新入社員が入社式直後に退職し、手続きも代行業者に任せるという衝撃的なニュースを横目に、サンロフトでは新人4名の研修を企画・運営していた4月。そして、20日間の研修が終わり、各配属先でのOJTがスタートして1カ月が経とうとしています。そこで、今回はサンロフトの新人研修についてIT活用を中心にお話ししましょう。
学んでほしいこと・学びたいことを、職場のリアルとつなげる場
サンロフトでは毎年4月、入社式から経営方針発表会までの約3週間で新人研修を実施しています。総務人事部が企画し、経営理念、社内就業規則、個人情報保護のほか、日報SNSの活用やビジネスマナーなどをテーマに、講師は社員から選定。研修プランは、Microsoft 365のExcelで表にまとめて社内共有します。(図1)これにより、時間や場所の変更が生じても随時変更できるため、急な来客や仕事の都合で会議室や講師の調整が入るのも、リアルな職場を体感するきっかけになっています。
会社で生活するために必要な最低限の講座が終了した時点で、新人たちに「どんなことを学びたいか」を問いかけ、その内容もできるだけ消化できるように配慮します。今年は、「言葉遣い」「マナー」「スケジュール管理」の3つが挙げられました。どのテーマも当初の研修メニューに含まれており想定内。先輩たちが新人に学んでほしいと思っていることと、新人が仕事をする上で学びたいと思っていることは基本的には一致しています。
しかし、新人たちと話していくと、例えば言葉遣いであれば「直接会話する場合とメールの場合の違い、あるいは相手による使い分けをどうするか?」「マナーを心得ておくべき場面は、具体的にどんなときなのか?」「頼まれることが増えていったときのスケジュール管理でもたつかないようにするためにどうすればよいか?」などなど、仕事をするうえでの不安は次々と出てきます。大事なことは教えているつもりでも、職場の日常と研修をいかにつなげるかが重要だと改めて感じました。
「新人自身が考えて行動する小さな実践」の見守り時間を増やす
そこで、今年は「言葉遣い」「マナー」「スケジュール管理」の3つを重点要素とし、インプットした知識をアウトプットする実践機会を増やすことにしました。そのひとつが「グループチャット」の活用です。社内ではメールよりもチャットでの連絡が主流になりました。研修の場所や時間の変更連絡、グループワークの進捗確認など、タイムリーに応答するトレーニングを重ね、適切な判断、臨機応変な対応、相互理解と思いやりなどを実践に基づき話題にすることができました。(図2)
月に1度のフォローアップタイムを継続する
また、全体研修が終わり、各部門でのOJTに進んだあとも、学びを振り返る時間を確保することにしました。初回はゴールデンウィークに入る直前の5月2日に開催。研修のときと同じ雰囲気で集まることで、彼らにとってホッとする場所、時間になったようです。このときは、社内SNS日報システム「nanoty(ナノティ)」の記録を振り返りながら、「KPT」のフレームワークで整理して発表してもらいました。(図3)
それぞれが自身の研修期間を振り返り、その後、1週間ほどのOJT期間で実践できたこと、課題に感じていることを整理したことで、研修内容の落とし込みが深められました。さらに、同じタイミングでスタートした同期でも、それぞれの居場所で経験することは違ってきています。それを共有することで、他者の経験に学ぶこともできました。
新人が学ぶべきことは新人研修の期間だけでは終わらない。つくづくそう思いました。そして、受け入れる側の私たち先輩社員もまた、常に新人と共に学んでいく必要があります。この機会に社内のXYZの世代割合を数値化してみました。サンロフトでは、X世代が34%、Y世代が41%、Z世代は25%という結果でした。(図4)世代の割合の変化に応じて、会社も新たなステージに進んでいきます。新しい人材を受け入れながら、会社としての総合力を高めていくためには、仕事をする上で大切にしたいことと、それぞれの役割の共通認識を、全社的に学びあう時間が必要です。リスキリングがキーワードになっているいまこそ、組織としてのリスキリングも試みていきたいですね。
サンロフト社員より
私はX世代のひとりです。確かに世代による感覚の違いはあると思います。ただ、仕事をするためのチームとして大切だと感じることは、世代を超えて共通することも多く、幸せなことに私には、上の世代にも下の世代にもそれをわかちあえる存在がいます。私にはないものを持ち合わせている異世代を魅力的と捉え、活かしあってよりよい仕事の成果を目指している時間が、お互いに心地よく、充実した時間になるのではないでしょうか。勤続30年の時を経て、組織で働くことで学べること、体験できることの良さはそこにあると感じている今日この頃です。