを想定し配信するものですが、メールを受け取ったユーザーが順番に読み進めているとは限りません

興味を惹く内容だけ読んで、前回のメールは数秒程度目を通して終わっているというケースも少なくないでしょう。

もし、メールの内容が前回配信されたメールからの続きで、前回分も読まないと理解できないものだった場合、知りたい情報をすぐに知ることができない(ニーズを満たしていない)不親切なメールだと認識されてしまうかもしれません。

ユーザーが好きなタイミングでひとつ前のステップに戻れるように、前回のメールが閲覧できるURL※を載せておくのがおすすめです。
※バックナンバー公開をするなど、閲覧できる状態にしておく必要があります

MAツールを活用する

ステップメールを運用するのであれば、MAツールを活用しましょう。

MA(マーケティングオートメーション)とは、MAツール(ITソフト)を使用し、マーケティング業務のサポートや自動化をすることでマーケティングの効率化と生産性の向上を実現させる仕組みです。

MAツールを活用するメリットは、主に以下の3点。

  1. 見込み客リストの一元管理
  2. 一斉メール配信で多くの見込み客と繋がることが可能
  3. 成約の可能性が高い顧客を可視化できる

成約数を増やすためには、より多くの商談機会を得ることが重要です。

そのような際、MAツールには成約の確度が高いユーザーをスコアリングできる機能も備わっているので、戦略を立ててアプローチしていくことが可能になります。

MA(マーケティングオートメーション)については、下記の記事でくわしく説明しています。

7. まとめ

ステップメールは、見込み客の潜在的な心理に働きかけて成約につなげることが可能な仕組みです。

ステップメールの特性を活かすためには、ターゲットユーザーの行動や心理を予想して、適切なタイミングで適切な内容のメールを送ることが重要なポイントになってきます。

リスト管理や配信設定などの作業を自動化・効率化できるMAツールを活用しつつ、効果的なステップメールの運用を目指しましょう。

◎ステップメールとメルマガの違い

  • 特定のアクションを起こしたユーザーに対して配信する
  • 各ユーザーの利用状況(ダウンロード・購入など)に合わせて個別に送信できる
  • 配信回数、配信するタイミング、文章はあらかじめ決めておく必要がある

◎ステップメールのメリット・デメリット

メリット デメリット
・見込み客の増加
・ブランド想起率のアップ
・ステップごとに分析
・改善ができる
・メールアドレスの獲得にコストがかかる
・メール作成の難易度が高い
・定期的に見直しが必要になる

◎ステップメールの作成手順

  1. 最終的なメールを送る目的(コンバージョン)を決める
  2. ターゲット選定とシナリオの作成
  3. メールの作成
  4. 配信設定を行う
  5. 結果の分析と検証
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