最近、ニュースやビジネスの現場で「ステーブルコイン」という言葉を聞く機会が増えていませんか? 2025年10月に、日本初の円建てステーブルコイン「JPYC」が登場し、国内でもいよいよ本格的な普及に向けた動きが始まっています。サンロフトのグループ会社では、全国初となるJPYCのリアルタイム決済を実現するイベントを開催。今回は、その事例を紹介しながら、ステーブルコインの特徴や可能性をわかりやすく解説します。
日本初の円建てステーブルコイン「JPYC」が登場。なぜ今、話題なのか?
2025年10月、日本で初めて日本円と連動するステーブルコイン「JPYC」が発行されました。JPYCが注目されている背景には、「送金の速さ」「手数料の安さ」「海外送金の簡単さ」といった特徴があります。これらは、従来のQRコード決済(○○Payなど)では実現が難しかった点です。発行後わずか1カ月で総発行額は2億円を突破し、国内でも急速に関心が広がりました。店舗でのキャッシュレス支払い、イベント会場での少額決済、ECサイトでの購入、企業での給与支払いなど、日常のさまざまな場面で活用される可能性が期待されています。
JPYCという名前だけを見ると少しむずかしそうに感じるかもしれませんが、実際にはスマホで気軽に使える“新しいキャッシュレス決済”です。
そもそもステーブルコインとは? 従来の暗号資産や○○Payとの違いは?
ステーブルコインとは、価格が安定(stable)したデジタル上の決済手段のことです。値動きが大きいビットコインなどの暗号資産とは異なり、円やドル、国債などの実際の資産と連動しているため、価格が大きく変動しません。日本円と連動するステーブルコインはこれまで国内になかったため、日本での普及は進んでいませんでしたが、海外ではすでに幅広く活用されています。
そして、ステーブルコインが従来のQRコード決済と大きく違う点は、ブロックチェーン技術が使われていることです。従来のQRコード決済は、「発行→残高管理→支払い」などの処理がすべて発行企業が管理するため、手数料は高く、審査にも時間がかかりました。一方、ステーブルコインは、ブロックチェーンという「みんなで記録を見守る仕組み」により、改ざんされにくい、海外送金をすばやくできる、手数料がほとんどかからない、企業が自社サービスに自由に組み込めるなど、多くの利点があります。
ビットコインなどの「暗号資産」との違い
| ステーブルコイン(例:JPYC) | 暗号資産(例:ビットコイン) | |
|---|---|---|
| 価値の安定性 | ほぼ一定 | 値動きが大きい |
| 裏付け資産 | 法定通貨や国債など | なし |
| 主な用途 | 決済・送金 | 投資 |
| 向いている場面 | 日常の支払い・企業の決済 | 投資・資産運用 |
○○Payなどの「QRコード決済」との違い
| ステーブルコイン(例:JPYC) | QRコード決済(例:○○Pay) | |
|---|---|---|
| 発行と管理 | 発行後は自由に利用できる | 発行会社がすべてを管理する |
| 利用範囲 | 世界中へ送金可能 | 加盟店でのみ利用 |
| 手数料 | 1円未満~と低コスト | 加盟店舗が一定の手数料を負担 |
| 拡張性 | 開発者が自由に組み込み可能 | サービス提供者が決める |
Nコレ京都で、全国初となる「JPYCリアルタイム決済」を実施!
JPYCを使ったリアルイベントでの決済として全国初の事例となったのが、サンロフトのグループ会社COLOR3(京都市)が主催したクリエイターイベント「Nコレ京都」です。NコレはAI・NFT・Web3・デザイン・デジタルアートなど、多彩な分野のクリエイターや企業が集う、西日本最大級のクリエイターイベント。11月1日・2日の開催で、会場ではクリエイターの作品やキッチンカーでの飲食など、幅広い決済をJPYCでスムーズに行える仕組みを導入しました。

2025年11月1日、2日に京都市で開催された「Nコレ京都」。多くのクリエイターが参加した
従来、出展者の多くは現金対応に頼らざるを得ませんでした。個人のクリエイターが決済サービスを導入するには、審査や契約手続きに時間がかかり、手数料も発生するため、イベントのような短期利用には向きません。そのため、クリエイター自身が売上管理や釣り銭対応、イベント後の入金作業まで行う必要があり、その負担が課題となっていました。
今回サンロフトグループでは、このようなイベントの課題を解決すべく、JPYCの発行から日も浅い段階でいち早く実証に取り組みました。JPYCは発行後の使い方に制限がないため、サンロフトグループの開発者が既存のアプリに決済機能をすばやく実装。すでにある「クリエイターのデジタル作品を保管する専用アプリ」に送金機能を追加し、来場者はアプリでQRコードを読み込むだけでスムーズかつ安全に決済できるようになりました。イベントでのJPYC決済利用件数は102件、のべ決済額152,495円を記録。出展者・来場者の双方にとって「楽でスムーズな決済体験」を実現しました。
- JPYCの決済機能を追加したNコレアプリ
- QRコードを読み込めば決済が完了する
まだ馴染みの薄いJPYCですが、今回のように“実際に使ってみる体験”を提供することで、その利便性を来場者にも実感していただけました。「むずかしそう」と感じられがちな技術ですが、実は身近な場面で役立つ存在です。今後、私たちの生活や企業の業務の中にも広がっていく可能性を秘めています。今回の取り組みは、ステーブルコインが日常の中でどのように活用できるのかを示す貴重な事例となりました。
JPYCが広がると、どんな未来が見えてくる?
JPYCは、これからのキャッシュレス決済の新しいカタチです。審査や手数料の負担が少なく、国境を越えて即時送金ができるため、個人だけでなく企業にとっても大きなメリットとなるでしょう。ステーブルコインのような新しいテクノロジーは、決済の課題を解決し、現場の人がもっと楽に、もっと楽しく働ける環境につながっていく可能性があります。現時点では、まだ利用する場面が少ないものの、すでに多くの企業がJPYCの普及に向けて動き出しました。こうした動きがさらに加速すると、日常の支払いから企業のバックオフィスまで、ステーブルコインの活用がより身近になっていくかもしれません。
サンロフト社長の声

代表取締役社長 中村雄
ステーブルコイン「JPYC」は、アプリやWebサービスに簡単に組み込めるため、開発者にとっても扱いやすい点が魅力です。既存のアプリに決済機能を追加するなど、新しいサービスの可能性を大きく広げます。今回、グループ会社COLOR3が主催した「Nコレ京都」で、全国初のJPYCリアルタイム決済を実現しました。現場での体験を通じて、ステーブルコインの利便性や将来性を多くの方に感じていただけたと思います。ステーブルコインの普及は、決済体験だけでなく、企業のバックオフィス業務の効率化など、多方面に影響を与える可能性を秘めています。サンロフトでも、その価値をより多くのお客様に届けられるよう、分かりやすく利用しやすい形での提供に取り組んでいきます。ステーブルコインに関する活用方法や導入のご相談があれば、ぜひお気軽にお声がけください。
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