「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」という言葉は、2018年に経済産業省が「DX推進ガイドライン」で定義したことを機に日本でも広まり、私たち企業人にとっては、日常的な会話に登場する言葉となりました。ただ、中小企業のDXの取り組みは、デジタル人材不足などを理由に遅れていると言われています。果たして、実態はどうなのでしょうか。今回は中小企業のDXについて考えてみました。(広報・マーケティング部 鈴木)
一歩踏み出すことで動き出している、企業のDXストーリー
2024年8月、静岡県藤枝市は地元企業のDX推進事例集を発行しました。国と藤枝市のIT導入補助金を活用してDXに取り組んでいる企業の協力を得て、補助金で導入したITツールとその効果、今後の展望などをまとめた冊子です。
>> 藤枝市Webサイトより「他社の先進事例から学ぶ、自社のDX~藤枝市DX事例集を発行しました~」
業務の効率化や法改正に伴う対応など、身近な課題に対してハードやソフトを導入することに始まった取り組みから新たな気づきが得られ、さらにその活動が発展していく各社のストーリーはどれも興味深いものです。
DXの定義を理解することよりも、いまできる実践を積み重ねる
「ICT活用」「デジタル化」に加え、「DX」という言葉が登場したことにより、「システム化されても意味がないと言われて、何だかわけがわからなくなっちゃったよ。」と嘆く声を聞いたことがありました。頭で理解してから取り組もうとすると、言葉に惑わされてしまうのかもしれません。
DXが意味することは、単なるデジタル化で終わらせず、その先にある変革だということは、すでに多くの方々が認識していることだと思います。また、すでに掲げられている経営理念や事業方針に基づき、目の前にある課題を解決しつづけることで、DXが意味する道を自然と歩んでいる企業も身近に数多くあるのだということを再認識しました。人材がいない、できていないということを意識するよりも、今いる仲間たちと、できること・できたことに目を向けていくことが大切だと感じます。
変革意識が芽生えた人にとっては、テクノロジーが武器に
藤枝市では、隣り合う地域の企業の仲間たちと共にデジタルスキルを学ぶ「藤枝未来DXスクール」があります。2024年度は10月22日~12月12日に開講予定で、受講者募集がスタートしました。
DXが叫ばれるようになり、それまでと変わってきたところは、自社のデジタル人材を育成し、システム化やマーケティングの取り組みを内省できるチカラを養うこと。社会的な就労人口の減少に伴い、この流れはしっかりと受け止める必要がありそうです。
目まぐるしく発展するIT業界。その流れの速さや、カタカナ語に振り回されてしまいそうになりますが、自社の課題は自分たちが一番理解していること。それを解決するのも自分たちですよね。次代を見据えた変革のための主体的な行動が求められていることを認識できていれば、デジタル技術が自分たちのやりたいことを実現してくれる武器になることがわかり、それらを学び、活用することにワクワクできるのではないでしょうか。
サンロフト社員より
IT企業で働いていても、すべての技術に明るいわけではありません。近年は特に、社内外の様々な人たちとの関わりによって「新たな景色」を見る機会が増えました。お客さまから学ぶこともたくさんあります。異世代の価値観を理解する必要性も高まっていると感じます。人口減少社会において、様々な経済活動や社会機能を維持していくためには、より多くの人々がお互いに関心を持ち、経験と知恵を共有しあうことなのだと考えるようになりました。DXという言葉はいずれ古くなり、新しい言葉が登場するのだと思います。テクノロジーを活かしながら、私たちの未来を明るく描いていきたいですよね。