多くの企業では、会社案内や公式Webサイトに沿革を掲載しています。会社の変遷を公開することは、社外に会社の存在を知らしめ、ビジネスや採用におけるマッチングにも効果的です。しかし、沿革は社員の帰属意識や会社への愛を深めるために活用することもできます。そこで、今回は沿革から「軌跡動画」を制作するサンロフトの取り組みを紹介しましょう。
会社のできごとをデジタルで記録
まず、サンロフトではMicrosoft365のExcelアプリで作成した表に、複数名で会社のできごとを随時記入しています。経営、事業、人事などのカテゴリーに区分し、内容によってサイトに掲載する情報と社内でのみ管理する情報とを整理。(図1)あわせて、画像も収集しておきます。
大きな動きだけでしたら年に一度の確認で充分ですが、日々の活動の中には記録しておくべきできごとが満載。時間が経つと忘れてしまうことが多いので、できるだけ多くの記録を残しておき、そこから重要なことをピックアップするほうが確かな沿革が残せます。
また、ただ記録するだけのルーチンは「重要だが緊急ではない仕事」のため、後回しにしがちです。そこで、毎月開催する全体ミーティングでニュースを紹介するルーチンを追加。これにより、月に1度はPowerPointで会社の動きを整理するようになりました。(図2)
軌跡動画を制作し、社内イベントで活用
こうして集めておいた沿革情報と写真を材料に、今年も経営方針発表会(通称:キックオフミーティング)で上映する動画を制作しました。Excelの表からできごとをピックアップし、画像と組み合わせ、BGMを添えることでストーリーが生まれます。設立当時のできごとは、ベテラン社員にとっては懐かしい思い出。若手社員にとっては新鮮な世界です。今回はオープニング動画として、約30年の会社の歴史を数分のダイジェストに仕上げました。
終身雇用は古いと言われる世の中。ひとつの職場で長く働き、その歴史を語り継ぐ人も少なくなってきているのかもしれません。しかし、その時々の会社のドラマを記録し、社員に動画で共有することにより、体験の一部を共有することができるのではないでしょうか。「こんな歴史があったんだな」。同じとき、同じ動画を見つめる社員の表情を見ていると、この取り組みが世代を超えて互いを承認しあう職場づくりにつながっているような気がしました。
サンロフト社員より
会社の軌跡動画制作に取り組み始めたきっかけは、2012年の20周年事業でした。以来、何か行事があるたびにリメイクを重ね、様々なバージョンの軌跡動画ができています。
様々なできごとから何を選ぶかによってストーリーが変わります。今年は時代とともに生まれる事業と変わっていく組織をテーマにしました。グループ会社2社の設立時の写真も探してもらい、追加しました。まさに「事実は小説よりも奇なり」。動画を観ると、泣いたり笑ったりしている日々が愛おしくなります。SNSに取り組む企業は写真や動画のコンテンツ資産が豊富だと思いますが、昔の素材も集めてデータ化しておけたらいいですね。