「ノーコード・ローコード」とは、開発の専門知識がなくても簡易的なシステム化が実現できる、今話題の開発手法です。静岡県焼津市にある家具メーカーの老舗、FPKナカタケ㈱は、Microsoftのツールを使い、バックオフィス業務の効率化や製造現場の生産性向上を実現。そのノウハウを惜しみなく公開しています。
低コスト・短納期・わかりやすさで選んだ「ローコード開発プラットフォーム」
住宅設備や商業施設の家具製造を手掛けるFPKナカタケ㈱。品質やコスト、デザイン、安全性など、様々な要望に応じながら商品づくりに取り組んでいます。「アプローチの異なるマーケットで得たノウハウを活かし、お客さまに納得いただける価格で商品を提供したい。そのためにも、まずは業務効率化を目指しDXを推進している」と中根社長は語ります。
DX推進のキーマンは、同社のグループ企業であるナカタケテック㈱の顧取締役。「既存システムでは自社の業務に柔軟に対応できず、逆に生産性の低下を招いていた。様々なツールを検討した結果、ローコード開発プラットフォーム『Microsoft Power Platform』を使い、低コスト・短納期で、現場スタッフがわかりやすいDXシステムの構築にチャレンジすることにした」と言います。
例えば、バックオフィス業務の勤怠管理では、出退勤記録はシステムで管理していたものの、残業や有給休暇は対応できず紙ベースで申請・承認し、システムに手入力せざるを得ない状況でした。それを既存のシステムと連携する業務アプリなどを開発し、一連の業務のデジタル化を実現。
また、製造現場では、商品の部材の発注ロットだけを管理していましたが、今回の取り組みを通じて、部材ごとの月間使用数量や適切発注数量を見える化。無駄な在庫の削減につながったそうです。
現場の声に応じて迅速な改善を繰り返す。あわせて、経営に必要なデータも収集する
顧取締役は、「柔軟で迅速な『アジャイル開発』を実践し、その都度現場の痛みを解消しながら、経営に必要なデータもきちんと収集できるしくみの構築を心掛けている」と話します。
また、「『Microsoft Power Platform』は、テンプレートを使えば、IT担当者でなくても、マウスで感覚的に数日で業務の自動化やアプリ開発ができるようになる。私が試作品をつくると、現場の社員が『こんなことができるんだ』と気づき、さらにどう改善したいか意見をくれる。他部署の改善を知ると、自部署の課題に照らしてさらなる改善の動きが活発になった。開発を学びたいと申し出る社員も登場した」とのこと。
「IT人材がいない」「予算がない」という障壁を越えて、DX推進の好循環を実現したFPKナカタケ。世界最先端の取り組みに今後も注目です。